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酸と塩基の基本md ba535e2
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酸と塩基の基本
chemistrytheoreticalhighschoollecture
1導入
この講義では、酸と塩基を性質の名前ではなく、プロトン \mathrm{H^+} を渡す側と受け取る側として読む方法を説明する。
酸性や塩基性を丸暗記すると、中和や弱酸の平衡で混乱しやすい。先に何が移動しているかを固定する。酸塩基反応で主役になるのはプロトンである。
2用語と定義
酸とは、相手へプロトン \mathrm{H^+} を与える化学種である。
塩基とは、相手からプロトン \mathrm{H^+} を受け取る化学種である。
中和とは、酸と塩基が反応し、水や塩などを生じる反応である。
共役酸塩基対とは、プロトン 1 個の有無だけが異なる酸と塩基の組み合わせである。
3方針
酸塩基反応では、次の順序で読む。
- プロトンを出す側を探す。
- プロトンを受け取る側を探す。
- 反応後に共役酸塩基対を確認する。
- 水溶液では \mathrm{H_3O^+} や \mathrm{OH^-} の量へ接続する。
4直感的な説明
酸はプロトンを手放しやすい側であり、塩基はプロトンを受け取りやすい側である。反応式の中で \mathrm{H^+} がどちらからどちらへ移動したかを見れば、酸と塩基を判定できる。
5厳密な説明
5.1原理 1:酸がプロトンを失うと共役塩基になる
仮定として、酸 \mathrm{HA} がプロトンを 1 個与えるとする。結論は、残った \mathrm{A^-} が共役塩基である。
証明する。酸はプロトンを与える化学種である。反応 \mathrm{HA\rightarrow H^+ + A^-} では、\mathrm{HA} はプロトンを失って \mathrm{A^-} になる。逆向きに見れば、\mathrm{A^-} はプロトンを受け取って \mathrm{HA} に戻るので、\mathrm{A^-} は塩基である。したがって \mathrm{A^-} は \mathrm{HA} の共役塩基である。□
5.2原理 2:塩基がプロトンを受け取ると共役酸になる
仮定として、塩基 \mathrm{B} がプロトンを 1 個受け取るとする。結論は、\mathrm{BH^+} が共役酸である。
証明する。塩基はプロトンを受け取る化学種である。反応 \mathrm{B+H^+\rightarrow BH^+} で生じた \mathrm{BH^+} は、逆向きに見ればプロトンを与えて \mathrm{B} に戻る。よって \mathrm{BH^+} は酸であり、\mathrm{B} の共役酸である。□
6具体例
アンモニアと水の反応を考える。
\mathrm{NH_3 + H_2O \rightleftharpoons NH_4^+ + OH^-}
水 \mathrm{H_2O} はプロトンを与えて \mathrm{OH^-} になるので酸である。アンモニア \mathrm{NH_3} はプロトンを受け取って \mathrm{NH_4^+} になるので塩基である。したがって、\mathrm{H_2O/OH^-} と \mathrm{NH_4^+/NH_3} が共役酸塩基対である。
7見分け方
| 見るもの | 判定 |
| \mathrm{H^+} を出した | 酸 |
| \mathrm{H^+} を受け取った | 塩基 |
| 水溶液で \mathrm{H_3O^+} が増える | 酸性 |
| 水溶液で \mathrm{OH^-} が増える | 塩基性 |
8どこまで成立するか
この講義ではプロトンの受け渡しによるブレンステッド・ローリー定義を主に用いる。電子対の受容と供与で定義するルイス酸塩基は、錯体や有機反応で必要になるが、ここでは入口にとどめる。
9最終形
\boxed{\text{H^+ を与える}\rightarrow\text{酸}}
\boxed{\text{H^+ を受け取る}\rightarrow\text{塩基}}
10一言でいうと
酸塩基反応は、プロトンがどちらからどちらへ移動したかを追跡すれば読める。