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同次関数どうじかんすう同次式どうじしき

date2026-07-14document_iddoc_82aedabc1a7d07546a406e1e4423191adescription同次関数と同次式を、拡大縮小に対する振る舞い・同次多項式・同次成分・斉次化の観点から整理する講義である。prerequisites多項式 / 式の展開 / 次数type講義content_typelecturestatusactiverelateddata/lecture/math/algebra/polynomials.lecture.n.md / data/lecture/math/algebra/homogeneous-functions-and-inequalities.lecture.n.md / data/lecture/math/algebra/symmetric-expressions.lecture.n.md / data/lecture/math/multivariable-calculus/tangent-planes-chain-rule-and-jacobian.lecture.n.md
mathalgebrahomogeneouspolynomiallecture

1導入どうにゅう

この講義こうぎでは、しきを「変数へんすう同時どうじ拡大かくだいしたとき、全体ぜんたいがどう拡大かくだいするか」で分類ぶんるいする。

たとえば

P(x,y)=x2+xy+y2

では、x,y をどちらも λ ばいすると、

P(λx,λy)=λ2x2+λ2xy+λ2y2=λ2P(x,y)

となる。このように、入力にゅうりょく同時どうじ拡大縮小かくだいしゅくしょうしたとき、あたい一定いってい次数じすう拡大縮小かくだいしゅくしょうする関数かんすうを、同次関数どうじかんすうという。一般いっぱん関数かんすうではせい倍率ばいりつだけをることがおおく、多項式たこうしきでは任意にんいのスカラーにたいする性質せいしつとしてあつかう。このちがいはあと明確めいかくける。

代数だいすうでは、とく同次多項式どうじたこうしき重要じゅうようである。理由りゆうは、同次多項式どうじたこうしきではすべてのこうおな全次数ぜんじすうつため、次数じすうしき構造こうぞう分解ぶんかいできるからである。

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2なぜこの見方みかた使つかうのか

多項式たこうしきあつかうとき、こうごとの次数じすうざっていると、拡大かくだいしたときのいが一様いちようではない。

たとえば

Q(x,y)=x2+y+1

では、

Q(λx,λy)=λ2x2+λy+1

となり、λ2λ1ざる。このしきひとつの倍率ばいりつでは整理せいりできない。

一方いっぽう同次多項式どうじたこうしきでは、すべてのこうおな次数じすうなので、

P(λx)=λdP(x)

というひとつの法則ほうそくうごく。これにより、

  • こう次数じすうごとにける。
  • 方程式ほうていしき P=0方向ほうこう問題もんだいとしてる。
  • 非同次ひどうじ多項式たこうしきを、変数へんすうを 1 やして同次どうじにする。
  • 不等式ふとうしき規模きぼ固定こていし、だけの問題もんだいなおす。

という操作そうさ自然しぜんあらわれる。

3用語ようご定義ていぎ

3.1同次関数どうじかんすう

V実数じっすうのベクトル空間くうかんとする。関数かんすう f:VRd 正同次関数せいどうじかんすうpositively homogeneous functionであるとは、任意にんいλ>0xV について

f(λx)=λdf(x)

成立せいりつすることである。

ふつう不等式ふとうしき解析かいせき同次関数どうじかんすうというときは、この λ>0たいする正同次性せいどうじせい使つかうことがおおい。たとえば

f(x,y)=x2+y2

λ>0 なら f(λx,λy)=λf(x,y) である。しかし λ<0 では f(λx,λy)=|λ|f(x,y) となるので、λf(x,y) とは一致いっちしない。

3.2同次式どうじしき同次多項式どうじたこうしき

多変数たへんすう多項式たこうしきは、単項式たんこうしき有限個ゆうげんこしたしきである。このページでは、かく単項式たんこうしきふくまれる変数へんすう指数しすう合計ごうけいる。

単項式たんこうしき

x1a1x2a2xnan

全次数ぜんじすう

a1+a2++an

である。

多項式たこうしきすべての単項式たんこうしきおな全次数ぜんじすうつとき、その多項式たこうしき同次多項式どうじたこうしきhomogeneous polynomialまたは同次式どうじしきhomogeneous formという。

