ガウスの法則の基本
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1導入
この講義では、対称性が高い電荷分布では、クーロンの法則を一点ずつ足すより、ガウスの法則によって電場を効率的に求められることを説明する。
電場が面をどれだけ貫くかを電束として数えると、閉曲面を貫く電束は、その内側にある電荷だけで決まる。これがガウスの法則である。
2用語と定義
電束 \Phi_E とは、面を貫く電場の量であり、
\Phi_E=\int_S\vec E\cdot d\vec S
で定義する。
閉曲面とは、内側と外側を分ける閉じた面である。
3法則:ガウスの法則
閉曲面 S を外向き法線で考えると、
\boxed{\int_S\vec E\cdot d\vec S=\frac{Q_{\mathrm{in}}}{\varepsilon_0}}
である。ここで Q_{\mathrm{in}} は閉曲面の内側にある電荷の総量である。
4方針
ガウスの法則は、対称性があるときに強い。
- 球対称なら球面を選ぶ。
- 円筒対称なら円筒面を選ぶ。
- 平面対称なら柱状のガウス面を選ぶ。
- 面の上で E が一定になるように選ぶ。
5関係式 1:点電荷の電場
点電荷 Q を中心とする半径 r の球面上では、
\boxed{E=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\frac{|Q|}{r^2}}
である。
5.1証明
点電荷を中心に置くと、対称性より電場は中心から放射状であり、同じ半径 r の球面上で大きさは一定である。
球面をガウス面に取ると、
\int_S\vec E\cdot d\vec S=E\cdot4\pi r^2
である。ガウスの法則より
E\cdot4\pi r^2=\frac{|Q|}{\varepsilon_0}
なので、
E=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\frac{|Q|}{r^2}
を得る。
6関係式 2:無限平面の電場
面電荷密度 \sigma の無限平面が作る電場の大きさは、
\boxed{E=\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}}
である。
6.1証明
平面に垂直な向きに電場が出る。平面をまたぐ薄い柱をガウス面に取り、その底面積を S とする。側面では電場が面に平行なので電束は 0 である。
上面と下面を通る電束はそれぞれ ES なので、
\Phi_E=2ES
である。内側の電荷は
Q_{\mathrm{in}}=\sigma S
である。ガウスの法則より
2ES=\frac{\sigma S}{\varepsilon_0}
だから、
E=\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}
を得る。
7関係式 3:平行板の内側の電場
面電荷密度 +\sigma と -\sigma をもつ 2 枚の十分広い平行板の間では、
\boxed{E=\frac{\sigma}{\varepsilon_0}}
である。
7.1証明
関係式 2 より、1 枚の無限平面が作る電場は \sigma/(2\varepsilon_0) である。正の板からは外向きに、負の板へは内向きに電場が向く。
2 枚の板の間では、この 2 つの電場が同じ向きに重なる。したがって
E=\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}+\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}
=
\frac{\sigma}{\varepsilon_0}
である。外側では 2 つの電場が反対向きなので打ち消し合う。
8見分け方
- 球対称なら球面。
- 無限平面なら柱のガウス面。
- 内部電荷だけが電束を決める。
9どこまで成立するか
ガウスの法則そのものは一般的に成立する。しかし、そこから簡単に E を取り出せるのは、面の上で電場の大きさが一定になるほど対称性が高い場合である。
10最終形
\boxed{\int_S\vec E\cdot d\vec S=\frac{Q_{\mathrm{in}}}{\varepsilon_0}}
\boxed{E_{\mathrm{plane}}=\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}}
\boxed{E_{\mathrm{plates}}=\frac{\sigma}{\varepsilon_0}}
11一言
ガウスの法則は、電場を一点ずつ足す代わりに、閉曲面を通る総量で見るための道具である。