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集合族と添字集合md 5e2311a
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集合族と添字集合
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1導入
集合族を導入する理由は、2 つや 3 つの集合だけでなく、多数の集合を一括して扱うためである。たとえば、n=1,2,3,\dots のそれぞれについて A_n=\{x\in\mathbb R\mid -1/n<x<1/n\} と置くと、「A_n の全体」をひとまとまりとして扱える。
ここで重要なのは、添字は A_i を指定する名札の役割を持ち、A_i の元である必要はないという点である。
集合族では、添字は集合を呼び出すための名前であり、添字そのものが対象集合の元であるとは限らない。この区別により、同じ形の集合を規則的に扱える。
2用語と定義
全体集合 U を固定する。添字集合 I の各 i\in I に A_i\subseteq U が対応しているとき、(A_i)_{i\in I} を集合族という。
異なる添字 i\ne j に同じ集合が対応して A_i=A_j となってもよい。集合族では、集合そのものだけでなく、どの添字から呼び出されたかも記録する。
集合族 (A_i)_{i\in I} の和集合を
\bigcup_{i\in I}A_i=\{x\mid \text{ある }i\in I\text{ が存在して }x\in A_i\}
で定義する。集合族の共通部分を
\bigcap_{i\in I}A_i=\{x\in U\mid \text{すべての }i\in I\text{ について }x\in A_i\}
で定義する。
3方針
添字付き和集合では、「ある i が存在する」を探す。添字付き共通部分では、「すべての i について」を確認する。この存在と全称の違いが、証明の進め方を決める。
たとえば x\in\bigcup_{i\in I}A_i と分かっているなら、ある i_0\in I が存在して x\in A_{i_0} である。一方、x\in\bigcap_{i\in I}A_i と分かっているなら、任意の i\in I について x\in A_i である。
4直感的な説明
集合族は、引き出しに番号を付けて、各引き出しに集合を入れている状況として見られる。和集合は、どれか 1 つの引き出しに入っていれば採用する。共通部分は、すべての引き出しに入っているものだけを採用する。
この見方では、和集合は条件を緩める操作であり、共通部分は条件を厳しくする操作である。
添字集合が空の場合は特に注意する。空の和集合は集める元がないので空集合になり、空の共通部分は文脈の全体集合を使う約束で扱う。
5厳密な説明:空の添字集合
I=\varnothing の場合は境界例である。和集合 \bigcup_{i\in\varnothing}A_i は、入るための「ある i\in\varnothing」が存在しないため、空集合になる。
共通部分 \bigcap_{i\in\varnothing}A_i は、この講義の定義では固定した U に等しい。すべての x\in U について、検査すべき i\in\varnothing がないため「すべての i\in\varnothing について x\in A_i」が成立する。このように反例となる対象がないため全称条件が真になることを空虚真という。
6例題:添字付き共通部分
6.1問題
A_n=\{m\in\mathbb Z\mid n\text{ は }m\text{ を割り切る}\} とする。\bigcap_{n=1}^{3}A_n を言葉で説明せよ。
6.2解説
m\in\bigcap_{n=1}^{3}A_n とは、m\in A_1、m\in A_2、m\in A_3 の全部が成立するという意味である。つまり m は 1、2、3 のすべてで割り切れる整数である。
したがって \bigcap_{n=1}^{3}A_n は 6 の倍数全体である。この例では、共通部分が複数の条件を同時に満たす元を抽出する操作であることを確認している。