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証明法と反例md 152d631
lecture/math/discrete-math/proof-methods-and-counterexamples.lecture.n.md
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証明法と反例
1直接証明
直接証明は、仮定から定義を順に使って結論を導く方法である。
次の例は集合を先取りする。ここでは x\in A を「x は A の元」、A\subseteq B を「任意の x について、x\in A ならば x\in B」と読むための最小限の定義だけを使う。
たとえば A\subseteq B と B\subseteq C から A\subseteq C を示すには、包含関係の定義を開く。任意の x を取り、x\in A と仮定する。すると A\subseteq B より x\in B、さらに B\subseteq C より x\in C である。したがって A\subseteq C である。
2対偶証明
対偶証明は、
P\Rightarrow Q
の代わりに
\lnot Q\Rightarrow \lnot P
を示す方法である。両者は同値である。
ここでの単射は、後の写像の章を先取りする例である。この段階では、対偶の形を見るために「f(x)=f(y) なら x=y」という条件だけを使う。
単射の証明では、対偶が自然に使えることが多い。f:A\to B が単射であることは f(x)=f(y)\Rightarrow x=y であり、その対偶は x\ne y\Rightarrow f(x)\ne f(y) である。
data/lecture/math/discrete-math/injections-surjections-and-bijections.lecture.n.md
3背理法
背理法は、結論の否定を仮定して矛盾を導く方法である。
次の例は、後続の半順序関係の先取りである。ここでは、半順序集合の全体理論は使わず、必要な仮定だけを明示して使う。すなわち、最大元とは任意の x\in P に対して x\le a を満たす元 a であり、反対称性とは a\le b かつ b\le a なら a=b となる性質である。
たとえば「最大元が存在すれば、それは一意である」を示す。結論を否定し、半順序集合 P に異なる最大元 a と b、すなわち a\ne b があると仮定する。最大元の定義より、a\le b かつ b\le a である。反対称性より a=b となり、a\ne b と矛盾する。したがって異なる 2 つの最大元は存在しない。
背理法では、結論の否定を仮定し、既知の定義や仮定と両立しない矛盾を導く。結論そのものを仮定してしまうと証明にならない。
data/lecture/math/discrete-math/partial-and-total-orders.lecture.n.md
4場合分け
場合分けは、対象が有限個の型に分かれるときに使う。集合演算では、元がどの集合に属するかで場合分けすることが多い。
次の例も後続の集合演算を先取りする。A\cup B は A または B に属する元の集合、A\cap B は両方に属する元の集合と読む。
たとえば
A\cap(B\cup C)=(A\cap B)\cup(A\cap C)
を示す。左辺の任意の元 x をとると x\in A かつ x\in B\cup C である。x\in B の場合は x\in A\cap B、x\notin B の場合は x\in C なので x\in A\cap C となり、どちらも右辺に属する。逆に右辺の x は、x\in A\cap B または x\in A\cap C のどちらの場合も x\in A かつ x\in B\cup C である。したがって両辺は等しい。
5反例
反例は、全称命題を否定するための 1 つの例である。
「すべての整数 n について n^2>n」という主張は偽である。n=1 は整数だが、1^2=1 なので 1^2>1 を満たさない。この 1 つの例で全称命題を否定できる。
反例では、対象が定義の条件を満たしていることと、結論が壊れていることを両方明示する必要がある。
反例は、仮定をすべて満たしながら結論を破る具体例でなければならない。仮定を満たさない例は、主張の失敗を示さない。
6演習リンクとまとめ
data/exercise/math/discrete-math/logic-and-proof-methods.exercise.n.md
証明では、定義を開き、必要な量化を明確にし、どの型の議論を使うかを選ぶ。反例は「成立しない」ことを示す強力な方法だが、反例の条件確認を省略してはいけない。
演習では、直接証明、対偶、背理法、場合分け、反例のどれを使っているかを明示すると、仮定と結論の対応を追いやすい。