markdown
Z 変換の基礎md 6ae720a
lecture/math/analysis/introduction-to-z-transform.lecture.n.md
Download PDF

Z 変換へんかん基礎きそ

date2026-07-14document_iddoc_8fa5149e9a74765824017f2b43f5393edescriptionZ変換を、離散時間列のシフト作用素を代数的な z の式へ移す変換として導入する講義である。prerequisites数列と漸化式 / シフト作用素と漸化式 / 複素数と複素平面type講義content_typelecturestatusactiverelateddata/lecture/math/analysis/analysis-portal.lecture.n.md / data/lecture/math/sequence/shift-operators-and-recurrences.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-operator/heaviside-operator-method-and-transforms.lecture.n.md / data/lecture/math/analysis/introduction-to-laplace-transform.lecture.n.md / data/lecture/math/analysis/introduction-to-fourier-transform.lecture.n.md
mathanalysisz-transformsequencelinear-operatorlecture

1導入どうにゅう

この講義こうぎでは、Z 変換へんかんZ-transformシフト作用素さようそshift operatorz または z-1 による代数的乗算だいすうてきじょうざん変換へんかんすることを説明せつめいする。

連続時間れんぞくじかん微分方程式びぶんほうていしきでは、ラプラス変換へんかん微分作用素びぶんさようそsしきうつす。離散時間りさんじかん漸化式ぜんかしきでは、Z 変換へんかんがシフトや遅延ちえんzz-1しきうつす。

data/lecture/math/sequence/shift-operators-and-recurrences.lecture.n.md

2定義ていぎ

この講義こうぎでは z0 とする。

両側りょうがわれつ x=(x[n])nZたいして、両側 Z 変換へんかんbilateral Z-transform

Xb(z)=[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"mathcal\")")]Zb{x[n]}=n=-x[n]z-n

定義ていぎする。

片側かたがわれつ x=(x[n])n[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"ge\")")]0たいして、片側 Z 変換へんかんunilateral Z-transform

X+(z)=[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"mathcal\")")]Z+{x[n]}=n=0x[n]z-n

定義ていぎする。

どちらの定義ていぎでも、n|x[n]z-n|収束しゅうそくする z範囲はんい確認かくにんする必要ひつようがある。この絶対収束ぜったいしゅうそくする範囲はんい収束領域しゅうそくりょういきregion of convergenceりゃくして ROC という。Z 変換へんかん結果けっかは、しきだけでなく「しきと ROC のくみ」である。以下いかでは、両側変換りょうがわへんかんXb片側変換かたがわへんかんX+ける。

3ROC による原列げんれつ識別しきべつ

a0 とし、u[n]n[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"ge\")")]0 で 1、n<0 で 0 となる単位階段列たんいかいだんれつunit step sequenceとする。x[n]=anu[n] なら

Xb(z)=n=0anz-n=11-az-1=zz-a,|z|>|a|

である。一方いっぽうy[n]=-anu[-n-1] なら

Yb(z)=-n=--1anz-n=-m=1(za)m=zz-a,0<|z|<|a|

である。有理式ゆうりしきおなz/(z-a) でも、外側そとがわの ROC では右向みぎむきのれつ anu[n]内側うちがわの ROC では左向ひだりむきのれつ -anu[-n-1]あらわす。

このれいでは、逆 Z 変換ぎゃくゼットへんかんinverse Z-transformは ROC に適合てきごうする Laurent 展開てんかい

Xb(z)=n=-x[n]z-n

えらび、z-n係数けいすう抽出ちゅうしゅつする操作そうさである。この講義こうぎでは複素積分ふくそせきぶん前提ぜんていにせず、幾何級数きかきゅうすう係数比較けいすうひかく逆変換ぎゃくへんかんする。

