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接平面・連鎖律・Jacobianmd f578b2e
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接平面せつへいめん連鎖律れんさりつ・Jacobian

date2026-07-14document_iddoc_9f37560700349096c11fb4d3ecaff99adescription接平面・連鎖律・Jacobian 行列を、多変数写像の点における線型近似として整理する講義である。prerequisites多変数関数と偏微分 / 線型写像type講義content_typelecturestatusactiverelateddata/lecture/math/multivariable-calculus/multivariable-functions-and-partial-derivatives.lecture.n.md / data/lecture/math/multivariable-calculus/multiple-integrals-and-change-of-variables.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-operator/proving-operator-linearity.lecture.n.md / data/lecture/math/differential-equations/linearization-and-eigenvalue-stability.lecture.n.md
mathmultivariable-calculusjacobianlinearizationlecture

1導入どうにゅう

この講義こうぎでは、Jacobian 行列ぎょうれつを「偏微分へんびぶんならべたひょう」でわらせないことを説明せつめいする。

Jacobian 行列ぎょうれつは、多変数写像たへんすうしゃぞう一点いってんちかくで線型化せんけいかしたときにあらわれる線型写像せんけいしゃぞう行列表現ぎょうれつひょうげんである。

ただし、ここで注意ちゅういがある。もとの写像しゃぞう F非線型ひせんけいなら、F 全体ぜんたい線型作用素せんけいさようそとみなしてはいけない。固定こていしたてん a における微分びぶん DF(a) だけが、増分ぞうぶん h作用さようする線型写像せんけいしゃぞうである。

この区別くべつが、多変数微積分たへんすうびせきぶん線型作用素せんけいさようそ微分方程式びぶんほうていしき接続せつぞく重要じゅうようになる。

data/lecture/math/linear-operator/proving-operator-linearity.lecture.n.md

2なぜ Jacobian 行列ぎょうれつかんがえるのか

一変数いちへんすう関数かんすうでは、x=aちかくで

f(a+h)f(a)+f(a)h

る。このしき意味いみは、複雑ふくざつ曲線きょくせんを、てん aちかくでは接線せっせん近似きんじするということである。

多変数たへんすうでもおなじことをしたい。つまり、a からすこしだけうごいたりょう hたいして、

F(a+h)-F(a)

を、できるだけ簡単かんたん線型写像せんけいしゃぞう近似きんじしたい。この線型写像せんけいしゃぞうDF(a) であり、その行列ぎょうれつが Jacobian 行列ぎょうれつである。

したがって、Jacobian 行列ぎょうれつ使つか理由りゆうは、多変数写像たへんすうしゃぞう局所的きょくしょてき変化へんかを、線型代数せんけいだいすうあつかえるかたちにするためである。

3用語ようご設定せってい

F:RnRm

F(x1,,xn)=(F1(x1,,xn)Fm(x1,,xn))

く。

3.1Jacobian 行列ぎょうれつ

F の Jacobian 行列ぎょうれつ

JF(x)=([PARSE ERROR: Undefined("Command(\"dfrac\")")]F1x1(x)[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"dfrac\")")]F1xn(x)[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"dfrac\")")]Fmx1(x)[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"dfrac\")")]Fmxn(x))

である。これは m×n 行列ぎょうれつである。入力にゅうりょく変数へんすうn 出力しゅつりょく成分せいぶんm あるからである。

ここでいう行列表現ぎょうれつひょうげんとは、線型写像せんけいしゃぞう基底きていえらんで行列ぎょうれつ対応たいおうさせることである。このページでは、Rn標準基底ひょうじゅんきてい

e1=(1,0,,0),,en=(0,,0,1)

使つかう。標準基底ひょうじゅんきていとは、かく座標軸ざひょうじく方向ほうこうあらわ基本きほんベクトルである。

3.2微分びぶん DF(a)

Fてん aRn微分可能びぶんかのうであるとは、ある線型写像せんけいしゃぞう

DF(a):RnRm

存在そんざいして、

F(a+h)=F(a)+DF(a)h+r(h),r(h)h0(h0)

けることである。ここで r(h) は、hくらべて十分じゅうぶんちいさい誤差ごさである。

記号きごう h はベクトル hながさをあらわす。このながさを使つかって、r(h)h より高次こうじちいさいことを

r(h)=o(h)

