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商集合と自然な射影md 1b2049f
lecture/math/discrete-math/quotient-sets-and-canonical-projections.lecture.n.md
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商集合と自然な射影
mathdiscrete-mathquotient-setwell-definedlecture
1導入
同値関係で対象を分類したら、次に考えるべき問いは「分類された箱そのものを元として扱えるか」である。この発想が商集合である。
商集合では、個々の元ではなく、同値類を 1 つの対象として扱う。つまり、細かい違いを忘れ、同値と見なすものを同じ点へ潰す。
2用語と定義
集合 A 上の同値関係 \sim に対して、商集合 A/{\sim} を
A/{\sim}=\{[a]\mid a\in A\}
で定義する。ここで [a] は a の同値類である。
順序上の注意として、写像の正式な講義は後にある。このページでは、\pi:A\to A/{\sim} を「各 a\in A に [a] を割り当てる規則」という最小限の意味で使う。
自然な射影 \pi:A\to A/{\sim} を
\pi(a)=[a]
で定義する。これは各元を、その元が属する同値類へ送る写像である。
3方針
商集合を扱うときは、代表元と同値類を区別する。a は A の元であり、[a] は A/{\sim} の元である。
さらに、商集合上で写像を定義するときは、well-defined 性を確認する。同じ同値類を別の代表元で書いても、定義した値が変わらないことを示す必要がある。
手順として、まず関係が同値関係であることを確認し、次に同値類を作る。自然な射影は、各元をその元が属する同値類へ送る。
data/lecture/math/discrete-math/equivalence-relations-and-partitions.lecture.n.md
4直感的な説明
商集合は、分類された箱の集合である。自然な射影は、各元を「その入っている箱」へ送る。
たとえば整数を 3 で割った余りで分類すると、商集合は
\mathbb Z/{\sim}=\{[0],[1],[2]\}
である。ここで [1]=[4]=[-2] である。代表元は違っても、表している同値類は同じである。
同値類は箱として考えるとよい。代表元を選んで計算してもよいが、結果が代表元の選び方に依存しないこと、つまりwell-defined 性を確認する必要がある。
5well-defined 性とは何か
商集合では、1 つの元が複数の代表元で書ける。a\in A から集合 B の値 f(a) を作る規則を用いて、\bar f:A/{\sim}\to B を \bar f([a])=f(a) と定めたいとする。この候補が代表元によらないためには、a\sim b なら f(a)=f(b) であることを確認しなければならない。
この確認をwell-defined 性の確認という。well-defined 性が失敗すると、同じ商集合の元に対して、代表元の選び方によって異なる値が出てしまう。
well-defined 性を示すには、同値な 2 つの代表元 a,b を取り、f(a)=f(b) を証明する。代表元を 1 つだけ計算するだけでは不十分である。
6例題:自然な射影
6.1問題
\mathbb Z 上で a\sim b を「a-b が 3 の倍数である」と定義する。このとき自然な射影 \pi:\mathbb Z\to\mathbb Z/{\sim} の \pi(5) と \pi(-1) を求めよ。
6.2解説
自然な射影は \pi(a)=[a] である。したがって
\pi(5)=[5]
である。5\sim2 かつ 5\sim -1 なので、これは [2] や [-1] と同じ同値類である。
また
\pi(-1)=[-1]
であり、[-1]=[2]=[5] である。したがって \pi(5)=\pi(-1) である。この例は、自然な射影が同値な元を同じ同値類へ潰すことを示している。