4おもz-n とシフト作用さよう

漸化式ぜんかしきでは、x[n+1]x[n-1] のように添字そえじ移動いどうする。この移動いどう代数的だいすうてき処理しょりするため、添字そえじが 1 増加ぞうかするごとに一定倍率いっていばいりつあたえるおもみを採用さいようする。

z-n

z-(n+1)=z-1z-n

たす。したがって、添字そえじを 1 移動いどうする操作そうさは、変換後へんかんごには z または z-1 による乗算じょうざんとして表現ひょうげんされる。

5命題めいだい 1:両側りょうがわ Z 変換へんかん線型せんけいである

5.1主張しゅちょう

XbYb の ROC の共通部分きょうつうぶぶんで、

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"mathcal\")")]Zb{αx[n]+βy[n]}=αXb(z)+βYb(z)

である。

5.2証明しょうめい

定義ていぎより

\begin{aligned} \mathcal Z_{\mathrm b}\{\alpha x[n]+\beta y[n]\} &=\sum_n(\alpha x[n]+\beta y[n])z^{-n}\\ &=\alpha\sum_nx[n]z^{-n}+\beta\sum_ny[n]z^{-n}\\ &=\alpha X_{\mathrm b}(z)+\beta Y_{\mathrm b}(z) \end{aligned}

である。したがって Z 変換へんかん線型せんけいである。こう相殺そうさいすると ROC がひろがることはあるが、すくなくとも共通部分きょうつうぶぶんではこの計算けいさん正当化せいとうかされる。□

6命題めいだい 2:両側りょうがわ Z 変換へんかんではシフトが z ばいになる

6.1主張しゅちょう

E

(Ex)[n]=x[n+1]

定義ていぎされる前進ぜんしんシフト作用素さようそとする。両側りょうがわ Z 変換へんかんでは

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"mathcal\")")]Zb{(Ex)[n]}=zXb(z)

である。

また、遅延作用素ちえんさようそ D-

(D-x)[n]=x[n-1]

定義ていぎすると

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"mathcal\")")]Zb{(D-x)[n]}=z-1Xb(z)

である。

6.2証明しょうめい

まず前進ぜんしんシフトについて、

\begin{aligned} \mathcal Z_{\mathrm b}\{x[n+1]\} &=\sum_{n=-\infty}^{\infty}x[n+1]z^{-n}. \end{aligned}

m=n+1くと n=m-1 である。したがって

n=-x[n+1]z-n=m=-x[m]z-(m-1)=zm=-x[m]z-m=zXb(z)

である。

同様どうように、m=n-1くと

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"mathcal\")")]Zb{x[n-1]}=m=-x[m]z-(m+1)=z-1Xb(z)

である。□

7片側かたがわ Z 変換へんかん初期項しょきこう

片側かたがわ Z 変換へんかんでは、n=0 からはじまるため、シフトするとはしこうのこる。

たとえば

\begin{aligned} \mathcal Z_+\{x[n+1]\} &=\sum_{n=0}^{\infty}x[n+1]z^{-n}\\ &=z\sum_{m=1}^{\infty}x[m]z^{-m}\\ &=z(X_+(z)-x[0]) \end{aligned}

である。

これはラプラス変換へんかん

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"mathcal\")")]L{f}=sF(s)-f(0)

となることに対応たいおうする。片側変換かたがわへんかんでは、初期値しょきち変換式へんかんしきむため、シフト公式こうしき初期項しょきこう付加ふかされる。

8漸化式ぜんかしきへの応用おうよう

a0 とし、片側かたがわ漸化式ぜんかしき

x[n+1]-ax[n]=r[n],x[0]=x0

かんがえる。片側かたがわ Z 変換へんかんると

z(X+(z)-x0)-aX+(z)=R+(z)

である。したがって

(z-a)X+(z)=R+(z)+zx0

となり、

X+(z)=R+(z)+zx0z-a

る。ここで R+(z)=[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"mathcal\")")]Z+{r[n]} である。

