2用語と定義
A を m\times n 行列、B を n\times p 行列とする。このとき積 AB は m\times p 行列であり、成分は
(AB)_{ij}=\sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj}
で定義される。内側のサイズ n が一致することが必要である。
この成分公式は、暗記する規則ではない。B の第 j 列を b^{(j)} と書くと、AB の第 j 列は
A b^{(j)}
である。つまり、B が標準基底の第 j 方向を b^{(j)} へ送り、その結果に A を作用させたものが、AB の第 j 列になる。ここから第 i 成分を取ると、A の第 i 行と b^{(j)} の内積的な和になり、
(AB)_{ij}
=
a_{i1}b_{1j}+a_{i2}b_{2j}+\cdots+a_{in}b_{nj}
=
\sum_{k=1}^n a_{ik}b_{kj}
が得られる。したがって、列への作用と写像の合成を先に考えると、成分公式は後から必然的に導かれる。
3方針
まず数表として計算し、つぎに列ベクトルへの作用として解釈する。最後に、行列積が線型写像の合成を表現することを確認する。
data/lecture/math/linear-algebra/matrix-operations.lecture.n.md
4直感的な説明
A の列を a_1,\dots,a_n とする。x=(x_1,\dots,x_n)^T に対して
Ax=x_1a_1+\cdots+x_na_n
である。つまり、行列は入力の成分を係数として、列ベクトルを線型結合する装置である。
この装置を 2 回連続で作用させると、行列積が現れる。したがって ABx は「まず B を作用させ、つぎに A を作用させる」ことを意味する。
5厳密な説明
B:K^p\to K^n、A:K^n\to K^m と考察する。x\in K^p に対して
x\longmapsto Bx\longmapsto A(Bx)
となるため、合成写像は A\circ B であり、その表現行列が AB である。記号の順序は右から作用するため、先に実行する行列が右側に置かれる。