markdown
二次方程式の解の公式md ff203d0
lecture/math/algebra/quadratic-formula.lecture.n.md
Download PDF
二次方程式の解の公式
1導入
二次方程式の解の公式で中心に置く発想は、平方完成をして、左辺を 1 つの二乗の形に変形することである。
公式だけを暗記すると、なぜ -b や 4ac や 2a が現れるのかが見えない。しかし平方完成の手順を追えば、公式は突然出てくるものではなく、二次式を一次式の二乗へ変える結果だと分かる。
2用語と定義
まず主役になる用語をそろえる。
二次方程式 とは、ax^2+bx+c=0 の形の方程式である。ただし a\neq 0 である。
平方完成 とは、x^2+px のような式を \left(x+\frac{p}{2}\right)^2-\left(\frac{p}{2}\right)^2 の形に直す操作である。
判別式 とは、二次方程式の解の様子を決める D=b^2-4ac のことである。
3方針
ax^2+bx+c=0 をそのまま見ても、x を直接取り出すのは難しい。そこで、まず a で割って x^2 の係数を 1 にそろえる。
そのうえで x^2+\frac{b}{a}x を 1 つの二乗にしたい、と考える。なぜなら、二乗の形になれば平方根を使って x を取り出せるからである。これが平方完成を思いつく理由である。
4直感的な説明
二次方程式の難しさは、x が 2 乗と 1 乗の両方で現れることにある。そこで「1 つの二乗に見える形へ持ち込む」ことを狙う。
代数的には平方完成だが、図形的には「正方形を完成させる」と見ることもできる。したがって \left(\frac{b}{2a}\right)^2 を足すのは、ただの手筋ではなく、不足している四角を埋める発想である。
5厳密な説明
5.11. まず係数をそろえる
ax^2+bx+c=0\qquad (a\neq 0)
を a で割ると
x^2+\frac{b}{a}x+\frac{c}{a}=0
である。したがって
x^2+\frac{b}{a}x=-\frac{c}{a}
となる。
5.22. 平方完成する
ここで x^2+\frac{b}{a}x を 1 つの二乗にしたいので、\left(\frac{b}{2a}\right)^2 を足して引く。すると
x^2+\frac{b}{a}x+\left(\frac{b}{2a}\right)^2=-\frac{c}{a}+\left(\frac{b}{2a}\right)^2
である。
左辺は
\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2
となる。右辺は通分して
-\frac{4ac}{4a^2}+\frac{b^2}{4a^2}=\frac{b^2-4ac}{4a^2}
である。したがって
\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2=\frac{b^2-4ac}{4a^2}
を得る。
5.33. 平方根を取る
両辺の平方根を取ると
x+\frac{b}{2a}=\pm \frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
である。よって
x=-\frac{b}{2a}\pm \frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
となり、
\boxed{x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}
を得る。これが二次方程式の解の公式である。
5.44. 判別式の意味
公式を見ると、平方根の中身 b^2-4ac が解の様子を決めている。
- b^2-4ac>0 なら、異なる 2 つの実数解を持つ。
- b^2-4ac=0 なら、重解を持つ。
- b^2-4ac<0 なら、実数解を持たない。
したがって D=b^2-4ac を判別式と呼ぶ。
5.55. 別の見方
対称式の立場では、解の和と積が
\alpha+\beta=-\frac{b}{a},\qquad \alpha\beta=\frac{c}{a}
で与えられる。そこから解そのものを復元するには、和と積を持つ 2 つの数を求める問題へ戻せばよい、と見ることもできる。
6どこまで成立するか
この公式は、a\neq 0 である二次方程式にはいつでも使える。
ただし、実数の範囲だけで考えると、D<0 のときは平方根が実数にならないので、解を実数としては書けない。
また、公式を使わなくても因数分解できる場合はある。そのときでも、後ろでは同じ構造が働いている。
7最終形
二次方程式
ax^2+bx+c=0\qquad (a\neq 0)
の解は
\boxed{x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}
である。
また、判別式
\boxed{D=b^2-4ac}
により解の個数と種類が分かる。
8一言でいうと
- 解の公式は、平方完成の結果である。
- 平方完成を思いつく理由は、二次式を二乗の形に変えて平方根を使いたいからである。
- 判別式 b^2-4ac は、そのまま解の様子を教えてくれる。