気体の法則の基本
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1導入
この講義では、気体の状態を 圧力 P、体積 V、絶対温度 T、物質量 n の 4 量で記述する方法を説明する。
気体の公式で混乱する原因は、何を一定にしているかを確認しないまま比例式を使うことである。先に P,V,T,n のうち、固定されている量と変化する量を分ける。
2用語と定義
圧力 P とは、単位面積あたりに作用する力である。
P\ [\mathrm{Pa};\ \mathsf{M}\mathsf{L}^{-1}\mathsf{T}^{-2}]
体積 V とは、気体が占める空間の大きさである。
V\ [\mathrm{m^3};\ \mathsf{L^3}]
絶対温度 T とは、熱力学温度であり、単位は K である。
T\ [\mathrm{K};\ \mathsf{\Theta}]
理想気体とは、分子の大きさと分子間力を無視できる模型としての気体である。
3方針
気体の問題では、次の順序で確認する。
- 温度を K へ直す。
- P,V,T,n のうち既知と未知を分ける。
- 物質量が変化しないか、反応で変化するかを確認する。
- 理想気体として扱えるなら PV=nRT を用いる。
4直感的な説明
気体の圧力は、分子が容器の壁に衝突して押す効果として見られる。体積を小さくすると、同じ数の分子が狭い空間に入るので衝突頻度が増える。温度を上げると、分子の運動が激しくなり、衝突の効果が大きくなる。
5厳密な説明
5.1法則 1:ボイルの法則
一定温度かつ一定物質量の気体では、圧力と体積の積が一定である。
PV=\text{const.}
これは実験法則として置く。直感的には、体積を小さくすると壁への衝突頻度が増え、圧力が大きくなることに対応する。
5.2法則 2:シャルルの法則
一定圧力かつ一定物質量の気体では、体積は絶対温度に比例する。
\frac{V}{T}=\text{const.}
ここで T は必ず K で表す。摂氏温度をそのまま使うと、T=0 の意味が比例関係と合わない。
5.3関係式:理想気体の状態方程式は比例関係を統合する
仮定として、気体を理想気体として扱う。結論は PV=nRT である。
証明する。実験的に、理想気体では P は n と T に比例し、V に反比例する。したがって、ある比例定数 R によって P=RnT/V と書ける。V\neq 0 なので両辺に V を掛けて PV=nRT を得る。この R が気体定数である。□
単位を確認する。
P\ [\mathrm{Pa};\ \mathsf{M}\mathsf{L}^{-1}\mathsf{T}^{-2}]
\overset{\mathsf{M}\mathsf{L}^{-1}\mathsf{T}^{-2}}{\underset{\mathrm{Pa}}{\Big|}}
\times
V\ [\mathrm{m^3};\ \mathsf{L^3}]
\overset{\mathsf{M}\mathsf{L}^{2}\mathsf{T}^{-2}}{\underset{\mathrm{J}}{\Big|}}
左辺はエネルギーの次元をもつ。右辺も、R\ [\mathrm{J/(mol(gas)\cdot K)};\ \mathsf{M}\mathsf{L}^{2}\mathsf{T}^{-2}\mathsf{N}_{\mathrm{amt}}^{-1}\mathsf{\Theta}^{-1}] とすれば同じ次元になる。
6具体例
問題として、n=0.50\ [\mathrm{mol(gas)};\ \mathsf{N}_{\mathrm{amt}}]、T=300\ [\mathrm{K};\ \mathsf{\Theta}]、V=0.012\ [\mathrm{m^3};\ \mathsf{L^3}] の理想気体の圧力を求める。
理想気体として扱う仮定があるので、PV=nRT を用いる。
P=\frac{nRT}{V}
この講義では、V\neq 0 の容器を扱っているため使用できる。数値を入れれば圧力が得られる。
7見分け方
| 条件 | 使う形 |
| T,n が一定 | PV=\text{const.} |
| P,n が一定 | V/T=\text{const.} |
| V,n が一定 | P/T=\text{const.} |
| P,V,T,n が混在する | PV=nRT |
8どこまで成立するか
PV=nRT は理想気体の模型である。高圧や低温では、分子の体積や分子間力を無視できず、実在気体としての補正が必要になる。
9最終形
\boxed{PV=\text{const.}}
\boxed{\frac{V}{T}=\text{const.}}
\boxed{PV=nRT}
10一言でいうと
気体の問題は、P,V,T,n のどれを固定しているかを確認し、必要なら理想気体の状態方程式へ統合して解く。