2問題 1:像による可解性
L:\mathbb R^2\to\mathbb R^2 を
L(x,y)=(x+y,2x+2y)
で定義する。L(x,y)=(1,2) と L(x,y)=(1,1) がそれぞれ解を持つか判定せよ。
2.1解答例
L(x,y)=(s,2s)、ただし s=x+y と書ける。したがって
\operatorname{Im}L=\{(s,2s)\mid s\in\mathbb R\}
である。
(1,2) は s=1 としてこの像に入るので、L(x,y)=(1,2) は解を持つ。実際、x+y=1 を満たす任意の (x,y) が解である。
一方、(1,1) は (s,2s) の形ではない。したがって (1,1)\notin\operatorname{Im}L であり、L(x,y)=(1,1) は解を持たない。
2.2解説
右辺が到達可能かどうかは像で決まる。式を解き始める前に、右辺が像の中にあるかを確認するのが第一判定である。
3問題 2:特殊解 + 核
問題 1 の L について、L(x,y)=(1,2) の一般解を求めよ。
3.1解答例
L(x,y)=(1,2) は
x+y=1
と同値である。特殊解として x_p=(1,0) を取る。
核は
\ker L=\{(x,y)\mid x+y=0\}
=\{(t,-t)\mid t\in\mathbb R\}
である。したがって一般解は
(x,y)=(1,0)+(t,-t)=(1+t,-t),\qquad t\in\mathbb R
である。
3.2解説
非同次解集合はベクトル空間ではなく、核を平行移動したアフィン空間である。
4問題 3:階数退化次数定理
T:\mathbb R^3\to\mathbb R^2 を
T(x,y,z)=(x+z,y-z)
で定義する。\ker T、\operatorname{Im}T、\operatorname{rank}T、\operatorname{nullity}T を求め、階数退化次数定理を確認せよ。
4.1解答例
T(x,y,z)=0 は
x+z=0,\qquad y-z=0
である。z=t と置くと x=-t、y=t だから
\ker T=\{(-t,t,t)\mid t\in\mathbb R\}
である。したがって \operatorname{nullity}T=1 である。
像について、任意の (u,v)\in\mathbb R^2 に対して z=0、x=u、y=v とすれば
T(u,v,0)=(u,v)
である。したがって \operatorname{Im}T=\mathbb R^2 であり、\operatorname{rank}T=2 である。
よって
\dim\mathbb R^3=3=1+2=\operatorname{nullity}T+\operatorname{rank}T
であり、階数退化次数定理が確認できる。
4.2解説
入力 3 次元のうち 1 次元が核として潰れ、残り 2 次元が出力として像に残っている。
5問題 4:多項式作用素
T:\mathbb R^2\to\mathbb R^2 を T(x,y)=(2x,3y) とする。p(t)=t-2 とおく。p(T)(x,y)、\ker p(T)、\operatorname{Im}p(T) を求めよ。
5.1解答例
p(T)=T-2I である。したがって
p(T)(x,y)=T(x,y)-2(x,y)=(2x,3y)-(2x,2y)=(0,y)
である。
よって
\ker p(T)=\{(x,y)\mid (0,y)=(0,0)\}
=\{(x,0)\mid x\in\mathbb R\}
であり、
\operatorname{Im}p(T)=\{(0,y)\mid y\in\mathbb R\}
である。
5.2解説
T の固有値 2 に対応する固有方向が \ker(T-2I) として現れている。固有値問題も、核を調べる問題である。
6問題 5:シフト作用素
列空間上の E を (Ea)_n=a_{n+1} とする。P(E)=E-2I と置く。方程式
(E-2I)a=0
を解釈し、a_n=C2^n が解であることを示せ。
6.1解答例
方程式 (E-2I)a=0 は
a_{n+1}-2a_n=0
すなわち
a_{n+1}=2a_n
を意味する。a_n=C2^n とすると
a_{n+1}=C2^{n+1}=2C2^n=2a_n
なので解である。
6.2解説
2^n はシフト作用素 E の固有列であり、E(2^n)=2\cdot2^n を満たす。したがって E-2I の核に入る。