多項式
導入
多項式で最重要なのは、ただの式としてではなく、「数を入れると値が返る対象」として見ることです。
この見方を持つと、「0 にする数を見つける」「因数分解する」「係数と解を結ぶ」という 3 つの話題が、ばらばらではなく 1 本の流れになります。
用語と定義
多項式 とは、a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_0 のように、x の非負の整数乗だけで作られる式です。
根 または 解 とは、P(\alpha)=0 を満たす数 \alpha のことです。
因数 とは、ある多項式を割り切る式です。P(x)=(x-\alpha)Q(x) と書けるなら、x-\alpha は因数です。
方針
多項式では、「0 になる点を見ると構造が見える」という方針を取ります。なぜなら、P(\alpha)=0 という事実は、x-\alpha という因子が潜んでいることを示唆するからです。
直感的な説明
1. 関数としての見方
たとえば P(x)=x^2-5x+6 は、文字の列ではなく「x を入れると値が決まる機械」です。そこで x=2 や x=3 を入れて 0 になるなら、その機械には「2 で止まる」「3 で止まる」という特別な点がある、と見られます。
2. いろいろな見方
0 にする数を見つけると、因数分解が進みます。
根は「値が 0 になる入力」です。
解を直接全部求めなくても、和や積のような対称な量は係数から読めます。
厳密な説明
1. 根と因数の対応
P(\alpha)=0
なら、P(x) は x-\alpha で割り切れます。したがって
\boxed{P(\alpha)=0 \ \Rightarrow\ P(x)=(x-\alpha)Q(x)}
です。
たとえば P(x)=x^2-5x+6 では
P(2)=0,\qquad P(3)=0
なので
P(x)=(x-2)(x-3)
と因数分解できます。
2. 係数と解のつながり
二次式
ax^2+bx+c
が
a(x-\alpha)(x-\beta)
と書けるとします。これを展開すると
a(x-\alpha)(x-\beta)=a\left(x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta\right)
です。したがって係数比較により
\boxed{\alpha+\beta=-\frac{b}{a}},\qquad \boxed{\alpha\beta=\frac{c}{a}}
を得ます。
3. 別の説明
対称式の立場から見ると、ここで見えているのは個々の解そのものではなく、\alpha+\beta と \alpha\beta です。つまり係数は、解を 1 つずつ記録しているのではなく、入れ替えに依存しない量を記録しています。
どこまで成り立つか
根と因数の対応は基本的ですが、どの数の範囲で考えるかは重要です。たとえば x^2+1 は実数では 0 になりませんが、複素数では根を持ちます。
最終形
多項式では、まず
\boxed{P(\alpha)=0 \ \Rightarrow\ x-\alpha \text{ が因数になる}}
が出発点です。
二次式 ax^2+bx+c の解を \alpha,\beta とすると
\boxed{\alpha+\beta=-\frac{b}{a}},\qquad \boxed{\alpha\beta=\frac{c}{a}}
です。
一言でいうと
- 0 にする数を見つけると、式の構造が見えます。
- 多項式は、解と因数分解を往復して考えます。
- 係数は、解の和や積のような対称な情報を運んでいます。