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線型写像の階数と退化次数md 9b6694d
lecture/math/linear-algebra/rank-and-nullity-of-linear-maps.lecture.n.md
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線型写像せんけいしゃぞうlinear map階数かいすうrank退化次数たいかじすうnullity

date2026-07-14document_iddoc_868aa526a85c14560b087c2dd8bc1c19description行列の列空間として導入した階数を、線型写像の像と核の次元として定義し直し、行列表現との一致と階数・退化次数定理を証明する講義である。prerequisites階数の基本 / 線型写像と行列 / ベクトル空間と基底type講義content_typelecturestatusactiverelateddata/lecture/math/linear-algebra/linear-maps-and-matrices.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-algebra/column-independence-and-rank.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-algebra/rank-basics.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-algebra/inverse-matrix-basics.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-operator/linear-operator-equation-basics.lecture.n.md / data/exercise/math/linear-algebra/vector-spaces-bases-and-rank.exercise.n.md
mathlinear-algebraundergraduatelecture

1導入どうにゅう

まえ講義こうぎでは、m×n 行列ぎょうれつmatrix A階数かいすうrankを、列空間れつくうかんcolumn space次元じげんdimensionとしてんだ。この講義こうぎでは、それを線型写像せんけいしゃぞうlinear mapそのものの言葉ことば一般化いっぱんかする。

ここで重要じゅうようなのは、一般化後いっぱんかご階数かいすうrankは、行列ぎょうれつではなく、線型写像せんけいしゃぞうlinear map出力側しゅつりょくがわ実際じっさいとどかせる部分空間ぶぶんくうかんsubspace次元じげんdimensionであるということである。

したがって、定義ていぎなおすがべつりょうつくるわけではない。基底きていえらんで表現行列ひょうげんぎょうれつrepresentation matrixつくると、まえ行列版ぎょうれつばん階数かいすうrank一致いっちする。

2用語ようご定義ていぎ

T:VW線型写像せんけいしゃぞうlinear mapとする。

ぞうimageとは、T によって実際じっさい到達とうたつできる出力しゅつりょく集合しゅうごうである。

imT={T(v)vV}

かくkernelとは、T によって 0 へおくられる入力にゅうりょく集合しゅうごうである。

kerT={vVT(v)=0}

一般化後いっぱんかご階数かいすうrank

rank(T)=dimimT

定義ていぎする。また、退化次数たいかじすうnullity

nullity(T)=dimkerT

定義ていぎする。

ここで混同こんどうしてはいけない。行列版ぎょうれつばんでは「れつ空間くうかんspace次元じげんdimension」として定義ていぎした。一般化後いっぱんかごでは「線型写像せんけいしゃぞうlinear mapぞうimage次元じげんdimension」として定義ていぎする。この 2 つが一致いっちすることは定理ていりとして証明しょうめいする。

3方針ほうしん

証明しょうめい中心ちゅうしんは、基底きていbasisえらんで線型写像せんけいしゃぞうlinear map行列ぎょうれつmatrixあらわしたとき、表現行列ひょうげんぎょうれつrepresentation matrix列空間れつくうかんcolumn spaceが、もとの線型写像せんけいしゃぞうlinear mapぞうimage座標表示ざひょうひょうじcoordinate representationになる、というてんである。

つぎ順序じゅんじょ確認かくにんする。

  1. imTkerT部分空間ぶぶんくうかんsubspaceであることをしめす。
  2. T表現行列ひょうげんぎょうれつrepresentation matrix A について、rank(T)=rank(A)証明しょうめいする。
  3. 階数かいすう退化たいか次数じすう定理ていりrank-nullity theorem証明しょうめいする。
  4. 可逆性かぎゃくせいとの関係かんけい整理せいりする。

4直感的ちょっかんてき説明せつめい

線型写像せんけいしゃぞうlinear mapは、入力空間にゅうりょくくうかんから出力空間しゅつりょくくうかんベクトルvectorおくる。そのとき、入力にゅうりょく方向ほうこうのうち、出力しゅつりょくのこ方向ほうこうと、0 へつぶれる方向ほうこうがある。

