スカラー場とベクトル場
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導入
このページの核心は、空間の各点に何を対応させるかにより、スカラー場とベクトル場を区別することである。
用語と定義
スカラー場 は、各点に数値を対応させる関数である。温度や圧力が典型例である。
ベクトル場 は、各点にベクトルを対応させる関数である。速度場や力場が典型例である。
方針
スカラー場では「どの方向に最も増加するか」を確認する。ベクトル場では「どれだけ流入流出するか」「どれだけ回転するか」を確認する。この区別が勾配・発散・回転の入口になる。
具体例
T(x,y,z)=x^2+y^2+z^2 はスカラー場であり、各点に 1 つの数を対応させる。
\boldsymbol{F}(x,y)=(-y,x) はベクトル場であり、各点に接線方向のベクトルを対応させる。この場は原点の周囲を回る性質を持つ。
場の例
温度場はスカラー場であり、各点の温度を返す。高度場もスカラー場であり、地形の高さを返す。速度場はベクトル場であり、流体の各点での速度を返す。電場もベクトル場であり、単位電荷に働く力を返す。
| 場 | 値 | 単位の例 | 次の演算 |
| 温度場 T(x,y,z) | スカラー | \mathrm{K} | gradient |
| 圧力場 p(x,y,z) | スカラー | \mathrm{Pa} | gradient |
| 速度場 \boldsymbol{v}(x,y,z) | ベクトル | \mathrm{m/s} | divergence, curl |
| 電場 \boldsymbol{E}(x,y,z) | ベクトル | \mathrm{N/C} | flux, circulation |
単位を付けると、演算の意味も明確になる。たとえば温度勾配 \nabla T の単位は \mathrm{K/m} であり、一メートルあたりの温度変化を表す。
等位面と流線
スカラー場 T に対して T(x,y,z)=c を満たす点の集合を等位面という。等位面は同じ値を持つ場所を示す。ベクトル場では、各点でベクトル場に接する曲線を流線という。流線は速度場に沿う粒子の移動方向を示す。
二次元のスカラー場 T(x,y)=x^2+y^2 では、等位線 T=c は半径 \sqrt{c} の円である。三次元では等位面が球面になる。一方、ベクトル場 \boldsymbol{F}(x,y)=(-y,x) の流線は原点を中心とする円である。等位線は値の集合を表し、流線は移動方向を表すため、役割は異なる。
比較例
\boldsymbol{F}(x,y)=(1,0) は全点で右向きの一定速度場である。流線は水平線になる。\boldsymbol{G}(x,y)=(x,y) は原点から外向きに広がる場であり、流線は原点から出る半直線になる。同じベクトル場でも、長さが一定か場所依存かにより後続の divergence の値が変化する。
よくある誤り
- スカラー場とベクトル場を値の型で区別しない。
- 座標表示を場そのものと同一視する。
- 図示された矢印の長さだけを確認し、方向の変化を無視する。