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関係の基本md 90cdd65
lecture/math/discrete-math/relation-basics.lecture.n.md
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関係の基本
mathdiscrete-mathrelationlecture
1導入
関係を学ぶときの中心の問いは、「対象どうしの結びつきを、どの順序対を採用するかで記録できるか」である。関係は曖昧な言葉ではなく、直積集合の部分集合である。
この定義により、「a は b と等しい」「a は b 以下である」「a は b を割り切る」「固定した正の整数 m で割った a と b の余りが同じ」のような異なる見た目の主張を、同じ形式で扱える。
この形式化により、言葉の違いではなく、どの順序対が入っているかで性質を判定できる。したがって、後で反射性・対称性・反対称性・推移性を調べるときも、同じ集合としての見方を使う。
2用語と定義
集合 A,B に対して、A から B への関係とは、A\times B の部分集合である。
R\subseteq A\times B
と書く。(a,b)\in R のとき、a は b と関係 R で結ばれるといい、しばしば
aRb
と書く。
A=B の場合、R\subseteq A\times A を A 上の二項関係という。同値関係や順序関係は、どちらも二項関係の特別な場合である。
3方針
関係を調べるときは、まず母体となる直積集合を確認する。次に、その内採用されている順序対がどれかを確認する。
性質を判定するときは、全ての元について条件が成立するかを確認する。1 例だけで反射性や推移性を証明することはできない。失敗を示すには 1 つの反例で十分である。
全称条件を示すときは、任意の元から始める。一方、性質が成立しないことを示すときは、その条件を破る順序対や組を 1 つ示せばよい。
data/lecture/math/discrete-math/cartesian-product-basics.lecture.n.md
4直感的な説明
関係は、表のマスに印を付けることとして見るとよい。A\times B の各順序対 (a,b) は、行 a と列 b の交点に対応する。関係 R は、その表の内「成立する」と判断したマスの集合である。
関係を変えるとは、採用する順序対を変えることである。母体となる A\times B を固定している限り、第 1 成分は A から、第 2 成分は B から来るという型は保存される。
表の見方は、逆関係では行と列を入れ替えること、関係の合成では中間の元を経由することにも接続する。
5重要な性質
A 上の二項関係 R に対して、次の性質を考える。表の a,b,c はすべて A の任意の元とする。
| 性質 | 定義 | 直感 |
| 反射性 | すべての a\in A について aRa | 自分と自分が結ばれる |
| 対称性 | aRb なら bRa | 向きを逆にしても成立する |
| 反対称性 | aRb かつ bRa なら a=b | 相互に結ばれる別物を許さない |
| 推移性 | aRb かつ bRc なら aRc | 中継して結べる |
対称性と反対称性は名前が似ているが、意味は反対ではない。
対称性と反対称性は同時に成立することも、両方とも失敗することもある。等号の関係は両方を満たす典型例であり、名前だけで反対の性質だと判断しない。
6例題:整除関係を判定する
6.1問題
A=\{1,2,3,6\} 上の関係 R を、aRb とは「a が b を割り切る」ことだと定義する。R が反射性、反対称性、推移性を満たすことを確認せよ。
6.2解説
反射性について、任意の a\in A に対して a=a\cdot1 なので、a は a を割り切る。したがって aRa である。
反対称性について、aRb かつ bRa とする。すると b=ak、a=b\ell を満たす正の整数 k,\ell が存在する。したがって a=ak\ell である。a\in A なので a\ne0 であり、両辺を a で割って 1=k\ell を得る。k,\ell は正の整数なので k=\ell=1 であり、a=b である。
推移性について、aRb かつ bRc とする。すると b=ak、c=b\ell と書ける。したがって c=a(k\ell) であり、aRc である。