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完全微分方程式かんぜんびぶんほうていしき

date2026-07-16document_iddoc_19e374567611bbdcb63bdd3695c4eaf9description完全微分方程式を、ポテンシャル関数 F(x,y) の全微分を復元する問題として導入し、完全性条件と積分因子の意味を証明付きで整理する。prerequisites一階微分方程式の分類と最初の判定 / 一階線型微分方程式と積分因子 / 多変数関数と偏微分type講義content_typelecturestatusactiverelateddata/lecture/math/differential-equations/classifying-first-order-odes.lecture.n.md / data/lecture/math/differential-equations/first-order-linear-odes-and-integrating-factors.lecture.n.md / data/lecture/math/differential-equations/homogeneous-first-order-odes-and-substitution.lecture.n.md / data/lecture/math/multivariable-calculus/multivariable-functions-and-partial-derivatives.lecture.n.md / data/lecture/math/vector-calculus/line-integrals-and-conservative-fields.lecture.n.md / data/exercise/math/differential-equations/classifying-and-solving-first-order-odes.exercise.n.md
mathdifferential-equationsexact-equationintegrating-factorlecture

1導入どうにゅう

この講義こうぎでは、

M(x,y)dx+N(x,y)dy=0

を、ある関数かんすう F(x,y)全微分ぜんびぶんtotal differential

dF=Fxdx+Fydy

として復元ふくげんする方法ほうほう説明せつめいする。

変数分離へんすうぶんりでは x がわy がわけた。一階線型いっかいせんけいでは積分因子せきぶんいんしによってせき導関数どうかんすう変換へんかんした。完全微分方程式かんぜんびぶんほうていしきでは、左辺全体さへんぜんたいを 1 関数かんすう F(x,y)全微分ぜんびぶんとして表現ひょうげんする。

2標準形ひょうじゅんけい

完全微分方程式かんぜんびぶんほうていしきexact differential equationとは、

M(x,y)dx+N(x,y)dy=0

において、ある関数かんすう F(x,y)存在そんざいして

Fx=M,Fy=N

たす場合ばあい方程式ほうていしきである。この F をポテンシャル関数かんすう (potential function) とぶ。

3命題めいだい1:完全かんぜんならかいF(x,y)=C

仮定かていとして、Mdx+Ndy=dFけるとする。このとき

M(x,y)dx+N(x,y)dy=0

かい

F(x,y)=C

あたえられる。

3.1証明しょうめい

Mdx+Ndy=dF だから、方程式ほうていしき

dF=0

である。曲線きょくせん y=y(x)沿って F(x,y(x))かんがえると、合成関数ごうせいかんすう微分びぶんより

ddxF(x,y(x))=Fx+Fyy

である。一方いっぽう

dF=Fxdx+Fydy

なので、dy=ydx代入だいにゅうすると

dF=(Fx+Fyy)dx

である。dF=0

ddxF(x,y(x))=0

意味いみする。したがって F(x,y(x))一定いっていであり、

F(x,y)=C

である。

ぎゃくに、F(x,y)=C微分びぶんすれば dF=0 となるので、Mdx+Ndy=0たす。

4完全性条件かんぜんせいじょうけん

M,N連続れんぞく偏微分可能へんびぶんかのうで、Fx=M,Fy=N なら、F混合偏微分こんごうへんびぶん連続れんぞくであり、

Fxy=Fyx

より

My=Nx

成立せいりつする。したがって My=Nx完全かんぜんであるための必要条件ひつようじょうけんである。

M,N連続れんぞく偏微分可能へんびぶんかのうで、対象領域たいしょうりょういき単連結たんれんけつsimply connectedなら、

My=Nx

完全性かんぜんせい必要十分条件ひつようじゅうぶんじょうけんになる。単連結領域たんれんけつりょういきとは、領域内りょういきない任意にんい閉曲線へいきょくせんを、領域りょういきそとずに 1 てん連続的れんぞくてきちぢめられる領域りょういきである。長方形ちょうほうけい円板えんばんはそのれいである。

