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イオンの基本md 8397ef9
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イオンの基本
chemistrytheoreticalhighschoollecture
1導入
この講義では、イオンを電子の授受によって電荷をもった化学種として解説する。
酸と塩基、沈殿、電池、電気分解は、見た目は別の単元である。しかし水溶液の中で何が存在し、電荷がどう保存されるかを追跡する点では同じである。
2用語と定義
イオンとは、原子または原子団が電子を失う、または受け取ることによって電荷をもった化学種である。
陽イオンとは、正の電荷をもつイオンである。
陰イオンとは、負の電荷をもつイオンである。
電離とは、物質がイオンへ分かれる、またはイオンを生じる過程である。
電解質とは、水に溶けるなどしてイオンを生じ、水溶液が電気を通す物質である。
3方針
イオンが出る問題では、次の順序で読む。
- 粒子が電子を失ったのか、受け取ったのかを確認する。
- 電荷の符号と大きさを書く。
- 反応式や溶液全体で電荷が保存されているかを確認する。
- 水溶液では、実際に動けるイオンを主役として考える。
4直感的な説明
中性の原子は、正の電荷をもつ原子核と、負の電荷をもつ電子の数がつり合っている。電子を失うと正の電荷が余るので陽イオンになり、電子を受け取ると負の電荷が余るので陰イオンになる。
5厳密な説明
5.1原理 1:電子を m 個失うと m+ のイオンになる
仮定として、中性の原子が電子を m 個失うとする。結論は、その化学種の電荷が m+ になることである。
証明する。中性の原子では、原子核の正電荷と電子の負電荷が打ち消し合う。電子 1 個は - の電荷をもつので、これを m 個失うと、負電荷が m 個分減る。したがって正電荷が m 個分過剰になり、電荷は m+ である。□
5.2原理 2:電子を m 個受け取ると m- のイオンになる
仮定として、中性の原子が電子を m 個受け取るとする。結論は、その化学種の電荷が m- になることである。
証明する。電子は負の電荷をもつ。中性の原子へ電子を m 個加えると、負電荷が m 個分過剰になる。したがって全体の電荷は m- である。□
5.3保存則 3:電離式では物質量と電荷の両方を保存する
仮定として、塩化ナトリウムが水中で
\mathrm{NaCl \rightarrow Na^+ + Cl^-}
と電離するとする。結論は、\mathrm{NaCl} 1 mol から \mathrm{Na^+} 1 mol と \mathrm{Cl^-} 1 mol が生じ、全体の電荷は 0 のままであることである。
証明する。式の係数は粒子数比であるから、\mathrm{NaCl} 1 個につき \mathrm{Na^+} 1 個と \mathrm{Cl^-} 1 個が生じる。アボガドロ定数で割っても比は変わらないので、物質量比も 1:1:1 である。また右辺の電荷は (+1)+(-1)=0 であり、左辺の中性な \mathrm{NaCl} と等しい。□
6見分け方
| 状況 | 見るもの |
| \mathrm{Na^+}、\mathrm{Cl^-} のような記号 | 電荷の符号と大きさ |
| 水溶液が電気を通す | 動けるイオン |
| 沈殿が生じる | 組み合わさって水に溶けにくいイオン |
| 電池や電気分解 | 電子を渡すイオンと受け取るイオン |
7どこまで成立するか
高校化学では、イオンを整数電荷をもつ粒子として扱う。これは酸塩基、沈殿、酸化還元を読むには十分である。ただし共有結合性が強い物質では、電荷の偏りは完全な電子移動ではなく部分電荷として現れることがある。
8最終形
\boxed{\text{電子を失う}\Rightarrow\text{陽イオン}}
\boxed{\text{電子を受け取る}\Rightarrow\text{陰イオン}}
\boxed{\text{水溶液では動けるイオンと電荷保存を見る}}
9一言でいうと
イオンは、電子の過不足を電荷として背負った化学種であり、水溶液の反応を読むための基本単位である。