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溶解度積の基本md 9a57f80
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溶解度積の基本
chemistrytheoreticalhighschoollecture
1導入
この講義では、溶解度積を沈殿が出るかどうかを、溶解平衡とイオン積の比較で判断する基準として解説する。
2用語と定義
難溶性塩とは、水に少ししか溶けない塩である。
溶解度積 K_{\mathrm{sp}} とは、難溶性塩が飽和して溶解平衡にあるときのイオン濃度の積である。
イオン積 Q とは、任意の時点でのイオン濃度を溶解度積と同じ形に掛けた量である。
3方針
沈殿の有無は、次で判断する。
- 溶解平衡式を書く。
- K_{\mathrm{sp}} の形を書く。
- 混合後のイオン濃度から Q を計算する。
- Q と K_{\mathrm{sp}} を比較する。
4厳密な説明
4.1関係式:溶解平衡から溶解度積が出る
仮定として、難溶性塩 \mathrm{AgCl} の溶解平衡を
\mathrm{AgCl(s)\rightleftharpoons Ag^+(aq)+Cl^-(aq)}
とする。結論は、高校化学の濃度近似で K_{\mathrm{sp}}=[\mathrm{Ag^+}][\mathrm{Cl^-}] である。
証明する。平衡定数は生成物の濃度を係数乗して掛け、反応物の濃度で割る形で書く。ただし純粋な固体 \mathrm{AgCl(s)} の活量は 1 と扱う。したがって式には水溶液中の \mathrm{Ag^+} と \mathrm{Cl^-} だけが残り、K_{\mathrm{sp}}=[\mathrm{Ag^+}][\mathrm{Cl^-}] を得る。□
4.2判定の理由
Q<K_{\mathrm{sp}} なら、まだイオンが飽和に達しておらず、沈殿は生じない。Q=K_{\mathrm{sp}} なら飽和である。Q>K_{\mathrm{sp}} なら、イオンが多すぎるため、一部が固体として析出し、Q が K_{\mathrm{sp}} へ下がる向きに進む。
5具体例
\mathrm{AgCl} では、
K_{\mathrm{sp}}=[\mathrm{Ag^+}][\mathrm{Cl^-}]
である。混合後に [\mathrm{Ag^+}]=1.0\times10^{-3}、[\mathrm{Cl^-}]=1.0\times10^{-3} なら、
Q=1.0\times10^{-6}
を計算し、これを K_{\mathrm{sp}} と比較する。数値の大小だけでなく、同じ形のイオン積で比較していることが重要である。
6見分け方
| 状況 | 見るもの |
| 沈殿が出るか | Q と K_{\mathrm{sp}} |
| 共通イオンが加わる | イオン濃度が増え Q が変わる |
| 酸で溶けるか | イオンが別反応で消費されるか |
7どこまで成立するか
K_{\mathrm{sp}} は温度に依存する。厳密には活量を使うが、高校化学では希薄溶液の濃度近似で扱う。錯形成や酸塩基反応が同時に起こると、単純な K_{\mathrm{sp}} 比較だけでは足りない。
8最終形
\boxed{Q<K_{\mathrm{sp}}\Rightarrow\text{沈殿なし}}
\boxed{Q>K_{\mathrm{sp}}\Rightarrow\text{沈殿が生じる}}
9一言でいうと
溶解度積は、難溶性塩の溶解平衡で許されるイオン積の上限を与える。