電流と回路
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1導入
この講義では、電流を「電気が流れる」という言葉ではなく、単位時間あたりに断面を通過する電荷として定義を説明する。
回路では、電位差が電荷を動かし、抵抗がその流れを妨げる。電流、電圧、抵抗を先に定義すれば、オームの法則や電力は意味をもった式として読める。
2用語と定義
電流 I とは、導線の断面を単位時間あたりに通過する電荷である。
\boxed{I=\frac{dQ}{dt}}
電圧とは、2 点の電位差である。
抵抗 R とは、電流の流れにくさを表す量である。
起電力とは、電池などが単位電荷に与えるエネルギーである。
3法則:オームの法則
抵抗 R に電圧 V を加えたとき、電流 I が
\boxed{V=RI}
を満たす素子をオーム抵抗という。
4関係式 1:微視的な電流の式
断面積 S の導線で、単位体積あたりの自由電荷の数を n、1 個の電荷を q、平均のドリフト速度を v_d とすると、
\boxed{I=nqSv_d}
である。
4.1証明
時間 dt の間に、断面を通過できる電荷は、断面から距離 v_d dt までにある電荷である。その体積は
S v_d dt
である。単位体積あたり n 個の電荷があり、1 個あたりの電荷が q なので、通過する電荷量は
dQ=nqS v_d dt
である。したがって
I=\frac{dQ}{dt}=nqSv_d
を得る。
5関係式 2:電力の式
電圧 V の素子に電流 I が流れるとき、単位時間あたりに受け渡されるエネルギー、すなわち電力は
\boxed{P=IV}
である。オーム抵抗では、
\boxed{P=I^2R=\frac{V^2}{R}}
である。
5.1証明
電位差 V を通って電荷 dQ が移動すると、移動するエネルギーは
dW=V\,dQ
である。単位時間あたりのエネルギーが電力なので、
P=\frac{dW}{dt}=V\frac{dQ}{dt}=VI
である。オームの法則 V=RI を使うと、
P=I(RI)=I^2R
であり、I=V/R を使うと
P=V\frac{V}{R}=\frac{V^2}{R}
である。
6単位の確認
電流は
I=\frac{Q}{t}:
\frac{[\mathrm{C};\ \mathsf{IT}]}{[\mathrm{s};\ \mathsf{T}]}
=
[\mathrm{A};\ \mathsf{I}]
である。電力は
IV:
[\mathrm{A};\ \mathsf{I}]
[\mathrm{V};\ \mathsf{ML^2I^{-1}T^{-3}}]
=
[\mathrm{W};\ \mathsf{ML^2T^{-3}}]
である。
7見分け方
- 何秒で何クーロンかなら I=\Delta Q/\Delta t。
- 電力なら P=IV。
- 抵抗で熱になるなら P=I^2R。
- 導線内の速さなら I=nqSv_d。
8どこまで成立するか
オームの法則はすべての素子に成立する定義ではない。ダイオードや電球のように、電圧と電流が比例しない素子もある。
9最終形
\boxed{I=\frac{dQ}{dt}}
\boxed{V=RI}
\boxed{P=IV}
10一言
電流は電荷の通過量であり、電力は電位差を通って運ばれるエネルギーの速さである。