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エネルギー保存則の適用-定石集
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エネルギー保存則の適用-定石集
physicsmechanicsreference
1. 使う場面
- 時間の詳細なしに特定位置での速度を求める問題
- 高さ・速度・ばねの変位の始点・終点だけが与えられている場合
- 自由落下・ばねの振動・曲面に沿った運動で軌跡が複雑な場合
2. 見分け方
| 状況 | 使用する定石 |
| 始点・終点の速度だけ必要、保存力のみ | K + U = \text{const} |
| 摩擦・空気抵抗あり | \Delta K = W(全仕事)を使用 |
| 各時刻の位置・速度の式が必要 | 運動方程式を積分 |
| 衝突を含む | 運動量保存則の定石へ |
保存力かどうかの判定:重力・弾性力・静電気力は保存力、動摩擦力・空気抵抗は非保存力。
4. 解き方の手順
ルート A:力学的エネルギー保存則(保存力のみ)
- 系に作用する力が保存力のみであることを確認する
- 始点と終点を設定し、各物理量(v, h, x)を記号で置く
- K_{\text{初}} + U_{\text{初}} = K_{\text{後}} + U_{\text{後}} を立式する
- 未知数について解く
このルートを選ぶ場面:空気抵抗と摩擦が無視できる場合。軌跡が複雑でも始点・終点の高さと速度だけで計算できる。
ルート B:\Delta K = W(非保存力あり)
- 全仕事 W = W_{\text{保存力}} + W_{\text{非保存力}} を個別に計算する
- W_{\text{保存力}} = -\Delta U(保存力の仕事は位置エネルギーの減少)
- \Delta K = W_{\text{保存力}} + W_{\text{非保存力}} に代入する
- \Delta(K + U) = W_{\text{非保存力}} として力学的エネルギーの変化量を算出する
このルートを選ぶ場面:動摩擦力や空気抵抗が存在する問題。
5. 判別と注意点
力学的エネルギー保存則が使えない場合:動摩擦力・空気抵抗・爆発力などの非保存力が仕事をするとき。この場合は必ず \Delta K = W に戻る。
仕事の符号の確認:動摩擦力の仕事は常に負(運動を妨げる方向)。|W_{\text{摩擦}}| = \mu_k N \cdot s(s は移動距離)。
複数の力がある場合の U:重力と弾性力が同時に作用する場合は U = mgh + \tfrac{1}{2}kx^2(線形加算)。
6. 落とし穴
- 動摩擦力を保存力と混同:K + U = \text{const} を使用すると摩擦熱による散逸が消えて誤った答えになる
- h の基準面を途中で変更:始点・終点で同じ基準面を使用する
- ばねが自然長か変位 x かを混同:U = \tfrac{1}{2}kx^2 の x は自然長からの変位