保存則の導出
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導入
このページは高校本線の最短経路ではなく、公式の意味を見抜くための発展ページである。保存則は、外から与えられた特別な格言ではない。出発点は常に
m\vec{a}=\vec{F}
であり、そこへどの操作を施すかによって、別の保存量が現れる。このページでは、何を保存したいときに何をすればよいかを、途中式と単位確認を省略せずに整理する。
このページで解けるようになること
- 運動量保存則が「全体和を取る」と現れる理由
- 力学的エネルギー保存則が「変位と内積を取る」と現れる理由
- どの条件が保存則の本質条件で、どの条件が単なる便利な十分条件か
- 「保存則を使う」のではなく、「保存量が出る形へ式を変える」という見方
何を解くページか
このページの主題は二つである。
- 系全体に対して和を取ると、内力が消えて運動量保存則が現れる
- 運動方程式に変位を内積すると、仕事とエネルギーの形が現れる
したがって、このページは新しい解法公式を足すページではなく、既存の公式がどこから出るかを再構成するページである。
方針
運動量保存則を導きたいとき
粒子ごとの式を全部足す。狙いは、内力が対ごとに打ち消し合うことを利用して、外力だけを残すことである。
力学的エネルギー保存則を導きたいとき
運動方程式に d\vec{r} を内積する。狙いは、右辺を仕事の微小量 \vec{F}\cdot d\vec{r} に変えることである。この二つは似た保存則でも、思いつく操作は全く異なる。ここを混同しないことが重要である。
適用条件
- 運動量保存則の本質条件は、系に働く外力の合計が 0 であること
- 多粒子系で内力が打ち消し合うためには、対ごとの作用反作用を使う
- 力学的エネルギー保存則の本質条件は、非保存力のする仕事が 0 であること
- 解析解が書けることと、保存量が存在することは別問題である
用語と定義
運動量
\vec{p}=m\vec{v}
全運動量
多粒子系では
\vec{P}=\sum_i m_i\vec{v}_i
である。
仕事
dW=\vec{F}\cdot d\vec{r},\qquad W=\int_C \vec{F}\cdot d\vec{r}
運動エネルギー
K=\frac{1}{2} mv^2,\qquad K_{\mathrm{tot}}=\sum_i \frac{1}{2} m_i v_i^2
保存力
仕事が経路に依らず、位置エネルギー U を導入できる力である。微小形では
dU=-\vec{F}_{\mathrm{cons}}\cdot d\vec{r}
と書く。
何を最初に見分けるか
- 系全体を考えて外力だけを残したいのか
- 力と変位を結びつけて仕事へ変換したいのか
- 保存と名付いた式を使う前に、その条件が本当に満たされるか
この判定を先に行うと、保存則を「覚えた公式」としてではなく「式変形の結果」として扱える。
導出または基本式
1. 運動量保存則の導出
段1: 1 粒子の運動方程式を運動量の形に読む
Newton の法則
m\frac{d\vec{v}}{dt}=\vec{F}
より
\frac{d}{dt}(m\vec{v})=\vec{F}
すなわち
\frac{d\vec{p}}{dt}=\vec{F}
を得る。
段2: 多粒子系で全部足す
N 個の粒子からなる系で、i 番目の粒子について
m_i\frac{d\vec{v}_i}{dt}=\vec{F}^{\mathrm{ext}}_i+\sum_{j\ne i}\vec{F}_{ij}
と書く。これらを全部加えると
\frac{d}{dt}\sum_i m_i\vec{v}_i=\sum_i \vec{F}^{\mathrm{ext}}_i+\sum_i\sum_{j\ne i}\vec{F}_{ij}
となる。
段3: 内力が打ち消し合う
作用反作用
\vec{F}_{ij}=-\vec{F}_{ji}
により、二重和の内力項は対ごとに消える。これは、系の内側で押し合う力は全運動量を変えず、外力だけが系全体の運動量を変えるという内容である。したがって
\frac{d\vec{P}}{dt}=\vec{F}^{\mathrm{ext}}_{\mathrm{total}}
を得る。特に
\vec{F}^{\mathrm{ext}}_{\mathrm{total}}=0
なら
\boxed{\vec{P}=\text{const}}
である。
単位確認
[\vec{P}]=\cdot
\left[\frac{d\vec{P}}{dt}\right]==
であり、力と整合している。
2. 仕事・エネルギー関係の導出
段1: 変位と内積する
m\frac{d\vec{v}}{dt}=\vec{F}
の両辺に d\vec{r} を内積して
m\frac{d\vec{v}}{dt}\cdot d\vec{r}=\vec{F}\cdot d\vec{r}
とする。
段2: 左辺を運動エネルギーの微分へ変える
d\vec{r}=\vec{v}dt
であるから
m\frac{d\vec{v}}{dt}\cdot \vec{v}dt
=m\vec{v}\cdot d\vec{v}=d\!\left(\frac{1}{2} mv^2\right)
となる。したがって
dK=\vec{F}\cdot d\vec{r}=dW
ゆえに積分して
\boxed{\Delta K=W_{\mathrm{net}}}
を得る。
単位確認
K\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]
=
\frac{1}{2}\ [\mathrm{1};\ \mathsf{1}]\ \underset{\mathrm{1}}{\vert}
\times
m\ [\mathrm{kg};\ \mathsf{M}]\ \underset{\mathrm{kg}}{\vert}
\times