くこともある。

この定義ていぎでは、最初さいしょから DF(a)線型写像せんけいしゃぞうとしてあらわれる。Jacobian 行列ぎょうれつは、この DF(a)標準基底ひょうじゅんきていあらわした行列ぎょうれつである。

4命題めいだい 1:Jacobian 行列ぎょうれつてんでの線型写像せんけいしゃぞうあらわ

4.1仮定かてい

F:RnRmてん a微分可能びぶんかのうであり、Jacobian 行列ぎょうれつ JF(a)つとする。

4.2結論けつろん

La:RnRm,La(h)=JF(a)h

定義ていぎされる写像しゃぞう La線型せんけいである。また、F(a+h)一次近似いちじきんじ

F(a+h)F(a)+JF(a)h

である。

4.3証明しょうめい

h,kRnα,βR とする。行列ぎょうれつによる写像しゃぞう線型せんけいなので、

\begin{aligned} L_a(\alpha h+\beta k) &=J_F(a)(\alpha h+\beta k)\\ &=\alpha J_F(a)h+\beta J_F(a)k\\ &=\alpha L_a(h)+\beta L_a(k). \end{aligned}

したがって La線型せんけいである。

また、微分可能性びぶんかのうせい定義ていぎより

F(a+h)=F(a)+DF(a)h+r(h),r(h)h0

である。DF(a)行列表現ぎょうれつひょうげんJF(a) なので、

DF(a)h=JF(a)h

である。よって一次近似いちじきんじ

F(a+h)F(a)+JF(a)h

あたえられる。□

5接平面せつへいめん一出力いちしゅつりょく場合ばあい一次近似いちじきんじ

f:R2Rかんがえる。この場合ばあい、Jacobian 行列ぎょうれつ

Jf(a,b)=(fx(a,b)fy(a,b))

である。したがって

f(a+s,b+t)f(a,b)+fx(a,b)s+fy(a,b)t

である。x=a+s,y=b+tなおすと、

z=f(a,b)+fx(a,b)(x-a)+fy(a,b)(y-b)

となる。これが z=f(x,y)てん (a,b) における接平面せつへいめんである。

5.1具体例ぐたいれい

f(x,y)=x2+y2

とする。このとき

fx(x,y)=2x,fy(x,y)=2y

である。(1,2) では

f(1,2)=5,fx(1,2)=2,fy(1,2)=4

だから、接平面せつへいめん

z=5+2(x-1)+4(y-2)

である。

このしき曲面きょくめんそのものではない。てん (1,2)ちかくで、曲面きょくめん線型せんけいしき近似きんじしたものである。

6命題めいだい 2:連鎖律れんさりつ線型近似せんけいきんじ合成ごうせいである

6.1仮定かてい

F:RnRmてん a微分可能びぶんかのうG:RmRてん F(a)微分可能びぶんかのうであるとする。

6.2結論けつろん

JGF(a)=JG(F(a))JF(a)

である。

6.3証明しょうめい

A=DF(a)B=DG(F(a)) とおく。微分可能性びぶんかのうせい定義ていぎより、

F(a+h)=F(a)+Ah+rF(h),rF(h)=o(h)

である。また、u0 のとき

G(F(a)+u)=G(F(a))+Bu+rG(u),rG(u)=o(u)

である。

ここで

u=Ah+rF(h)

とおくと、h0 のとき u0 である。したがって

\begin{aligned} G(F(a+h)) &=G(F(a)+Ah+r_F(h))\\ &=G(F(a))+B(Ah+r_F(h))+r_G(Ah+r_F(h))\\ &=G(F(a))+BAh+\{Br_F(h)+r_G(Ah+r_F(h))\}. \end{aligned}

のこった括弧かっこなかo(h) であることを確認かくにんする。まず rF(h)=o(h) なので、BrF(h)=o(h) である。行列ぎょうれつ B による写像しゃぞうは、ながさをある定数倍ていすうばいまでにおさえるからである。

また、Ah+rF(h)=O(h) であり、rG(u)=o(u) だから、

rG(Ah+rF(h))=o(h)

である。よって

G(F(a+h))=G(F(a))+BAh+o(h)

