化学結合の基本
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1導入
この講義では、化学結合を原子が電子配置を安定化するために、電子を受け渡し、共有し、または集団で動かす仕組みとして解説する。
物質の性質は、原子の種類だけでは決まらない。同じ元素を含んでも、結合の様式が異なれば、融点、電気伝導性、水への溶解性が変わる。
2用語と定義
イオン結合とは、電子の受け渡しによって生じた陽イオンと陰イオンの静電気的な引力による化学結合である。
共有結合とは、複数の原子が電子対を共有して作る化学結合である。
金属結合とは、金属原子の間を自由電子が動き、金属陽イオンの集団を結びつける化学結合である。
価電子とは、結合や反応性に主に関与する最外殻の電子である。
3方針
化学結合を見分けるときは、先に電子が何をしているかを確認する。
- 電子が一方から他方へ移動するならイオン結合である。
- 電子対を二つの原子が共有するなら共有結合である。
- 電子が金属全体に広がるなら金属結合である。
5厳密な説明
5.1命題 1:イオン結合では電荷の引力が結合を支える
仮定として、陽イオンと陰イオンが存在する。結論は、両者の間に静電気的な引力が作用することである。
証明する。陽イオンは正の電荷をもち、陰イオンは負の電荷をもつ。異符号の電荷どうしにはクーロン力による引力が作用する。したがって、陽イオンと陰イオンは互いに引き合い、イオン結合が形成される。□
5.2命題 2:共有結合では電子対の共有が両方の原子を安定化する
仮定として、二つの原子が一つの電子対を共有するとする。結論は、その電子対が両方の原子の周囲に存在する電子として数えられることである。
証明する。共有とは、電子対が片方の原子だけに属するのではなく、二つの原子核の間に分布することを意味する。したがって、その電子対は両方の原子の外側の電子配置に寄与する。各原子が安定な電子配置へ近づくなら、共有結合は全体を安定化する。□
6具体例
ナトリウムと塩素では、ナトリウムが電子を 1 個失い、塩素がその電子を受け取る。
\mathrm{Na \rightarrow Na^+ + e^-}
\mathrm{Cl + e^- \rightarrow Cl^-}
生成した \mathrm{Na^+} と \mathrm{Cl^-} は異符号の電荷をもつため、静電気的に引き合う。これが \mathrm{NaCl} のイオン結合である。
7見分け方
| 組み合わせ | 主な結合 | 確認する性質 |
| 金属と非金属 | イオン結合 | 融点が高く、水溶液や融解状態で電気を通す |
| 非金属どうし | 共有結合 | 分子を作るか、共有結合結晶を作る |
| 金属どうし | 金属結合 | 固体でも電気伝導性をもつ |
8どこまで成立するか
高校化学では、結合をイオン結合、共有結合、金属結合に分類する。ただし、実際の結合には連続的な性質があり、完全な電子移動と完全な共有の中間も存在する。この境界を扱うには電気陰性度や分子軌道の見方が必要である。
9最終形
\boxed{\text{電子の移動}\rightarrow\text{イオン結合}}
\boxed{\text{電子対の共有}\rightarrow\text{共有結合}}
\boxed{\text{自由電子の集団化}\rightarrow\text{金属結合}}
10一言でいうと
化学結合は、原子が電子をどう扱うかによって物質の性質を決める仕組みである。