5.3証明
初等的に証明する。考え方は、まず 2 個の場合を示し、それを 4 個、8 個へ増やし、最後に個数を減らすことで任意の n に戻す、というものである。
まず u,v>0 に対して、
(\sqrt u-\sqrt v)^2\ge0
である。展開すると
u+v-2\sqrt{uv}\ge0
なので、
\frac{u+v}{2}\ge\sqrt{uv}
である。したがって AM \ge GM は 2 個の場合に成立する。
次に、AM \ge GM が n 個の正の数で成立すると仮定する。2n 個の正の数を前半と後半に分け、それぞれの算術平均を A_1,A_2、幾何平均を G_1,G_2 とする。仮定より
G_1\le A_1,\qquad G_2\le A_2
である。2n 個全体の幾何平均は
\sqrt{G_1G_2}
であり、2n 個全体の算術平均は
\frac{A_1+A_2}{2}
である。よって 2 個の場合の AM \ge GM を A_1,A_2 に使うと、
\sqrt{G_1G_2}\le\sqrt{A_1A_2}\le\frac{A_1+A_2}{2}
である。したがって、n 個で成立すれば 2n 個でも成立する。これにより、AM \ge GM は 2,4,8,\ldots 個の場合に成立する。
最後に、m 個で AM \ge GM が成立するなら、m-1 個でも成立することを示す。x_1,\ldots,x_{m-1}>0 の算術平均を A とする。ここに x_m=A を付け加えると、m 個の算術平均も A である。m 個の AM \ge GM より、
(x_1x_2\cdots x_{m-1}A)^{1/m}\le A
である。両辺は正なので m 乗して、
x_1x_2\cdots x_{m-1}A\le A^m
を得る。A>0 で割ると、
x_1x_2\cdots x_{m-1}\le A^{m-1}
である。したがって
(x_1x_2\cdots x_{m-1})^{1/(m-1)}\le A
となり、m-1 個でも AM \ge GM が成立する。
任意の n に対して、n 以上の 2 の累乗 2^r を取る。AM \ge GM は 2^r 個で成立し、そこから個数を 1 つずつ減らせるので、n 個でも成立する。□