局所線型近似と微分可能性
mathcalculuslinear-approximationlecture
1導入
この講義では、微分を接線の傾きとしてだけでなく、関数の増分を基準点の近傍で線型写像によって近似する方法として説明する。
data/lecture/math/linear-algebra/linearity-basics.lecture.n.md
2直感的な説明
微分可能な関数のグラフは、基準点の近傍では接線によって近似できる。この接線による近似を局所線型近似という。
基準点を a とすると、近似式は
f(x)\approx f(a)+f'(a)(x-a)
である。h=x-a とすれば、増分 h に作用する L(h)=f'(a)h は \mathbb{R} から \mathbb{R} への線型写像である。一方、f(a)+L(h) は定数項を含むためアフィン写像である。「局所線型近似」の線型とは、増分に対する L の線型性を意味する。
3厳密な説明
D\subseteq\mathbb{R}、f:D\to\mathbb{R}、a\in\operatorname{int}D とする。f が a で微分可能であることは、ある実数 c と剰余 r(h) が存在して
f(a+h)=f(a)+ch+r(h)
と書け、さらに
\lim_{h\to0}\frac{r(h)}{h}=0
が成立することと同値である。この条件を r(h)=o(h) とも表記する。これは |r(h)|/|h|\to0、すなわち誤差の絶対値が |h| に比して無視できることを意味する。実際、h\ne0 に対して上式を h で割ると
\frac{f(a+h)-f(a)}{h}=c+\frac{r(h)}{h}
となるため、差商の極限は c であり、c=f'(a) である。逆に、f'(a) が存在するならば、r(h)=f(a+h)-f(a)-f'(a)h と定義することで r(h)/h\to0 を得る。
4具体例
例として \sqrt{4.1} を近似する。f:(0,\infty)\to\mathbb{R}、f(x)=\sqrt{x}、a=4 とする。差商を有理化すると
\frac{\sqrt{4+h}-2}{h}=\frac{1}{\sqrt{4+h}+2}\qquad(h\ne0,\ 4+h>0)
であるため、f'(4)=1/4 である。したがって
\sqrt{x}\approx2+\frac14(x-4)
であり、x=4.1 を代入して
\sqrt{4.1}\approx2.025
を得る。実際の値は \sqrt{4.1}\approx2.02485 であり、基準点に近い範囲では一次近似の誤差が小さいことを確認できる。
5関連リンク
data/lecture/math/linear-algebra/linear-maps-and-matrices.lecture.n.md
6演習リンク
data/exercise/math/calculus/local-linear-approximation-and-differentiability.exercise.n.md