5命題めいだい2:完全性条件かんぜんせいじょうけん必要性ひつようせい

仮定かていとして、M,N連続れんぞく偏微分可能へんびぶんかのうであり、M=Fx,N=Fyけるとする。このとき

My=Nx

である。

5.1証明しょうめい

M=Fx だから、My偏微分へんびぶんすると

My=Fxy

である。また N=Fy だから、Nx偏微分へんびぶんすると

Nx=Fyx

である。F混合偏微分こんごうへんびぶん連続れんぞくなら Fxy=Fyx である。したがって

My=Nx

る。

この命題めいだいは、完全性条件かんぜんせいじょうけんがポテンシャル関数かんすう混合偏微分こんごうへんびぶん交換可能性こうかんかのうせい由来ゆらいすることをしめす。

6ポテンシャル関数かんすう構成こうせい

完全性かんぜんせい確認かくにんできたら、Fx=M から F復元ふくげんする。

  1. Fx=Mx積分せきぶんする。
  2. x積分せきぶんしたとき、y だけの任意関数にんいかんすう h(y)す。
  3. Fy=N比較ひかくして h(y)める。

h(y)理由りゆうは、x偏微分へんびぶんすると h(y)えるからである。

7れい1:完全かんぜん場合ばあい

(2xy+1)dx+x2dy=0

かんがえる。ここで

M=2xy+1,N=x2

である。

完全性かんぜんせい確認かくにんする。

My=2x,Nx=2x

だから My=Nx である。

つぎに Fx=M より、

Fx=2xy+1

x積分せきぶんして

F=x2y+x+h(y)

る。y偏微分へんびぶんすると

Fy=x2+h(y)

である。これが N=x2一致いっちするため、

h(y)=0

である。したがって h(y)定数ていすうであり、かい

x2y+x=C

である。

8積分因子せきぶんいんし必要ひつよう場合ばあい

Mdx+Ndy=0

完全かんぜんでない場合ばあいでも、対象領域たいしょうりょういきいたところ 0 でない関数かんすう μ(x,y)けると

μMdx+μNdy=0

完全かんぜんになる場合ばあいがある。この μ積分因子せきぶんいんしぶ。μいたところ 0 でないため、乗算前じょうざんまえ乗算後じょうざんご方程式ほうていしきおな解曲線かいきょくせんあらわす。

ここで注意ちゅういする。一階線型いっかいせんけい積分因子せきぶんいんしは、左辺さへん

(μy)

というせき微分びぶんにする因子いんしであった。一方いっぽう完全微分方程式かんぜんびぶんほうていしき積分因子せきぶんいんしは、Mdx+Ndy

dF

という全微分ぜんびぶんにする因子いんしである。両者りょうしゃは、積分可能せきぶんかのう微分びぶん変換へんかんするという共通きょうつう機能きのうをもつ。

9一階線型いっかいせんけいとの接続せつぞく

一階線型方程式いっかいせんけいほうていしき

y+p(x)y=q(x)

(p(x)y-q(x))dx+dy=0

く。このとき

M=p(x)y-q(x),N=1

である。一般いっぱんには

My=p(x),Nx=0

なので完全かんぜんではない。しかし、一階線型いっかいせんけい積分因子せきぶんいんし

μ(x)=ep(x)dx

けると、

μ(p(x)y-q(x))dx+μdy=0

となる。このあたらしい微分形式びぶんけいしきでは

(μ(py-q))y=μp,(μ)x=μ=μp

だから完全かんぜんである。

したがって、一階線型いっかいせんけい積分因子せきぶんいんしは、完全微分方程式かんぜんびぶんほうていしき枠組わくぐみでは、微分形式びぶんけいしき完全化かんぜんかする因子いんしでもある。

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10適用範囲てきようはんい

完全性条件かんぜんせいじょうけん My=Nx十分性じゅうぶんせいは、対象領域たいしょうりょういき依存いぞんする。単連結たんれんけつでない領域りょういきでは、この等式とうしき成立せいりつしても大域的たいいきてきなポテンシャル関数かんすう存在そんざいしない場合ばあいがある。

この発展的はってんてき注意ちゅういは、線積分せんせきぶん保存場ほぞんば再登場さいとうじょうする。

data/lecture/math/vector-calculus/line-integrals-and-conservative-fields.lecture.n.md

つぎ講義こうぎでは、右辺うへん y/x のみに依存いぞんする同次形どうじけいあつかい、v=y/x置換ちかんによって変数分離形へんすうぶんりけい帰着きちゃくする方法ほうほう説明せつめいする。

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11演習えんしゅうリンク

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