この操作そうさは、漸化式ぜんかしきというシフト作用素方程式さようそほうていしきを、X+(z)かんする代数方程式だいすうほうていしき変換へんかんするものである。

入力にゅうりょくが 0、すなわち r[n]=0場合ばあい

X+(z)=zx0z-a=x01-az-1=x0n=0anz-n,|z|>|a|

となる。z-n係数けいすうめば

x[n]=x0an(n[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"ge\")")]0)

る。これにより、変換後へんかんご代数方程式だいすうほうていしき求解きゅうかいと、ROC に適合てきごうする級数展開きゅうすうてんかいからの原列げんれつ復元ふくげん完了かんりょうする。

9たたみとの関係かんけい

線型時不変せんけいじふへん(LTI)システムlinear time-invariant systemとは、入出力写像にゅうしゅつりょくしゃぞう線型結合せんけいけつごう保存ほぞんし、シフト作用さよう可換かかんであるシステムをいう。n=0 で 1、それ以外いがいで 0 の単位たんいインパルスunit impulse δ[n]入力にゅうりょくしたときの出力しゅつりょく h[n]インパルス応答おうとうimpulse responseという。

有限個ゆうげんここうだけが 0 でないれつx[n]=kx[k]δ[n-k]有限和ゆうげんわける。LTI の線型性せんけいせい時不変性じふへんせいから、その出力しゅつりょく

y[n]=kx[k]h[n-k]=(h*x)[n]

となる。一般いっぱんれつでは、このたた級数きゅうすう収束しゅうそくし、システム作用さよう有限部分和ゆうげんぶぶんわ極限きょくげん交換こうかんできる場合ばあいおな表示ひょうじ拡張かくちょうする。以下いかでは、出力しゅつりょくがこのたたみであたえられる LTI システムをあつかう。h の Z 変換へんかん Hb(z) を、このたた作用さよう伝達関数でんたつかんすうtransfer functionという。

離散りさんたたみを

(h*x)[n]=k=-h[k]x[n-k]

定義ていぎする。二重和にじゅうわ順序じゅんじょ交換こうかんできるだけ絶対収束ぜったいしゅうそくする z範囲はんいでは

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"mathcal\")")]Zb{h*x}=Hb(z)Xb(z)

である。

線型時不変せんけいじふへん離散時間りさんじかんシステムでは、入力にゅうりょく x とインパルス応答おうとう h から出力しゅつりょくh*x としてあらわされる。Z 変換へんかんは、そのたたみをせき変換へんかんするため、差分方程式さぶんほうていしきおよびデジタルフィルタの解析かいせき適用てきようできる。

9.1安定性あんていせい単位円たんいえん

入力にゅうりょく上界じょうかいB としたとき、入力にゅうりょく依存いぞんしない定数ていすう C により出力しゅつりょく上界じょうかいCB とできるBIBO 安定性あんていせいbounded-input bounded-output stabilityは、インパルス応答おうとうについて

n=-|h[n]|<

同値どうちである。実際じっさい|x[n]|[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]B なら

|(h*x)[n]|[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]Bk|h[k]|

なので、絶対総和可能性ぜったいそうわかのうせいから BIBO 安定性あんていせいしたがう。ぎゃくに BIBO 安定あんていなら、|k|[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]NxN[-k]=h[k]_/|h[k]|h[k]=0 なら 0)、そのそとで 0 とえらぶ。すると |xN[n]|[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]1 であり、n=0出力しゅつりょく

(h*xN)[0]=|k|[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]N|h[k]|

となる。安定性あんていせいによる N依存いぞんしない上界じょうかいから k|h[k]|<る。

このとき z=eiω代入だいにゅうした級数きゅうすう絶対収束ぜったいしゅうそくするので、単位円たんいえん |z|=1Hb の ROC にふくまれ、

Hb(eiω)=n=-h[n]e-iωn

周波数応答しゅうはすうおうとうべる。単位円たんいえんが ROC にふくまれない場合ばあい有理式ゆうりしき形式的けいしきてきz=eiω代入だいにゅうしただけでは周波数応答しゅうはすうおうとうにならない。

