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整数の性質の基本md 053e330
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整数の性質の基本
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1導入
この講義では、整数の値だけでなく、整除性や余りに注目することの重要性を説明する。
連続量でなく飛び飛びの値しか取らない整数には、近似でなく「割り切れるか・余りがいくつか」という離散的な情報が本質として効く。
2用語と定義
2.1約数
b \mid a(b は a を割り切る)とは、a = bq(q は整数)が成立することである。このとき b を a の約数という。
「約」の命名:約は「切り詰める・縮める」意味。a を縮める因子であることから命名。英語 divisor は「割るもの」の意。
2.2倍数
a が b の倍数とは、b \mid a が成立することである。
「倍」の命名:倍は「2 倍・3 倍」の倍。整数倍になっている数の全体の集合を指す。英語 multiple は「複数の」の意。
2.3最大公約数
\gcd(a, b) とは、a と b の共通約数のうち最大のものである。
2.4互いに素
\gcd(a, b) = 1 のとき、a と b は互いに素であるという。
「素」の命名:共通因子が「素(1)」しかない、という意。英語 coprime(co = 共に、prime = 素)。
2.5素数
2 以上の整数で、1 と自分自身しか正の約数を持たない数を素数という。
「素」の命名:因数分解の最小単位であることから命名。英語 prime(原初の)。
3約数と倍数の対比
| 約数 | 倍数 |
| 定義 | b \mid a を満たす b | b \mid a を満たす a |
| 視点 | a を小さく見る | b を大きく見る |
| 個数 | 有限(a 以下) | 無限 |
| 例(a=12) | 1, 2, 3, 4, 6, 12 | 12, 24, 36, … |
4方針
整数問題では、まず「何で割ると整理しやすいか」を決め、余り・最大公約数・素因数分解のどれで攻めるかを判断する。
5厳密な説明
5.11. 余りで見る(偶奇)
整数 n を 2 で割ると余りは 0 か 1 である:
n = 2k \quad \text{または} \quad n = 2k+1
これが偶数と奇数の基本形である。n^2 が偶数なら n も偶数、n^2 が奇数なら n も奇数—これは対偶として頻出。
5.22. 倍数判定の整理
| 整数 | 条件 | 理由 |
| 2 の倍数 | 末尾の桁が偶数 | 10^k \equiv 0 \pmod 2 |
| 3 の倍数 | 各桁の和が 3 の倍数 | 10 \equiv 1 \pmod 3 |
| 9 の倍数 | 各桁の和が 9 の倍数 | 10 \equiv 1 \pmod 9 |
| 5 の倍数 | 末尾が 0 か 5 | 10^k \equiv 0 \pmod 5 |
| 11 の倍数 | 桁の交互和が 11 の倍数 | 10 \equiv -1 \pmod{11} |
5.33. 最大公約数と最小公倍数
\gcd(a, b) \cdot \text{lcm}(a, b) = ab \qquad (a, b > 0)
これは素因数分解の指数を \min(gcd)と \max(lcm)で処理することから直接導かれる。
5.44. 素因数分解の一意性(算術の基本定理)
2 以上の任意の整数は、素数の積として本質的に一意に分解できる:
n = p_1^{e_1} p_2^{e_2} \cdots p_k^{e_k} \qquad (p_1 < p_2 < \cdots < p_k \text{ が素数})
一意性の保証がなければ「因数分解する」という操作は意味を失う。
5.55. 互いに素の性質
\gcd(a, b) = 1 のとき:
- gcd(a,b)=1 かつ a \mid bc \implies a \mid c(Euclid の補題)
- ax + by = 1(一次不定方程式の解が存在)
- ab \mid c \iff (a \mid c \text{ かつ } b \mid c)
5.66. 合同式へ
a - b が n の倍数なら、a と b は n で割った余りが同じである。この「余りが同じ」という同値関係から
a \equiv b \pmod n
という記法が生まれ、整数を余りごとの塊(剰余類)として代数的に扱える。
6見分け方
- 偶奇が絡む → 2k, 2k+1 を試みる
- 割り切れるかが主題 → 余りか約数で整理
- 互いに素・公約数が出る → \gcd を考え余りへ落とす
- 余りだけが重要 → 合同式へ移行
7どこまで成立するか
素因数分解の一意性は自然数(および整数)の世界での事実であり、ガウス整数(a + bi)のような拡張では一意性が保たれるか別途確認が必要になる。
8最終形
\boxed{n = 2k \quad \text{または} \quad n = 2k+1}
\boxed{\gcd(a,b) \cdot \text{lcm}(a,b) = ab}
\boxed{n = p_1^{e_1} \cdots p_k^{e_k}}
(一意分解)
9一言でいうと
整数では「何で割ると整理しやすいか」を最初に決めることが鍵—余り・最大公約数・素因数分解の三つの視点が全ての基盤となる。