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商空間と第一同型定理md 539b0c8
lecture/math/linear-operator/quotient-spaces-and-first-isomorphism-theorem.lecture.n.md
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商空間しょうくうかん第一同型定理だいいちどうけいていり

date2026-07-14document_iddoc_06a6539bef30d035d0bab943b0bae232description線型作用素が核方向の違いを見分けられないことを、商空間と第一同型定理として定義から証明する講義である。prerequisites線型作用素方程式 / アフィン空間 / 部分空間 / 同値関係type講義content_typelecturestatusactiverelateddata/lecture/math/linear-operator/linear-operator-equation-basics.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-operator/affine-spaces-and-condition-determination.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-algebra/linear-maps-and-matrices.lecture.n.md
mathlinear-operatorquotient-spaceisomorphismlecture

1導入どうにゅう

この講義こうぎでは、線型作用素せんけいさようそlinear operator L:VW が「かく方向ほうこうちがいを見分みわけられない」という事実じじつを、空間くうかんそのものの言葉ことばあらわすことを説明せつめいする。

まえのページでは、Lx=yかい集合しゅうごう

xp+kerL

というアフィン空間くうかんになることをた。ここでは、かい個々ここ代表だいひょうではなく、「かく方向ほうこうだけちがうものはおなじとる」という整理せいりおこなう。

data/lecture/math/linear-operator/affine-spaces-and-condition-determination.lecture.n.md

2なぜ商空間しょうくうかんかんがえるのか

Lx=Lx なら

L(x-x)=0

なので

x-xkerL

である。ぎゃくに、x-xkerL なら Lx=Lx である。

つまり、L にとって xx は、kerLはいかぎおな出力しゅつりょくあたえる。この観察かんさつから、入力にゅうりょくを 1 ずつ区別くべつするのではなく、kerL 方向ほうこううごかしてられるあつまりを 1 つの単位たんいとしてあつかいたくなる。

この単位たんい商空間しょうくうかんげんである。

3定義ていぎ商空間しょうくうかん

V をベクトル空間くうかんUV部分空間ぶぶんくうかんとする。x,xVたいして

xxx-xU

定義ていぎする。このとき、x同値どうちげん集合しゅうごう

x+U={x+uuU}

x剰余類じょうよるいcosetまたは同値類どうちるいという。

すべての同値類どうちるい集合しゅうごう

V/U={x+UxV}

を、U による商空間しょうくうかんquotient spaceという。

4命題めいだい 1:同値関係どうちかんけいである

4.1主張しゅちょう

xxx-xU定義ていぎすると、同値関係どうちかんけいである。

4.2証明しょうめい

反射律はんしゃりつしめす。x-x=0 であり、U部分空間ぶぶんくうかんだから 0U である。よって xx である。

対称律たいしょうりつしめす。xx とする。すると x-xU である。U部分空間ぶぶんくうかんなので、そのである x-x=-(x-x)Uはいる。よって xx である。

推移律すいいりつしめす。xxxx' とする。すると x-xUx-x'U である。Uじているので

x-x'=(x-x)+(x-x')U

である。よって xx' である。□

5定義ていぎV/Uざん定数倍ていすうばい

商空間しょうくうかん V/U では

(x+U)+(z+U)=(x+z)+U
α(x+U)=(αx)+U

定義ていぎする。

ここで確認かくにんすべきことは、xz代表だいひょうえても結果けっかわらないことである。この性質せいしつを well-defined、つまり定義ていぎ代表だいひょうえらかた依存いぞんしない、という。

6命題めいだい 2:商空間しょうくうかん演算えんざんは well-defined である

6.1主張しゅちょう

x+U=x+Uz+U=z+U なら

(x+z)+U=(x+z)+U

である。また、x+U=x+U なら

αx+U=αx+U

である。

6.2証明しょうめい

x+U=x+U とは x-xU であることと同値どうちであり、z+U=z+U とは z-zU であることと同値どうちである。したがって

(x+z)-(x+z)=(x-x)+(z-z)U

である。よって (x+z)+U=(x+z)+U である。

また、x-xU なら、U定数倍ていすうばいじているので

αx-αx=α(x-x)U

である。よって αx+U=αx+U である。□

7定理ていり線型作用素せんけいさようそ第一同型定理だいいちどうけいていり

7.1主張しゅちょう

L:VW線型作用素せんけいさようそlinear operatorとする。このとき

V/kerLImL

である。

7.2証明しょうめい

写像しゃぞう

Φ:V/kerLImL,Φ(x+kerL)=Lx

かんがえる。

まず、Φ が well-defined であることをしめす。x+kerL=x+kerL とする。これは x-xkerL意味いみする。したがって

L(x-x)=0

であり、Lx=Lx である。よって代表だいひょうえても Φあたいわらない。

つぎに、Φ線型せんけいである。商空間しょうくうかん演算えんざん定義ていぎL線型性せんけいせいより

\begin{aligned} \Phi(\alpha(x+\ker L)+\beta(z+\ker L)) &=\Phi((\alpha x+\beta z)+\ker L)\\ &=L(\alpha x+\beta z)\\ &=\alpha Lx+\beta Lz\\ &=\alpha\Phi(x+\ker L)+\beta\Phi(z+\ker L) \end{aligned}

である。

つぎに、Φ全射ぜんしゃである。任意にんいwImLたいして、ぞう定義ていぎより、ある xV存在そんざいして w=Lx である。すると Φ(x+kerL)=w である。

最後さいごに、Φ単射たんしゃである。Φ(x+kerL)=0 とする。すると Lx=0 なので xkerL である。したがって

x+kerL=0+kerL

である。よって Φかく0+kerL だけであり、Φ単射たんしゃである。

以上いじょうより、Φ線型せんけい全単射ぜんたんしゃである。したがって

V/kerLImL

である。□

8意味いみ

V/kerL は、L見分みわけられない入力にゅうりょくどうしを 1 つにつぶした空間くうかんである。つぶしたあとのこ本質的ほんしつてき入力にゅうりょくは、ちょうど ImLおな情報じょうほうつ。

これは階数退化次数定理かいすうたいかじすうていり直感ちょっかんとも一致いっちする。入力にゅうりょく自由度じゆうどのうち、kerL 方向ほうこう出力しゅつりょくあらわれず、のこった自由度じゆうどぞうとしてあらわれる。

9一言ひとことでいうと

商空間しょうくうかん V/kerL は、L区別くべつできないかく方向ほうこう同一視どういつしした空間くうかんである。第一同型定理だいいちどうけいていりは、その空間くうかんImL同型どうけいであることをべている。

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