用語と定義
Lipschitz 条件 は、ある定数 L\ge 0 が存在して
|f(y_1)-f(y_2)|\le L|y_1-y_2|
が成立する条件である。微分方程式 y'=f(x,y) では、通常 y に関する Lipschitz 性を確認する。
一意性に作用する理由
同一の初期値を持つ 2 解 y_1,y_2 が存在すると仮定する。積分形で表すと、
y_i(x)=y_0+\int_{x_0}^{x} f(t,y_i(t))\,dt
である。したがって差を取ると、
|y_1(x)-y_2(x)|
\le
\int_{x_0}^{x}|f(t,y_1(t))-f(t,y_2(t))|\,dt
となる。ここで y に関する Lipschitz 条件があれば、
|y_1(x)-y_2(x)|
\le
L\int_{x_0}^{x}|y_1(t)-y_2(t)|\,dt
を得る。この不等式は、差が 0 から出発したなら増殖できないことを示す基礎になる。厳密には Gronwall 不等式を用いて y_1=y_2 を結論する。この構造こそ、Lipschitz 条件が一意性に作用する理由である。
連続性だけでは、この差を定数倍で抑制する不等式を得られない。連続と Lipschitz 連続の違いは、値の近接だけでなく、近接の速度を制御できるかにある。