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線型作用素方程式の基本md 1375a3b
lecture/math/linear-operator/linear-operator-equation-basics.lecture.n.md
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線型作用素方程式せんけいさようそほうていしきlinear operator equation基本きほん

1導入どうにゅう

この講義こうぎでは、

Lx=y

という線型作用素方程式せんけいさようそほうていしきlinear operator equationを、作用素さようそ名前なまえではなく

kerL,ImL

からむことである。

かい存在そんざいするかは、右辺うへん yぞうimageはいっているかでまる。かいが 1 つつかったあと、ほかにどれだけかいがあるかはかくkernelまる。

この構造こうぞうは、行列方程式ぎょうれつほうていしき Ax=b微分方程式びぶんほうていしき L[y]=f差分方程式さぶんほうていしき Δa=b漸化式ぜんかしき P(E)a=b共通きょうつうする。

2用語ようご定義ていぎ

KたいfieldV,WK うえベクトル空間くうかんvector spaceとし、L:VW線型作用素せんけいさようそlinear operatorとする。

線型作用素せんけいさようそ定義ていぎと、合成ごうせい線型せんけいであることは、まえのページで証明しょうめいした。

data/lecture/math/linear-operator/introduction-to-linear-operators.lecture.n.md

かくkernelとは、L によって 0おくられる入力にゅうりょく集合しゅうごう

kerL={xVLx=0}

である。

ぞうimageまたは値域ちいきrangeとは、L によって実際じっさい到達とうたつできる出力しゅつりょく集合しゅうごう

ImL={LxWxV}

である。kerL定義域ていぎいき V部分集合ぶぶんしゅうごうであり、ImL終域しゅういき W部分集合ぶぶんしゅうごうである。この所属先しょぞくさき混同こんどうしてはならない。

3かい用語ようご

線型作用素方程式せんけいさようそほうていしきでは、言葉ことば区別くべつする必要ひつようがある。

3.1同次方程式どうじほうていしきhomogeneous equation同次解どうじかいhomogeneous solution

Lx=0同次方程式どうじほうていしきhomogeneous equationという。そのかい同次解どうじかいhomogeneous solutionという。同次解どうじかい全体ぜんたい

kerL

である。これはかく定義ていぎそのものである。

3.2特殊解とくしゅかいparticular solution

Lx=yかいを 1 つつけたとき、その 1 つを特殊解とくしゅかいparticular solutionという。この講義群こうぎぐんでは、この用語ようご統一とういつする。

特殊解とくしゅかいは 1 つでよい。なぜなら、1 つつかれば、そこに kerLすことですべてのかいつくれるからである。この事実じじつ定理ていり 2 で証明しょうめいする。

3.3一般解いっぱんかいgeneral solution

Lx=yかい全体ぜんたいあらわしたものを一般解いっぱんかいgeneral solutionという。かい存在そんざいするなら、線型作用素方程式せんけいさようそほうていしき一般解いっぱんかい

x=xp+h,hkerL

というかたちになる。

3.4特異解とくいかいsingular solution

特異解とくいかいsingular solutionという言葉ことばは、おも非線型ひせんけい微分方程式びぶんほうていしきで「一般解いっぱんかい任意定数にんいていすうをどのようにえらんでもてこないかい」という意味いみ使つかわれることがある。

しかし、固定こていされた線型作用素せんけいさようそ L について Lx=yかんがえているかぎり、かい存在そんざいすればすべてのかいxp+kerLはいる。したがって、この枠組わくぐみでは「一般解いっぱんかいそとべつ特異解とくいかいがある」とはかんがえない。

一言ひとことでいうと、特異解とくいかいおも非線型ひせんけい微分方程式びぶんほうていしきで、一般解いっぱんかいぞく包絡線ほうらくせんenvelopeつとき、またはかい一意性いちいせい正則性せいそくせいregularity退化たいかするてんあらわれる。この現象げんしょう線型作用素方程式せんけいさようそほうていしき外側そとがわにあるため、微分方程式びぶんほうていしき個別こべつページであつかう。

data/lecture/math/differential-equations/singular-solutions-and-envelopes.lecture.n.md

3.5平衡解へいこうかいequilibrium solution

平衡解へいこうかいequilibrium solutionは、時間じかん発展はってんあらわ方程式ほうていしき使つか言葉ことばである。あたい時間じかんとともにわらないかいをいう。

たとえば自律型じりつがた微分方程式びぶんほうていしき

x(t)=F(x(t))

定数ていすう関数かんすう x(t)=x*かいになる条件じょうけん

F(x*)=0

である。実際じっさいx(t)=x* なら x(t)=0 なので、代入だいにゅうして 0=F(x*)必要ひつようである。ぎゃくF(x*)=0 なら、x(t)=x*方程式ほうていしきたす。

4方針ほうしん

Lx=yむときは、つぎ順序じゅんじょ判断はんだんする。

  1. 右辺うへん yImLはいるかを確認かくにんする。
  2. かいがあるなら、特殊解とくしゅかい xp を 1 つさがす。
  3. すべてのかいxp+kerL としてあらわす。
  4. 一意性いちいせい必要ひつようなら、kerL={0} かを確認かくにんする。

この順序じゅんじょにする理由りゆうは、可解性かかいせい一意性いちいせいべつ情報じょうほうだからである。可解性かかいせいぞうimage問題もんだいであり、一意性いちいせいかくkernel問題もんだいである。

この方針ほうしん天下てんかりにえるかもしれない。しかし、Lx=y自分じぶんこうとすると、最初さいしょこまるのは「そもそも yとど入力にゅうりょくがあるのか」である。Lつくれる出力しゅつりょく全部ぜんぶあつめたものが ImL だから、可解性かかいせい自然しぜんぞう問題もんだいになる。