同次多項式どうじたこうしきでは、せいλ だけでなく、係数けいすうたい任意にんいのスカラー λたいして

P(λx)=λdP(x)

成立せいりつする。このページでは、一般いっぱん関数かんすうでは λ>0正同次性せいどうじせいを、多項式たこうしきでは任意にんいのスカラーにたいするつよ同次性どうじせい区別くべつして使つかう。

たとえば

x2+xy+y2

は 2 同次多項式どうじたこうしきである。各項かくこう全次数ぜんじすうがすべて 2 だからである。

一方いっぽう

x2+y+1

同次多項式どうじたこうしきではない。全次数ぜんじすう 2、1、0 のこうざっているからである。

4注意ちゅうい:「同次どうじ」という言葉ことばちが

線型代数せんけいだいすう微分方程式びぶんほうていしきでは、

Ax=0,Lx=0

のように右辺うへんが 0 の方程式ほうていしき同次方程式どうじほうていしきという。

このページの同次関数どうじかんすうは、右辺うへんが 0 かどうかではなく、

f(λx)=λdf(x)

という拡大縮小かくだいしゅくしょうたいする性質せいしつす。ただし、一般いっぱん関数かんすうでは λ>0正同次性せいどうじせいとしてあつかい、同次多項式どうじたこうしきでは任意にんいのスカラーにたいする同次性どうじせいとしてあつかう。おなじ「同次どうじ」でも、方程式ほうていしき文脈ぶんみゃく関数かんすう多項式たこうしき文脈ぶんみゃく混同こんどうしない。

data/lecture/math/linear-operator/linear-operator-equation-basics.lecture.n.md

5命題めいだい 1:単項式たんこうしき全次数ぜんじすう同次多項式どうじたこうしきである

5.1仮定かてい

m(x1,,xn)=x1a1xnan

とし、d=a1++an とする。

5.2結論けつろん

md 同次多項式どうじたこうしきである。

5.3証明しょうめい

任意にんいλたいして、

\begin{aligned} m(\lambda x_1,\ldots,\lambda x_n) &=(\lambda x_1)^{a_1}\cdots(\lambda x_n)^{a_n}\\ &=\lambda^{a_1+\cdots+a_n}x_1^{a_1}\cdots x_n^{a_n}\\ &=\lambda^d m(x_1,\ldots,x_n). \end{aligned}

したがって md 同次多項式どうじたこうしきである。□

6命題めいだい 2:同次多項式どうじたこうしき任意にんいのスカラーで同次どうじである

6.1仮定かてい

P(x1,,xn)d 同次多項式どうじたこうしきであるとする。

6.2結論けつろん

P(λx1,,λxn)=λdP(x1,,xn)

である。つまり、Pd 正同次関数せいどうじかんすうであり、さらに任意にんいのスカラーにたいしてもおなしきたす。

6.3証明しょうめい

P全次数ぜんじすう d単項式たんこうしきである。そこで

P=αcαxα

く。ただし α=(α1,,αn)xα=x1α1xnαn|α|=α1++αn=d である。

命題めいだい 1 より、かく単項式たんこうしきについて

(λx)α=λdxα

である。したがって

\begin{aligned} P(\lambda x) &=\sum_\alpha c_\alpha(\lambda x)^\alpha\\ &=\sum_\alpha c_\alpha\lambda^d x^\alpha\\ &=\lambda^d\sum_\alpha c_\alpha x^\alpha\\ &=\lambda^d P(x). \end{aligned}

よって Pd 同次多項式どうじたこうしきとして、任意にんいのスカラーにたいして同次性どうじせいたす。□

7定理ていり 1:多項式たこうしき同次成分どうじせいぶん一意いちい分解ぶんかいできる

7.1主張しゅちょう

任意にんい多項式たこうしき P(x1,,xn) は、

P=P0+P1++Pd

ける。ここで Pkk 同次多項式どうじたこうしきまたは 0 である。この分解ぶんかい一意いちいである。

7.2証明しょうめい

Pあらわれる単項式たんこうしきを、全次数ぜんじすうごとにあつめる。全次数ぜんじすうkこうだけをあつめたものを Pkけば、

P=P0+P1++Pd

である。

一意性いちいせいは、単項式たんこうしき係数けいすう一意いちいまることからしたがう。おな単項式たんこうしきおな全次数ぜんじすう成分せいぶんにしかはいらないため、べつかたはできない。□

