厳密な説明
1. 電場の定義の理由
試験電荷 q を置いたとき、受ける力 \vec F は q に比例します。したがって \vec F そのままでは、「場所が違うから力が違う」のか、「置いた電荷が違うから力が違う」のかが分かりません。
そこで q で割って
\vec E=\frac{\vec F}{q}
と定義すると、試験電荷の大きさによらない場そのものの強さが表せます。よって
\vec F=q\vec E
です。
さらに、点電荷 Q がつくる電場を考えると、クーロンの法則
F=k\frac{|Qq|}{r^2}
より、試験電荷 q に働く力を q で割って
E=k\frac{|Q|}{r^2}
を得ます。ここでも、場の強さが試験電荷の大きさによらないことがはっきり見えます。
2. 電位の定義の理由
静電場では電気力は保存力なので、
W=-\Delta U
です。しかし U は置いた電荷 q が大きいほど大きくなります。ここでも場所そのものの性質を見るために、
V=\frac{U}{q}
と定義します。すると U=qV だから、
W=-\Delta U=-q\Delta V
です。
ここで大事なのは、位置エネルギーそのものは基準の取り方で定数分だけ変えられることです。だから物理的に意味を持つのは電位差 \Delta V のほうで、電位 V は「差を取れば観測可能な量になるような補助的な関数」として導入されます。
3. 一様電場での電位差
一様電場で、電場の向きに距離 d だけ進むとします。このとき力の大きさは qE で一定なので、
W=qEd
です。一方で
W=-q\Delta V
だから、
\Delta V=-Ed
です。絶対値だけ見れば |\Delta V|=Ed です。
この式を少し一般化すると、電位差は電場の向きに沿った仕事から
\Delta V=-\int_A^B \vec E\cdot d\vec r
と書けます。一様電場では \vec E が一定なので、この式がそのまま \Delta V=-Ed に戻ります。したがって電位差は、「電場を線に沿って積分したもの」として理解できます。
4. ガウスの法則とのつながり
ここでは電場を \vec E=\dfrac{\vec F}{q} で定義しましたが、電荷分布から電場を求めるときにはガウスの法則
data/lecture/physics/electromagnetism/ガウスの法則の基本-講義.n.md
\oint \vec E\cdot d\vec S=\frac{Q_{\mathrm{enc}}}{\varepsilon_0}
が重要です。これは「閉曲面を貫く電場の総量は、その中にある電荷だけで決まる」という法則です。たとえば平面に近い対称性をもつ場合には、この式から一様電場の強さを出せます。
具体的には、面積 S の薄い円柱をガウス面に取り、電場が面に垂直で一定だとすると、側面からの流束は 0 で、上下面からの寄与だけが残ります。したがって
2ES=\frac{\sigma S}{\varepsilon_0}
となり、
E=\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}
です。ここで \sigma は面電荷密度です。このように強い対称性があるとき、ガウスの法則は非常に強力です。
この意味で、電場の定義は「1 C あたりの力」ですが、実際に場を求める道具としては、クーロンの法則やガウスの法則が後から結びつきます。
したがって、ガウスの法則は「いつでも正しい基本法則」ですが、「いつでもすぐに E を解ける計算公式」ではありません。対称性が足りない場合は、閉曲面を取っても電場の大きさを面の外へ出せないので、そのままでは計算に使えません。
最終形
\boxed{\vec E=\frac{\vec F}{q}}
\boxed{V=\frac{U}{q}}
\boxed{W=-q\Delta V}
\boxed{\Delta V=-Ed\ \text{(一様電場)}}