つぎに、かいが 1 つ xp つかったとする。このとき、べつかい x があるなら、xxpおなyおくられる。したがって x-xpL によってえるはずである。この「かいどうしのる」という発想はっそうから、kerL自然しぜんあらわれる。

つまり、ぞうかく暗記あんきする名前なまえではない。かいさがすときに最初さいしょ確認かくにんしたくなる「とどくか」と「どれだけ自由じゆううごけるか」を、そのまま言葉ことばにしたものである。

5定理ていり 1:可解性かかいせいsolvabilityぞうimageまる

5.1主張しゅちょう

L:VW線型作用素せんけいさようそlinear operatorとする。このとき

Lx=yが解を持つyImL

である。

5.2証明しょうめい

まず Lx=yかいつと仮定かていする。すると、ある xV存在そんざいして Lx=y である。ぞうimage定義ていぎより、Lxかたちける WげんImLぞくする。したがって yImL である。

ぎゃくに、yImL仮定かていする。ぞうimage定義ていぎにより、ある xV存在そんざいして y=Lx である。これは Lx=yかい存在そんざいすることそのものである。

したがって同値性どうちせい証明しょうめいされた。

6定理ていり 2:一般解いっぱんかいは「特殊解とくしゅかいparticular solution + かくkernel

6.1主張しゅちょう

Lx=yかいち、xp を 1 つのかいとする。つまり

Lxp=y

である。このとき、Lx=yかい全体ぜんたい

{xVLx=y}=xp+kerL

である。すなわち、すべてのかい

x=xp+h,hkerL

あらわされる。

6.2証明しょうめい

まず hkerL とする。このとき kerL定義ていぎより Lh=0 である。L線型性せんけいせいから

L(xp+h)=Lxp+Lh=y+0=y

である。したがって xp+hLx=yかいである。

ぎゃくに、xLx=yかいであるとする。このとき

L(x-xp)=Lx-Lxp=y-y=0

である。したがって x-xpkerL である。h=x-xpけば x=xp+h であり、hkerL である。

以上いじょうにより、かい全体ぜんたいxp+kerL である。

7定理ていり 3:同次方程式どうじほうていしきhomogeneous equationかい集合しゅうごうはベクトル空間くうかんである

7.1主張しゅちょう

L:VW線型作用素せんけいさようそとする。このとき Lx=0かい集合しゅうごうkerL であり、V部分空間くうかんsubspaceである。

7.2証明しょうめい

Lx=0かい集合しゅうごうは、かく定義ていぎにより

kerL={xVLx=0}

である。

h1,h2kerLα,βK とする。L線型性せんけいせいより

L(αh1+βh2)=αLh1+βLh2=α0+β0=0

である。したがって αh1+βh2kerL である。よって kerL線型結合せんけいけつごうじており、V部分空間ぶぶんくうかんである。

この性質せいしつが、重ねわせの原理げんりsuperposition principle根拠こんきょである。

8原理げんり 1:重ねわせの原理げんりsuperposition principle

8.1主張しゅちょう

L:VW線型作用素せんけいさようそとする。

  1. Lx1=0Lx2=0 なら、αx1+βx2Lx=0かいである。
  2. Lx1=y1Lx2=y2 なら、L(αx1+βx2)=αy1+βy2 である。

8.2証明しょうめい

1 は定理ていり 3 の証明しょうめいそのものである。実際じっさい

L(αx1+βx2)=αLx1+βLx2=0

である。

2 についても、L線型性せんけいせいから

L(αx1+βx2)=αLx1+βLx2=αy1+βy2

である。

ただし、非同次ひどうじ方程式ほうていしき Lx=yかい集合しゅうごうそのものは、一般いっぱんにはベクトル空間くうかんではない。x1,x2 がどちらも Lx=yかいなら

L(x1+x2)=2y

となり、ふつうは y にならないからである。非同次ひどうじかい集合しゅうごうxp+kerL というアフィン空間くうかんaffine spaceである。

9どこまで成立せいりつするか

定理ていり 1、2、3 と原理げんり 1 は、任意にんいのベクトル空間くうかん成立せいりつする。有限次元ゆうげんじげんでの次元じげんかぞかた逆作用素ぎゃくさようそ判定はんてい行列ぎょうれつとの対応たいおうは、後続こうぞく判定はんていページであつかう。

無限次元むげんじげん関数空間かんすうくうかんでは、ぞうじているか、逆作用素ぎゃくさようそ連続れんぞくか、といった解析的かいせきてき問題もんだい追加ついかあらわれる。したがって、有限次元ゆうげんじげん行列ぎょうれつただしい直感ちょっかんを、そのまま無限次元むげんじげんうつすときは注意ちゅういする。

10つぎむページ

非同次ひどうじ方程式ほうていしきかい集合しゅうごうをアフィン空間くうかんとしてみ、任意定数にんいていすう条件じょうけんからまる仕組しくみを確認かくにんする。

data/lecture/math/linear-operator/affine-spaces-and-condition-determination.lecture.n.md

つづいて、かい個数こすう階数かいすう逆作用素ぎゃくさようそ行列ぎょうれつとの対応たいおう判定はんていする。

data/lecture/math/linear-operator/solvability-and-uniqueness-of-linear-operator-equations.lecture.n.md

そのあと具体的ぐたいてき作用素さようそkerLImL計算けいさんする。

data/lecture/math/linear-operator/basic-operator-examples.lecture.n.md

11一言ひとことでいうと

Lx=y理論りろんは、ImLkerL理論りろんである。かいがあるかはぞうまり、かい自由度じゆうどかくまる。

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