v^2\ [\mathrm{m^2/s^2};\ \mathsf{L^2T^{-2}}]\ \underset{\mathrm{kg\,m^2/s^2}}{\vert}
であり、仕事の単位と一致する。
3. 力学的エネルギー保存則の導出
保存力だけが仕事をするなら
dU=-\vec{F}_{\mathrm{cons}}\cdot d\vec{r}
であるから、
dK=\vec{F}_{\mathrm{cons}}\cdot d\vec{r}=-dU
すなわち
d(K+U)=0
を得る。よって
\boxed{K+U=\text{const}}
となる。
より一般には、非保存力の仕事 W_{\mathrm{nc}} を残して
\Delta(K+U)=W_{\mathrm{nc}}
と書くのが本質である。
なぜその変形を思いつくのか
運動量の場合
系全体の運動を知りたいなら、部分ごとの差ではなく総和を取るのが自然である。多粒子系では内力が対になっているので、全部足せば内側のやり取りが消え、外から加えた効果だけが残る。
エネルギーの場合
運動方程式には v^2 が直接出ない。そこで、変位と内積して右辺を仕事の形に変えれば、左辺が自然に d(\frac{1}{2} mv^2) へ変わる。したがって、「変位と内積する」という操作が鍵になる。
具体例 1: 2 物体衝突での運動量保存
短時間衝突では、接触力は大きくても接触時間が短いので、外力の力積を無視できる場合が多い。そのとき
\vec{P}_{\mathrm{before}}=\vec{P}_{\mathrm{after}}
を用いる。ここで効いている本質は、衝突力が内力であり、全体和を取ると消えることである。
具体例 2: 自由落下
重力だけが仕事をするなら
K+U=\text{const}
より
0+mgh=\frac{1}{2} mv^2+0
となる。ここで使っている本質は、重力が保存力であることであり、「落下問題だから保存則を使う」のではない。
比較例: 摩擦があるとき
摩擦があるなら
K+U=\text{const}
は使えない。しかし
\Delta K=W_{\mathrm{net}}
と
\Delta(K+U)=W_{\mathrm{nc}}
はなお有効である。したがって、保存則が壊れたときは、より基本の式へ戻ればよい。
系の取り方で保存する量が変わる
保存則を使う前に、どこまでを系に含めるかを決める必要がある。同じ現象でも、系の境界を変えると、外力と内力の分類が変わるからである。
たとえば 2 物体の衝突で、1 物体だけを系にすると、相手からの衝突力は外力であり、その物体の運動量は変わる。一方で 2 物体をまとめて系にすると、衝突力は内力になり、外力の力積が無視できれば全運動量が保存する。
したがって、保存則は「物体ごとに勝手に成り立つ式」ではなく、選んだ系について外部からの作用があるかを調べる式である。
保存則の見取り図
保存則は「いつでも何でも保存する」という主張ではない。何が 0 かによって、保存する量が変わる。
| 0 になるもの | 保存する量 | 典型例 |
| 外力の合力 | 全運動量 | 短時間の衝突、宇宙空間の分裂 |
| 非保存力の仕事 | 力学的エネルギー | 摩擦なしの落下、ばね、重力場 |
| 外力のモーメント | 角運動量 | 中心力、支点まわりの衝突 |
問題では、保存しそうな量を先に決めるのではなく、その量を変える外部からの作用が 0 かどうかを先に確認する。
追加例: 爆発とエネルギー
静止していた物体が内部の爆発で 2 つに分かれる。外力の力積を無視できるなら、全運動量は保存する。
m_1\vec{v}_1+m_2\vec{v}_2=\vec{0}
したがって 2 つの破片の運動量は大きさが等しく逆向きである。一方で、運動エネルギーは増えることがある。これは内部に蓄えられていた化学エネルギーや弾性エネルギーが運動エネルギーへ変換されたからであり、力学的エネルギー保存とは別の話である。
どこまで成り立つか
- 運動量保存則は外力合計が 0 の特別な場合であり、常に成り立つ基本式は \dfrac{d\vec{P}}{dt}=\vec{F}^{\mathrm{ext}}_{\mathrm{total}} である
- 力学的エネルギー保存則は非保存力の仕事が 0 の特別な場合であり、常に成り立つ基本式は \Delta K=W_{\mathrm{net}} である
- 「解が求まる」と「保存量がある」は別の話である
よくある誤り
- 運動量保存則の条件を書かずに使う
- 作用反作用の対が別物体に働くことを忘れて、単一物体で相殺させる
- 力学的エネルギー保存則と \Delta K=W を同じものとして扱う
- 摩擦があるのに保存則の形だけを適用する
まとめ
保存則は、運動方程式から
- 全体和を取る
- 変位と内積する
という二種類の操作を施した結果として現れる。したがって、保存則を正しく使うには、何を保存したいかに応じて、どの変形を採るべきかを見抜くことが先である。
保存則を選ぶ順序
保存則は「使えそうな公式」から選ぶのではなく、外から入る量があるかで選ぶ。運動量なら外力の力積、エネルギーなら非保存力の仕事、角運動量なら外力のモーメントを見る。
| 見る量 | 保存の条件 | 破るもの |
| P\ [\mathrm{kg\,m/s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] | I_{\mathrm{ext}}\ [\mathrm{N\,s};\ \mathsf{MLT^{-1}}]\approx 0\ [\mathrm{N\,s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] | 外力の力積 |
