コンデンサーと誘電体
physicselectromagnetismdielectriccapacitorlecture
1導入
この講義では、誘電体を入れると「電荷を固定するか」「電圧を固定するか」で変わる量が違うという性質を説明する。
誘電体を入れると、内部の分極によって電場が弱まる。そのため、同じ電荷なら電位差は小さくなる。一方、電池につないで電位差を固定すると、より多くの電荷が蓄えられる。
2用語と定義
誘電体とは、電場の中で分極し、電場を弱める絶縁体である。
比誘電率 \varepsilon_r とは、真空に比べて電気容量がどれだけ大きくなるかを表す無次元の量である。
\varepsilon=\varepsilon_r\varepsilon_0
3整理 1:誘電体を満たした平行板コンデンサー
極板面積 S、極板間隔 d の平行板コンデンサーの間を、比誘電率 \varepsilon_r の誘電体で満たすと、
\boxed{C=\varepsilon_r\varepsilon_0\frac{S}{d}}
である。
3.1証明
誘電体の中では、誘電率が
\varepsilon=\varepsilon_r\varepsilon_0
となる。平行板の間の電場は
E=\frac{\sigma}{\varepsilon}
=
\frac{Q}{\varepsilon S}
である。電位差は
V=Ed=\frac{Qd}{\varepsilon S}
である。したがって
C=\frac{Q}{V}
=
\varepsilon\frac{S}{d}
=
\varepsilon_r\varepsilon_0\frac{S}{d}
を得る。
4帰結 2:電荷固定では V と U が小さくなる
電池から切り離したコンデンサーに誘電体を入れる。電荷 Q が一定なら、
\boxed{V'=\frac{V}{\varepsilon_r}}
かつ
\boxed{U'=\frac{U}{\varepsilon_r}}
である。
4.1証明
誘電体を入れる前の容量を C とすると、入れた後の容量は
C'=\varepsilon_r C
である。電荷 Q は一定なので、
V'=\frac{Q}{C'}=\frac{Q}{\varepsilon_r C}=\frac{V}{\varepsilon_r}
である。またエネルギーは
U=\frac{Q^2}{2C}
であり、誘電体を入れた後は
U'=\frac{Q^2}{2C'}=\frac{Q^2}{2\varepsilon_r C}=\frac{U}{\varepsilon_r}
である。
5関係式 3:電圧固定では Q と U が大きくなる
電池につないだままコンデンサーに誘電体を入れる。電位差 V が一定なら、
\boxed{Q'=\varepsilon_r Q}
かつ
\boxed{U'=\varepsilon_r U}
である。
5.1証明
電位差 V は電池によって一定である。容量は
C'=\varepsilon_r C
になるので、
Q'=C'V=\varepsilon_r CV=\varepsilon_r Q
である。また
U=\frac12CV^2
であり、誘電体を入れた後は
U'=\frac12C'V^2
=
\frac12\varepsilon_rCV^2
=
\varepsilon_rU
である。この増加分は、電池が追加の電荷を運ぶ仕事に由来する。
6見分け方
- 電池から外したなら Q 一定。
- 電池につないだままなら V 一定。
- 誘電体を満たすと C は \varepsilon_r 倍。
7どこまで成立するか
ここでは誘電体が一様に入り、漏れ電流や端効果を無視した。実際の誘電体には絶縁破壊の限界があり、電場を強くしすぎると電流が流れる。
8最終形
\boxed{C'=\varepsilon_r C}
\boxed{Q\ \text{一定なら }V'=\frac{V}{\varepsilon_r},\ U'=\frac{U}{\varepsilon_r}}
\boxed{V\ \text{一定なら }Q'=\varepsilon_rQ,\ U'=\varepsilon_rU}
9一言
誘電体は容量を大きくする。ただし、何が一定かで電荷、電圧、エネルギーの変化は変わる。