7.3れい

P(x,y)=x3+2x2y+xy+5x-1

なら、

P3=x3+2x2y,P2=xy,P1=5x,P0=-1

である。

この分解ぶんかいると、多項式たこうしきは「次数じすうごとのそう」をっているとかんがえられる。

8命題めいだい 3:同次性どうじせい判定はんてい

8.1仮定かてい

係数けいすうたいR または C とする。P を 0 でない多項式たこうしきとする。

8.2結論けつろん

Pd 同次多項式どうじたこうしきであることと、

P(λx)=λdP(x)

がすべての λx成立せいりつすることは同値どうちである。

8.3証明しょうめい

Pd 同次多項式どうじたこうしきなら、命題めいだい 2 より

P(λx)=λdP(x)

である。

ぎゃくしめす。P同次成分どうじせいぶん分解ぶんかいして

P=P0+P1++PN

く。このとき

P(λx)=P0(x)+λP1(x)++λNPN(x)

である。仮定かていより

P(λx)=λdP(x)=λdP0(x)+λdP1(x)++λdPN(x)

である。

x固定こていすると、これは λ についての多項式たこうしき等式とうしきである。RC では、多項式たこうしき無限むげんおおくの λ一致いっちするなら、係数けいすう一致いっちする。

したがって、任意にんいx について、kd係数けいすう相当そうとうするあたい Pk(x) は 0 である。これは Pk がすべての x で 0 になることを意味いみするので、Pk は 0 多項式たこうしきである。

ここでは「RC のような無限むげんおおくのげんたいでは、多項式たこうしきがすべてのてんで 0 なら 0 多項式たこうしきである」という基本事実きほんじじつ使つかっている。

よって P=Pd であり、Pd 同次多項式どうじたこうしきである。□

0 多項式たこうしき例外的れいがいてきで、どの次数じすう同次成分どうじせいぶんとしてもあつかえる。このページでは、次数じすう判定はんていする議論ぎろんでは 0 でない多項式たこうしき対象たいしょうにする。

9性質せいしつ 1:せき規則きそく

P,Q同次多項式どうじたこうしきとする。

  • P,Qおな次数じすうなら、P+Q もその次数じすう同次多項式どうじたこうしきである。ただし 0 になる場合ばあいもある。
  • Pr Qs なら、PQr+s 同次多項式どうじたこうしきである。
  • 次数じすうちが同次多項式どうじたこうしきすと、一般いっぱんには同次どうじではない。

9.1証明しょうめい

P,Qおなd なら、

(P+Q)(λx)=P(λx)+Q(λx)=λdP(x)+λdQ(x)=λd(P+Q)(x)

である。

また Pr Qs なら、

(PQ)(λx)=P(λx)Q(λx)=λrP(x)λsQ(x)=λr+sP(x)Q(x)

である。したがって PQr+s 同次多項式どうじたこうしきである。

最後さいごに、たとえば x2+y は 2 こうと 1 こうしたものであり、

(λx)2+λy

ひとつの λdくくれない。したがって一般いっぱんには同次どうじではない。□

10同次方程式どうじほうていしきとしての見方みかた

Pd 同次多項式どうじたこうしきなら、

P(x)=0

かい拡大縮小かくだいしゅくしょうたもたれる。つまり、P(a)=0 なら、

P(λa)=λdP(a)=0

である。

したがって、同次多項式どうじたこうしき方程式ほうていしきは、てんそのものよりも方向ほうこう問題もんだいになりやすい。たとえば

x2-y2=0

(x-y)(x+y)=0

なので、かいは 2 ほん直線ちょくせん y=xy=-x である。原点げんてんとお直線ちょくせんあらわれるのは、同次性どうじせいにより方向ほうこう保存ほぞんされるからである。

