8証明補足:推移閉包の最小性
集合 A 上の関係 R に対して、R の反復を
R^1=R,
\qquad
R^{n+1}=R\circ R^n\quad(n\ge1)
と再帰的に定義する。(a,b)\in R^n は、a から b へ R の矢印をちょうど n 本辿る経路があることを意味する。この記法を用いると、推移閉包は
R^+=R\cup R^2\cup R^3\cup\cdots
と書ける。
R^+ は R を含む。また、(a,b)\in R^+、(b,c)\in R^+ なら、ある m,n\ge 1 が存在して (a,b)\in R^m、(b,c)\in R^n である。経路を連結すれば (a,c)\in R^{m+n} なので (a,c)\in R^+ である。
さらに、S\subseteq A\times A が R\subseteq S を満たす A 上の推移的な関係なら、すべての n\ge1 について R^n\subseteq S であることを数学的帰納法で示せる。基底段階では R^1=R\subseteq S である。帰納法の仮定 R^n\subseteq S のもとで (a,c)\in R^{n+1}=R\circ R^n とすると、ある b\in A が存在して (a,b)\in R^n\subseteq S かつ (b,c)\in R\subseteq S となる。S の推移性より (a,c)\in S なので、R^{n+1}\subseteq S である。よって R^+\subseteq S であり、R^+ は R を含む推移的な関係の中で最小である。