ぞうimageは「のこった出力方向しゅつりょくほうこう全体ぜんたい」であり、かくkernelは「つぶれた入力方向にゅうりょくほうこう全体ぜんたい」である。階数かいすうrankのこった次元じげんdimension退化次数たいかじすうnullityつぶれた次元じげんdimensionかぞえる。

有限次元ゆうげんじげんでは、入力にゅうりょく次元じげんdimensionえるわけではない。出力しゅつりょくのこ部分ぶぶんと、かくとしてつぶれる部分ぶぶんかれる。この分解ぶんかいしきにしたものが、階数かいすう退化たいか次数じすう定理ていりrank-nullity theoremである。

5厳密げんみつ説明せつめい

5.11. ぞうimageかくkernel部分空間ぶぶんくうかんsubspaceである

まず imT確認かくにんする。y1,y2imT とする。すると、ある v1,v2V存在そんざいして

y1=T(v1),y2=T(v2)

である。任意にんいスカラーscalar a,b について、線型性せんけいせいlinearityより

ay1+by2=aT(v1)+bT(v2)=T(av1+bv2)

である。したがって ay1+by2imTぞくする。よって imT部分空間ぶぶんくうかんsubspaceである。

つぎに kerT確認かくにんする。u1,u2kerT なら

T(u1)=0,T(u2)=0

である。任意にんいスカラーscalar a,b について、

T(au1+bu2)=aT(u1)+bT(u2)=0

となる。したがって au1+bu2kerT である。よって kerT部分空間ぶぶんくうかんsubspaceである。

5.22. 行列版ぎょうれつばん階数かいすうrankとの一致いっち

V基底きていbasisB=(v1,,vn)W基底きていbasisC=(w1,,wm) とし、T:VW表現行列ひょうげんぎょうれつrepresentation matrixA=[T]CB とする。

Aだい j れつcolumnは、T(vj)Cかんする座標ざひょうcoordinateである。したがって、A列空間れつくうかんcolumn spaceは、imT基底きていbasis C座標表示ざひょうひょうじした集合しゅうごうである。

座標写像ざひょうしゃぞう同型どうけいisomorphism、すなわち次元じげんたも可逆かぎゃくinvertible線型写像せんけいしゃぞうlinear mapである。よって

dimimT=dimCol(A)

である。つまり

rank(T)=rank(A)

成立せいりつする。

この定理ていりが、一般化前いっぱんかまえ行列版ぎょうれつばん階数かいすうrankと、一般化後いっぱんかご線型写像せんけいしゃぞうlinear map階数かいすうrank接続せつぞくしている。

5.33. 階数かいすう退化たいか次数じすう定理ていりrank-nullity theorem

定理ていり
V有限次元ゆうげんじげんベクトル空間くうかんvector spaceとし、T:VW線型写像せんけいしゃぞうlinear mapとする。このとき

dimV=rank(T)+nullity(T)

である。

証明しょうめい
kerT基底きていbasis

u1,,uk

とする。これを V基底きていbasis

u1,,uk,v1,,vr

拡張かくちょうする。このとき k=nullity(T) であり、dimV=k+r である。

T(v1),,T(vr)imT基底きていbasisであることをしめす。まず生成せいせいしめす。任意にんいyimTると、ある xV存在そんざいして y=T(x) である。xうえ基底きていbasis

x=a1u1++akuk+b1v1++brvr

く。uikerT なので T(ui)=0 であり、

y=T(x)=b1T(v1)++brT(vr)

となる。したがって T(v1),,T(vr)imT生成せいせいする。

つぎに一次独立性いちじどくりつせいしめす。

c1T(v1)++crT(vr)=0

仮定かていする。線型性せんけいせいlinearityより

T(c1v1++crvr)=0

であるから、c1v1++crvrkerT である。したがって、あるスカラーscalar d1,,dk存在そんざいして

c1v1++crvr=d1u1++dkuk

ける。左辺さへん右辺うへん移項いこうすると、

d1u1++dkuk-c1v1--crvr=0

である。しかし u1,,uk,v1,,vrV基底きていbasisなので、係数けいすうはすべて 0 でなければならない。したがって

c1==cr=0

である。よって T(v1),,T(vr)一次独立いちじどくりつである。

したがって T(v1),,T(vr)imT基底きていbasisであり、rank(T)=r である。ゆえに

dimV=k+r=nullity(T)+rank(T)