11斉次化せいじか非同次ひどうじ多項式たこうしき同次どうじにする

非同次ひどうじ多項式たこうしきも、変数へんすうを 1 やすと同次どうじにできる。この操作そうさ斉次化せいじかhomogenizationという。

たとえば

p(x,y)=x2+y+1

かんがえる。この多項式たこうしき最高次数さいこうじすうは 2 である。そこであたらしい変数へんすう zれて、

ph(x,y,z)=x2+yz+z2

とする。各項かくこう全次数ぜんじすうはすべて 2 なので、ph は 2 同次多項式どうじたこうしきである。

しかも z=1くと、

ph(x,y,1)=x2+y+1=p(x,y)

となる。つまり、斉次化せいじかは「もと多項式たこうしきを、z=1平面へいめんんだ同次多項式どうじたこうしき」とられる。

11.1一般形いっぱんけい

p(x1,,xn)=αcαxα

最高次数さいこうじすうd とする。このとき

ph(x1,,xn,z)=αcαxαzd-|α|

定義ていぎする。すると、各項かくこう全次数ぜんじすう

|α|+(d-|α|)=d

なので、phd 同次多項式どうじたこうしきである。

この操作そうさは、射影幾何しゃえいきか代数幾何だいすうきか基本きほんになる。直感的ちょっかんてきには、z=0部分ぶぶんが「無限遠むげんえん方向ほうこう」を記録きろくする。

12Euler の同次関数定理どうじかんすうていり

このせつ微積分びせきぶん使つか補足ほそくである。P/xi は、xi だけを変数へんすうとして微分びぶんし、ほかの変数へんすう定数ていすうとしてあつか偏微分へんびぶんである。

P(x1,,xn)d 同次多項式どうじたこうしきなら、

x1Px1++xnPxn=dP

成立せいりつする。

12.1証明しょうめい

まず単項式たんこうしき

m=x1a1xnan

確認かくにんする。d=a1++an とする。このとき

ximxi=aim

である。したがって

i=1nximxi=i=1naim=dm

である。

同次多項式どうじたこうしき P全次数ぜんじすう d単項式たんこうしきであり、微分びぶんこうごとに計算けいさんできる。よって

i=1nxiPxi=dP

である。□

この定理ていり微積分びせきぶんにもあらわれるが、多項式たこうしき場合ばあい各単項式かくたんこうしき次数じすうかぞえているだけである。

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13具体例ぐたいれい整理せいり

しき判定はんてい理由りゆう
x+y1 同次どうじ各項かくこうが 1
x2+xy+y22 同次どうじ各項かくこうが 2
x2+y同次どうじでない2 と 1 ざる
x3-3xyz+y33 同次どうじx3,xyz,y3 がすべて 3
x2+y21 正同次関数せいどうじかんすう多項式たこうしきではないが、λ>0拡大縮小かくだいしゅくしょうで 1

14どこまで成立せいりつするか

正同次関数せいどうじかんすう多項式たこうしきかぎらない。たとえば

f(x,y)=x2+y2

は 1 正同次関数せいどうじかんすうである。しかし代数だいすうおもあつかうのは、同次多項式どうじたこうしき同次成分どうじせいぶんである。

また、有限体ゆうげんたいのように λ種類しゅるい有限ゆうげんしかない場合ばあいP(λx)=λdP(x) から多項式たこうしきかたち判定はんていするには注意ちゅうい必要ひつようである。このページの同値判定どうちはんていは、RC のような無限むげんおおくのスカラーをたいかんがえている。

15不等式ふとうしきへの接続せつぞく

同次性どうじせい不等式ふとうしきとくやくつ。両辺りょうへんおな次数じすうなら、全体ぜんたいおおきさをえても真偽しんぎわらないため、x+y=1y=1 のように正規化せいきかできる場合ばあいがある。

また、制約せいやく x+y=1 がある問題もんだいでは、定数ていすう 1x+yえて同次化どうじかできることがある。このかんがかた不等式ふとうしき見通みとおしをおおきくくする。

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16一言ひとことでいうと

正同次関数せいどうじかんすうは、入力にゅうりょくせいλ ばいにするとあたいλd ばいになる関数かんすうである。同次多項式どうじたこうしきは、すべてのこうおな全次数ぜんじすう多項式たこうしきである。代数だいすうでは、この性質せいしつにより次数じすうごとの分解ぶんかい方向ほうこうとしてのかい斉次化せいじか自然しぜんあらわれる。

17関連かんれんリンク

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