| E\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] | W_{\mathrm{non}}\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]=0\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] | 摩擦などの非保存力の仕事 |
| L\ [\mathrm{kg\,m^2/s};\ \mathsf{ML^2T^{-1}}] | \tau_{\mathrm{ext}}\Delta t\ [\mathrm{N\,m\,s};\ \mathsf{ML^2T^{-1}}]\approx 0\ [\mathrm{N\,m\,s};\ \mathsf{ML^2T^{-1}}] | 外力のモーメント |
保存しないときも、その変化量を右辺に置けば有効な式になる。
問題を解くときは、最初から保存しそうな量を探すのではなく、まず系と時間範囲を決める。その上で、外力の力積が無視できるなら運動量、外力のモーメントが 0\ [\mathrm{N\,m};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] なら角運動量、非保存力の仕事が 0\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] なら力学的エネルギーを使う。
判定を表にすると、保存させたい量と無視すべき作用を混同しにくい。
| 使う量 | 保存の条件 | 破る作用 |
| 運動量 P\ [\mathrm{kg\,m/s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] | 外力の力積 I_{\mathrm{ext}}\ [\mathrm{N\,s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] が無視できる | 外力 |
| 角運動量 L\ [\mathrm{kg\,m^2/s};\ \mathsf{ML^2T^{-1}}] | 外力のモーメント \tau_{\mathrm{ext}}\ [\mathrm{N\,m};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] が無視できる | 外力のモーメント |
| 力学的エネルギー K+U\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] | 非保存力の仕事 W_{\mathrm{nc}}\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] が無視できる | 摩擦、変形、熱への移動 |
同じ問題でも、時間範囲を変えると使える保存則が変わる。衝突中は短時間なので重力の力積を無視できても、衝突前後の長い運動では重力を無視できないことがある。保存則は状況ではなく、選んだ系と時間範囲に対して判定する。
保存しない量も役に立つ
保存しないからといって、その量が不要になるわけではない。運動量が保存しないときは、外力の力積がその変化を与える。力学的エネルギーが保存しないときは、非保存力の仕事がその変化を与える。角運動量が保存しないときは、外力のモーメントの力積がその変化を与える。
つまり保存則は、「変わらない場合だけの公式」ではなく、「何がその量を変えるか」を示す基本法則の特別な場合である。この理解にすると、保存するかどうかを丸暗記する必要がなくなる。
文字式の単位
保存則を導くときも、文字式の単位を追う。全運動量 \vec{P}\ [\mathrm{kg\,m/s};\ \mathsf{MLT^{-1}}]、外力の合力 \vec{F}_{\mathrm{total}}^{\mathrm{ext}}\ [\mathrm{N};\ \mathsf{MLT^{-2}}]、時間 t\ [\mathrm{s};\ \mathsf{T}] について、d\vec{P}/dt\ [\mathrm{kg\,m/s^2};\ \mathsf{MLT^{-2}}]=[\mathrm{N}] である。
仕事とエネルギーでは、K\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]、U\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]、W\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] を同じ単位で扱う。\Delta K=W_{\mathrm{net}}\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] では両辺が [\mathrm{J}]、\Delta(K+U)=W_{\mathrm{nc}}\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] でも両辺が [\mathrm{J}] である。保存するかどうかの前に、足している量の単位が同じかを確認する。
式の極限から保存則を読む
保存則は、より一般的な変化の式で右辺が 0 になる特別な場合である。運動量なら
\Delta P = I_{\mathrm{ext}}
であり、より丁寧には
\Delta P = I_{\mathrm{ext}}
と書ける。外力の力積 I_{\mathrm{ext}}\ [\mathrm{N\,s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] が 0\ [\mathrm{N\,s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] なら \Delta P=0\ [\mathrm{kg\,m/s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] となる。力学的エネルギーなら、非保存力の仕事 W_{\mathrm{nc}}\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] が 0\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] のときに K+U\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] が保存する。
