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集合と集合演算-基本演習md 7fd7da5
exercise/math/discrete-math/sets-and-set-operations.exercise.n.md
1演習方針
集合の問題では、図で予想してよいが、解答では x\in A の条件に戻る。包含は「任意の元」から始め、集合の等式は両側の包含で示す。
Venn図は方針を立てる補助であり、証明そのものではない。等式では左から右、右から左の両方向を示し、失敗を示るときは条件を破る反例を挙げる。
2問題 1
A=\{1,2,3\}、B=\{3,2,1,1\} とする。A=B であることを説明せよ。
2.1解答
集合では順序と重複を記録しない。A の元は 1,2,3 であり、B の元も 1,2,3 である。したがって任意の x について x\in A\Longleftrightarrow x\in B が成立するので、外延性より A=B である。
2.2解説
この問題は、集合の同一性が表示の仕方ではなく元の一致で決まることを確認している。
2.3よくある誤り
書き出したリストの並び順や重複が違うから別の集合だと判断する誤りである。
3問題 2
全体集合を U=\{1,2,3,4,5\} とし、A=\{1,2,3\}、B=\{3,4\} とする。A\cup B、A\cap B、A\setminus B、A^c を求めよ。
3.1解答
和集合は少なくとも一方に属する元の集合なので、A\cup B=\{1,2,3,4\} である。
共通部分は両方に属する元の集合なので、A\cap B=\{3\} である。
差集合は A に属し B に属しない元の集合なので、A\setminus B=\{1,2\} である。
補集合は U の中で A に属しない元の集合なので、A^c=\{4,5\} である。
3.2解説
補集合では全体集合を固定する必要がある。この問題では U が明示されているため A^c を決められる。
3.3よくある誤り
A^c を「A に書かれていない全ての数」と考え、全体集合を確認しない誤りである。
4問題 3
任意の集合 A,B,C について、A\cap(B\cup C)=(A\cap B)\cup(A\cap C) を示せ。
4.1解答
任意の x を取る。すると
x\in A\cap(B\cup C)
\Longleftrightarrow
x\in A\text{ かつ }(x\in B\text{ または }x\in C)
である。論理の分配法則より、これは
(x\in A\text{ かつ }x\in B)\text{ または }(x\in A\text{ かつ }x\in C)
と同値である。したがって
x\in(A\cap B)\cup(A\cap C)
である。任意の x について同値なので、外延性より等式が成立する。
4.2解説
この問題は、集合演算を元の条件へ翻訳する練習である。
4.3よくある誤り
図だけで説明して、任意の x に対する同値性を示さない誤りである。
5問題 4
A_n=\{m\in\mathbb Z\mid n\text{ は }m\text{ を割り切る}\} とする。\bigcap_{n=1}^{4}A_n を説明せよ。
5.1解答
m\in\bigcap_{n=1}^{4}A_n とは、m が 1、2、3、4 のすべてで割り切れるという意味である。したがって m は \mathrm{lcm}(1,2,3,4)=12 の倍数である。よって \bigcap_{n=1}^{4}A_n は 12 の倍数全体である。
5.2解説
添字付き共通部分では「すべての添字について」を確認する。この問題では、複数の割り切れる条件を同時に満たすことが要求されている。
5.3よくある誤り
共通部分を和集合と混同し、「どれか少なくとも 1 つで割り切れる」と読む誤りである。共通部分では、指定された条件をすべて同時に満たす必要がある。
6問題 5
順序上の注意として、この問題だけ濃度の考え方を先取りする。単射とは違う元が同じ相手へ重ならないこと、全射とは行き先に余りがないこと、全単射とはその両方を満たす対応である。
正の偶数全体 E=\{2,4,6,\dots\} と \mathbb N=\{1,2,3,\dots\} の間に全単射を構成せよ。
6.1解答
f:\mathbb N\to E を f(n)=2n と定義する。f(n_1)=f(n_2) なら 2n_1=2n_2 なので、実数の非零定数 2 で割って n_1=n_2 を得る。よって f は単射である。
任意の e\in E は e=2n と書ける正の整数 n を持つ。したがって f(n)=e であり、f は全射である。よって f は全単射である。
6.2解説
濃度は、数え終えることではなく、全単射で比較する。この問題は、無限集合では真の部分集合が全体と同じ濃度を持ちうることを確認している。
6.3よくある誤り
E\subsetneq\mathbb N だから濃度も小さいと判断する誤りである。これは有限集合の直感を無限集合へそのまま移したことによる。
8証明演習:集合演算が包含を保つこと
8.1問題
A\subseteq B のとき、任意の集合 C について
A\cup C\subseteq B\cup C,
\qquad
A\cap C\subseteq B\cap C
を証明せよ。また、全体集合 U を固定したとき
U\setminus B\subseteq U\setminus A
も証明せよ。
8.2解答
x\in A\cup C とする。x\in A または x\in C である。x\in A なら A\subseteq B より x\in B なので x\in B\cup C である。x\in C でも x\in B\cup C である。よって A\cup C\subseteq B\cup C である。
x\in A\cap C とする。x\in A かつ x\in C である。A\subseteq B より x\in B なので x\in B\cap C である。よって A\cap C\subseteq B\cap C である。
x\in U\setminus B とする。もし x\in A なら A\subseteq B より x\in B となり矛盾する。したがって x\notin A であり、x\in U\setminus A である。
8.3解説
この問題は、集合演算が包含をどう保存し、補集合だけは包含の向きを反転させることを確認する演習である。