である。これは GF微分びぶんBA であることを意味いみする。したがって

D(GF)(a)=DG(F(a))DF(a)

であり、標準基底ひょうじゅんきてい行列表示ぎょうれつひょうじすれば

JGF(a)=JG(F(a))JF(a)

である。□

この証明しょうめい要点ようてんは、近似きんじ感覚的かんかくてき合成ごうせいしただけではなく、のこりの誤差ごさhくらべてちいさいままであることを確認かくにんしたてんである。

data/lecture/math/linear-operator/introduction-to-linear-operators.lecture.n.md

7具体例ぐたいれい:Jacobian 行列ぎょうれつ計算けいさんする

F(x,y)=(x2ysin(x+y))

とする。このとき

JF(x,y)=(2xyx2cos(x+y)cos(x+y))

である。(1,0) では

JF(1,0)=(01cos1cos1)

である。

したがって (1,0)ちかくで、h=(s,t)Tくと、

F((1,0)+h)F(1,0)+JF(1,0)h

である。つまり

F(1+s,t)(0sin1)+(tcos1(s+t))

である。

この近似きんじでは、F非線型ひせんけいいを、てん (1,0)ちかくだけで線型写像せんけいしゃぞう hJF(1,0)hえている。

8微分方程式びぶんほうていしきでの使つかかた

連立微分方程式れんりつびぶんほうていしき

x=F(x)

かんがえる。平衡点へいこうてん x*

F(x*)=0

たすてんである。

x=x*+uくと、x*=0 なので

u=F(x*+u)

である。Jacobian による一次近似いちじきんじ使つかうと、

u=JF(x*)u+高次項

となる。この一次項いちじこうだけをると

u=JF(x*)u

という線型微分方程式せんけいびぶんほうていしきられる。これが平衡点へいこうてん線型化せんけいかである。

data/lecture/math/differential-equations/linearization-and-eigenvalue-stability.lecture.n.md

9変数変換へんすうへんかんでの使つかかた

多重積分たじゅうせきぶん変数変換へんすうへんかんでは、Jacobian 行列ぎょうれつ行列式ぎょうれつしきあらわれる。

写像しゃぞう

Φ(u,v)=(x(u,v),y(u,v))

ちいさい長方形ちょうほうけい平面上へいめんじょうおくるとき、その面積めんせき近似的きんじてき

|detJΦ(u,v)|

ばいされる。つまり Jacobian 行列式ぎょうれつしきは、局所的きょくしょてき面積倍率めんせきばいりつである。

data/lecture/math/multivariable-calculus/multiple-integrals-and-change-of-variables.lecture.n.md

10線型作用素せんけいさようそとの関係かんけい

F:RnRm最初さいしょから線型写像せんけいしゃぞうなら、ある行列ぎょうれつ A によって

F(x)=Ax

ける。この場合ばあい、どのてん a でも

JF(a)=A

である。つまり、線型写像せんけいしゃぞうでは局所近似きょくしょきんじ全体ぜんたい写像しゃぞう一致いっちする。

一方いっぽうF非線型ひせんけいなら、JF(a)てん a によってわる。この場合ばあい線型せんけいなのは

hJF(a)h

であって、xF(x) 全体ぜんたいではない。この区別くべつわすれると、非線型問題ひせんけいもんだい線型作用素方程式せんけいさようそほうていしきとしてあやまってあつかうことになる。

11どこまで成立せいりつするか

Jacobian 行列ぎょうれつけることと、微分可能びぶんかのうであることはおなじではない。偏微分へんびぶん存在そんざいしても、一次近似いちじきんじとしてただしくはたらくとはかぎらない。

このページでは、F微分可能びぶんかのうである場合ばあい前提ぜんていにした。よりくわしくは、偏微分へんびぶん連続性れんぞくせい逆関数定理ぎゃくかんすうていり陰関数定理いんかんすうていりなどで条件じょうけんおぎなう。

また、detJF(a)0 だからといって、大域的たいいきてき一対一いちたいいちであるとはえない。それはてん aちかくで局所的きょくしょてき逆写像ぎゃくしゃぞうかんがえられる、というかた主張しゅちょうである。

12関連かんれんリンク

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