この見方では、「保存するかどうか」を暗記するより、「何がその量を変えるか」を先に考える。変える作用が無視できる極限で、保存則が現れる。
複数の保存則を同時に使うとき
未知数が 2 つ以上あるときは、保存則も 1 本では足りない。運動量保存は速度の 1 次の式、力学的エネルギー保存は速度の 2 次の式として働くため、同じ未知速度を別の角度から縛れる。
たとえば 1 次元の弾性衝突では、運動量について
m_1v_1+m_2v_2
=m_1v_1'+m_2v_2'
を立て、力学的エネルギーについて
\frac{1}{2}m_1v_1^2
+\frac{1}{2}m_2v_2^2
=\frac{1}{2}m_1v_1'^2
+\frac{1}{2}m_2v_2'^2
を立てる。前者の各項は [\mathrm{kg\,m/s}]、後者の各項は [\mathrm{J}] でそろう。単位が違う 2 種類の式だからこそ、同じ現象を別の制約として使える。
運動量、角運動量、力学的エネルギーは、同時に使えることもあれば、一部だけ使えることもある。衝突では運動量が保存しても、力学的エネルギーは熱や変形へ移ることがある。中心力では角運動量が保存し、摩擦がなければ力学的エネルギーも保存する。
使う保存則を増やすときは、条件も一緒に増えているかを確認する。式の本数だけを増やしても、成り立つ条件を満たしていなければ解は物理的な意味をもたない。
主要文字式の単位確認
全運動量 P\ [\mathrm{kg\,m/s};\ \mathsf{MLT^{-1}}]、外力の合力 F_{\mathrm{ext}}\ [\mathrm{N};\ \mathsf{MLT^{-2}}]、力積 I_{\mathrm{ext}}\ [\mathrm{N\,s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] を使う。F_{\mathrm{ext}}\Delta t\ [\mathrm{N\,s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] は [\mathrm{kg\,m/s}] と同じ単位なので、運動量変化 \Delta P\ [\mathrm{kg\,m/s};\ \mathsf{MLT^{-1}}] と対応する。
エネルギーでは、K\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]、U\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]、W\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]、\Delta(K+U)\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] を同じ単位で扱う。角運動量を扱うときは、L\ [\mathrm{kg\,m^2/s};\ \mathsf{ML^2T^{-1}}] と \tau\Delta t\ [\mathrm{N\,m\,s};\ \mathsf{ML^2T^{-1}}] が同じ単位であることを確認する。
数式内での単位明示
運動量の変化は
\Delta P = I_{\mathrm{ext}}
と書ける。仕事とエネルギーでも、保存・非保存を判断する前に両辺の単位を数式内でそろえる。
\Delta K = W_{\mathrm{net}}, \qquad \Delta(K+U) = W_{\mathrm{nc}}
解法としての保存則の選択
保存則を使う前に、変化させる作用が無視できるかを確認する。運動量なら外力の力積、角運動量なら外力のモーメントの力積、力学的エネルギーなら非保存力の仕事を見る。
たとえば、短時間の衝突では重力が存在しても、その力積が衝突力の力積に比べて小さければ運動量を保存として扱える。一方、衝突で変形や熱が生じるなら、力学的エネルギーは保存しない。
数式内で、P\ [\mathrm{kg\,m/s};\ \mathsf{MLT^{-1}}]、I\ [\mathrm{N\,s};\ \mathsf{MLT^{-1}}]、K\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]、U\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]、W\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}] の単位を確認すると、保存させている量を混同しにくい。
保存則が破れて見える理由
保存則が破れたように見えるとき、多くは系の取り方が狭い。物体だけを系にすると、摩擦で力学的エネルギーが減ったように見える。しかし床や周囲まで含めれば、熱として移ったエネルギーも含めて保存を考えられる。
運動量でも同じである。物体 1 つだけを系にすれば、外力で運動量は変わる。相手の物体まで含めれば、その相互作用は内力になり、全運動量では打ち消し合うことがある。
したがって、保存しないと判断する前に、系を広げると保存するかを考える。単位としては、運動量なら P\ [\mathrm{kg\,m/s};\ \mathsf{MLT^{-1}}]、エネルギーなら E\ [\mathrm{J};\ \mathsf{ML^2T^{-2}}]、角運動量なら L\ [\mathrm{kg\,m^2/s};\ \mathsf{ML^2T^{-1}}] を追跡していることを明確にする。