成立せいりつする。

5.44. 可逆性かぎゃくせいとの関係かんけい

T:VV有限次元ゆうげんじげんベクトル空間くうかんvector spaceうえ線型写像せんけいしゃぞうlinear mapとする。このとき、つぎ同値どうちである。

  1. T可逆かぎゃくinvertibleである。
  2. kerT={0} である。
  3. rank(T)=dimV である。
  4. imT=V である。

証明しょうめいする。T可逆かぎゃくinvertibleなら、T(v)=0T-1適用てきようして v=0 だから kerT={0} である。kerT={0} なら nullity(T)=0 なので、階数かいすう退化たいか次数じすう定理ていりrank-nullity theoremより rank(T)=dimV である。これは imT次元じげんdimensionVおなじで、しかも imTV であることを意味いみするため、imT=V である。

最後さいごimT=V かつ kerT={0} なら、任意にんいyVたいして T(x)=yたす x存在そんざいし、さらに kerT={0} によりその x一意いちいである。この一意解いちいかいT-1(y)=x定義ていぎすれば、T-1存在そんざいする。

6具体例ぐたいれい

T:R3R2

T(x,y,z)=(x+y,y+z)

定義ていぎする。標準基底ひょうじゅんきていstandard basisでの表現行列ひょうげんぎょうれつrepresentation matrix

A=(110011)

である。列空間れつくうかんcolumn spaceR2 全体ぜんたいるので、rank(T)=2 である。

かくkernel

x+y=0,y+z=0

たす (x,y,z)集合しゅうごうである。y=tくと

(x,y,z)=(-t,t,-t)=t(-1,1,-1)

となる。したがって nullity(T)=1 である。

実際じっさい

dimR3=3=2+1=rank(T)+nullity(T)

成立せいりつしている。

7見分みわかた

  • 行列ぎょうれつmatrix主役しゅやくなら、まず列空間れつくうかんcolumn space次元じげんdimensionとして階数かいすうrankむ。
  • 線型写像せんけいしゃぞうlinear map主役しゅやくなら、ぞうimage次元じげんdimensionとして階数かいすうrankむ。
  • 基底きていえらんで表現行列ひょうげんぎょうれつrepresentation matrixもどしたら、2 つの定義ていぎdefinition一致いっちするかを確認かくにんする。
  • 可逆性かぎゃくせいinvertibility調しらべるときは、かくkernelが 0 だけか、ぞうimage全体ぜんたいか、階数かいすうrank最大さいだいかを同時どうじ確認かくにんする。

8どこまで成立せいりつするか

階数かいすう退化たいか次数じすう定理ていりrank-nullity theoremは、有限次元ゆうげんじげんベクトル空間くうかんvector space使つか定理ていりである。無限次元むげんじげんでは、次元じげんあつかいにべつ注意ちゅうい必要ひつようになる。この講義こうぎ線型代数せんけいだいすうでは有限次元ゆうげんじげんだけを対象たいしょうにする。

また、行列式ぎょうれつしきdeterminantとの関係かんけいは、正方行列せいほうぎょうれつsquare matrixT:VV場合ばあいあらわれる。長方行列ちょうほうぎょうれつVWdimVdimW場合ばあい階数かいすうrank定義ていぎできるが、おな意味いみ行列式ぎょうれつしきdeterminant定義ていぎしない。

9最終形さいしゅうけい

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]rank(T)=dimimT
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]nullity(T)=dimkerT
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]dimV=rank(T)+nullity(T)
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]rank(T)=rank([T]CB)

10一言ひとことでいうと

  • 行列版ぎょうれつばん階数かいすうrankは、列空間れつくうかんcolumn space次元じげんdimensionである。
  • 一般化後いっぱんかご階数かいすうrankは、線型写像せんけいしゃぞうlinear mapぞうimage次元じげんdimensionである。
  • 階数かいすう退化たいか次数じすう定理ていりrank-nullity theoremは、入力にゅうりょく次元じげんdimensionが「のこ次元じげん」と「つぶれる次元じげん」にかれることをあらわす。

11演習えんしゅうリンク

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