伝達関数でんたつかんすう有理式ゆうりしきのとき、分子ぶんし分母ぶんぼ共通因子きょうつういんしすことを極零相殺きょくれいそうさいpole-zero cancellationという。因果的いんがてき、すなわち h[n]=0(n<0) である有理ゆうりなシステムでは、極零相殺きょくれいそうさいませた伝達関数でんたつかんすうのすべてのきょく単位円たんいえん内側うちがわにあることが BIBO 安定あんてい条件じょうけんになる。これは因果性いんがせいにより ROC が最外極さいがいきょく外側そとがわとなり、そこに単位円たんいえんふくめるためである。

10Laplace・Fourier・Z 変換へんかん位置いちづけ

変換へんかん対象たいしょう中心作用素ちゅうしんさようそ変換後へんかんご
Fourier 変換へんかん全時間ぜんじかん周波数解析しゅうはすうかいせき微分作用素びぶんさようそ DDiω
Laplace 変換へんかん連続時間れんぞくじかん t[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"ge\")")]0微分作用素びぶんさようそ DDs初期値項しょきちこう
Z 変換へんかん離散時間列りさんじかんれつ x[n]シフト作用素さようそ E両側りょうがわでは Ez遅延ちえんz-1

両側りょうがわ Z 変換へんかんの ROC が単位円たんいえんふくむとき、z=eiωいた Xb(eiω)離散時間りさんじかん Fourier 変換へんかんになる。したがって「Fourier 変換へんかんは Z 変換へんかん単位円上たんいえんじょうあたいである」という解釈かいしゃくには、単位円たんいえんが ROC にふくまれるという条件じょうけん必要ひつようである。

11成立範囲せいりつはんい

Z 変換へんかんでは収束領域しゅうそくりょういき変換結果へんかんけっか一部いちぶである。おなしきでも ROC がことなればもと両側列りょうがわれつことなる。また、片側変換かたがわへんかんn<0情報じょうほうたず、初期値問題しょきちもんだい境界項きょうかいこうあつかうための変換へんかんである。両側変換りょうがわへんかんの ROC による左右列さゆうれつ識別しきべつと、片側変換かたがわへんかん役割やくわり区別くべつする必要ひつようがある。

したがって、Z 変換へんかん適用前てきようまえに、れつ変換へんかん片側かたがわ両側りょうがわか、初期値しょきち対象たいしょうとするか、周波数応答しゅうはすうおうとう解析かいせきするかを明示めいじする。

この講義こうぎ変換契約へんかんけいやく

  • 両側りょうがわ Z 変換へんかんは「Xb(z) と ROC」のくみとしてあつかう。
  • 片側かたがわ Z 変換へんかんX+(z)き、初期項しょきこうふくむシフト公式こうしき使つかう。
  • 逆変換ぎゃくへんかんでは ROC に適合てきごうする Laurent 展開てんかい選択せんたくし、z-n係数けいすう抽出ちゅうしゅつする。
  • 周波数応答しゅうはすうおうとうとして単位円たんいえん使つかうには、|z|=1 が ROC にふくまれることを確認かくにんする。

12要約ようやく

Z 変換へんかんは、離散時間りさんじかんのシフト作用素さようそzz-1代数操作だいすうそうさうつし、漸化式ぜんかしき差分方程式さぶんほうていしき離散りさんたたみをあつかいやすくする変換へんかんである。

13関連かんれんリンク

data/lecture/math/analysis/analysis-portal.lecture.n.md data/lecture/math/sequence/shift-operators-and-recurrences.lecture.n.md data/lecture/math/analysis/introduction-to-laplace-transform.lecture.n.md data/lecture/math/analysis/introduction-to-fourier-transform.lecture.n.md
raw .n.md をコピー
loc をコピー (filepath:line ~ line)
copy share link
copy encoded share link
path をコピー
copy share link
copy encoded share link
copy share link
copy encoded share link
タブを全て閉じる