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順序同型と整列順序md ed35d56
lecture/math/discrete-math/order-isomorphisms-and-well-orders.lecture.n.md
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順序同型と整列順序
半順序関係を学ぶ目的は、大小を数値だけでなく構造として扱うことである。そこで重要になるのが、順序を保つ写像と、順序構造が本質的に同じであることを表す順序同型である。
順序同型では、元の名前や表示ではなく、比較関係そのものが同じかを見る。整列順序では、全体だけでなく任意の空でない部分集合に最小元があることまで要求する。
data/lecture/math/discrete-math/partial-and-total-orders.lecture.n.md
1順序を保つ写像
順序上の注意として、写像と全単射の正式な講義は後にある。このページでは、写像を「各元に行き先を 1 つ割り当てる規則」、全単射を「重なりも余りもない対応」として使う。
半順序集合 P,Q に対して、写像 f:P\to Q が順序保存写像であるとは、
x\le_P y\Rightarrow f(x)\le_Q f(y)
が任意の x,y\in P について成立することである。
これは「比較できる関係を壊さない」ことを意味する。異なる元を異なる先へ送る必要や、数値としての距離を保つ必要はない。保存するのは順序である。
2順序同型
写像 f:P\to Q が全単射であり、さらに
x\le_P y\Leftrightarrow f(x)\le_Q f(y)
を任意の x,y\in P について満たすとき、f を順序同型という。
順序同型があるとき、P と Q は順序構造として同じである。元の名前は違っても、どれがどれ以下かという情報は完全に対応する。
data/lecture/math/discrete-math/injections-surjections-and-bijections.lecture.n.md
3鎖と反鎖
鎖とは、任意の 2 元が比較可能な部分集合である。反鎖とは、異なる 2 元が比較不能な部分集合である。
冪集合 \mathcal P(\{1,2\}) を包含で順序づけると、
\varnothing\subseteq\{1\}\subseteq\{1,2\}
は鎖である。一方、
\{1\},\ \{2\}
は互いに包含しないので反鎖である。
鎖では任意の 2 元が比較可能であり、反鎖では異なる 2 元が比較不能である。部分集合として取り出したときの内部の比較だけを見る。
4整列順序
全順序集合 P が整列順序であるとは、空でない任意の部分集合が最小元を持つことである。
自然数全体 \mathbb N は通常の大小で整列順序である。一方、整数全体 \mathbb Z は通常の大小で全順序集合だが、整列順序ではない。なぜなら \mathbb Z 自身が最小元を持たないからである。
整列順序は全順序より強い条件である。全体集合に最小元があるだけでは足りず、どの空でない部分集合を見ても最小元が必要である。
5何を変えずに見ているか
順序保存写像は、順序の向きを保つ。順序同型は、比較可能性、最大元、最小元、極大元、極小元、鎖、反鎖など、ここまでに定義した順序的な性質を保つ。
逆に、元の名前、具体的な表示、数値としての距離は保存対象ではない。
たとえば f:P\to Q が順序同型で、g が P の最大元なら、任意の q\in Q に対して f(p)=q となる p\in P が存在し、p\le_P g だから q=f(p)\le_Q f(g) である。したがって f(g) は Q の最大元である。
この後の束の講義では、上界・下界・結び・交わりを定義し、これらも順序同型で保存されることを扱う。
data/lecture/math/discrete-math/lattice-basics.lecture.n.md