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作用素の線型性証明md a5ec1a6
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作用素さようそ線型性せんけいせい証明しょうめい

date2026-07-14document_iddoc_6f5323a1677e868efda404a52221aa68description行列作用素・乗法作用素・微分作用素・積分作用素・シフト作用素・遅延作用素・差分作用素・畳み込み作用素・射影作用素が線型であることを、定義域と終域を明示して証明する講義である。prerequisites線型作用素 / 基本作用素の例 / 作用素カタログtype講義content_typelecturestatusactiverelateddata/lecture/math/linear-operator/introduction-to-linear-operators.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-operator/basic-operator-examples.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-operator/operator-catalog-foundations.lecture.n.md / data/lecture/math/linear-operator/linear-operator-equation-applications.lecture.n.md / data/lecture/math/calculus/fundamental-theorem-of-calculus.lecture.n.md / data/lecture/math/sequence/shift-operators-and-recurrences.lecture.n.md / data/lecture/math/multivariable-calculus/tangent-planes-chain-rule-and-jacobian.lecture.n.md
mathlinear-operatorlinearityexamplesprooflecture

1導入どうにゅう

このページの目的もくてきは、作用素さようそ名前なまえて「これは線型せんけいだ」とめつけないことである。

線型作用素せんけいさようそであることを使つかうには、かなら

L(αx+βz)=αLx+βLz

確認かくにんする。とく関数かんすう数列すうれつ作用素さようそでは、定義域ていぎいき終域しゅういきめないと、このしき意味いみまらない。

このページでは、典型的てんけいてき作用素さようそについて

  1. 定義域ていぎいき終域しゅういきく。
  2. 任意にんいの 2 つの入力にゅうりょくと 2 つのスカラーをる。
  3. 定義ていぎ代入だいにゅうする。
  4. ざんとスカラーばいそとす。

という順序じゅんじょ線型性せんけいせい証明しょうめいする。

data/lecture/math/linear-operator/introduction-to-linear-operators.lecture.n.md

2命題めいだい 1:行列作用素ぎょうれつさようそmatrix operator線型せんけいである

2.1設定せってい

Am×n 行列ぎょうれつとする。

LA:KnKm,LAx=Ax

定義ていぎされる作用素さようそかんがえる。

2.2証明しょうめい

x,zKnα,βK とする。A=(aij)くと、A(αx+βz)i 成分せいぶん

\begin{aligned} \sum_{j=1}^n a_{ij}(\alpha x_j+\beta z_j) &=\alpha\sum_{j=1}^n a_{ij}x_j +\beta\sum_{j=1}^n a_{ij}z_j\\ &=(\alpha Ax+\beta Az)_i \end{aligned}

である。すべての成分せいぶんひとしいので

A(αx+βz)=αAx+βAz

である。したがって

LA(αx+βz)=αLAx+βLAz

であり、LA線型せんけいである。□

2.3方程式ほうていしきとしてのれい

LAx=b

は、ふつうの連立一次方程式れんりついちじほうていしき Ax=b である。かくAx=0解集合かいしゅうごうぞうA列空間れつくうかんである。

3命題めいだい 2:乗法作用素じょうほうさようそmultiplication operator線型せんけいである

3.1設定せってい

X集合しゅうごうVX から K への関数かんすう全体ぜんたいのベクトル空間くうかんとする。1 つの関数かんすう m:XK固定こていし、

(Mmf)(t)=m(t)f(t)

Mm:VV定義ていぎする。

3.2証明しょうめい

f,gVα,βK とする。任意にんいtX について

\begin{aligned} (M_m(\alpha f+\beta g))(t) &=m(t)(\alpha f(t)+\beta g(t))\\ &=\alpha m(t)f(t)+\beta m(t)g(t)\\ &=(\alpha M_mf+\beta M_mg)(t). \end{aligned}

すべての tひとしいので

Mm(αf+βg)=αMmf+βMmg

である。したがって Mm線型せんけいである。□

3.3具体例ぐたいれい

X=Rm(t)=t とすると

(Mmf)(t)=tf(t)

である。これは「てん t ごとに t ばいする」作用素さようそであり、微分びぶんのようにべつてんあたいぜない。

4命題めいだい 3:微分作用素びぶんさようそdifferential operator線型せんけいである

4.1設定せってい

区間くかん [a,b] うえC1 関数かんすう全体ぜんたいC1[a,b]連続れんぞく関数かんすう全体ぜんたいC[a,b] とする。

D:C1[a,b]C[a,b],Df=f

かんがえる。

4.2証明しょうめい

f,gC1[a,b]α,βK とする。任意にんい内点ないてん x(a,b) について、導関数どうかんすう定義ていぎから

\begin{aligned} (\alpha f+\beta g)'(x) &=\lim_{h\to0} \frac{(\alpha f+\beta g)(x+h)-(\alpha f+\beta g)(x)}{h}\\ &=\lim_{h\to0} \left( \alpha\frac{f(x+h)-f(x)}{h} +\beta\frac{g(x+h)-g(x)}{h} \right)\\ &=\alpha f'(x)+\beta g'(x). \end{aligned}

したがって

D(αf+βg)=αDf+βDg

である。よって D線型せんけいである。□

4.3具体例ぐたいれい

Df=q

f=q である。特殊解とくしゅかいを 1 つつけても、定数関数ていすうかんすうしてよい。理由りゆうkerD定数関数ていすうかんすうだからである。

5命題めいだい 4:積分作用素せきぶんさようそintegral operator J線型せんけいである

5.1設定せってい

J:C[a,b]C1[a,b],(Jf)(x)=axf(t)dt

かんがえる。

5.2証明しょうめい

f,gC[a,b]α,βK とする。任意にんいx[a,b] について

\begin{aligned} J(\alpha f+\beta g)(x) &=\int_a^x(\alpha f(t)+\beta g(t))\,dt\\ &=\alpha\int_a^x f(t)\,dt+\beta\int_a^x g(t)\,dt\\ &=(\alpha Jf+\beta Jg)(x). \end{aligned}

したがって J線型せんけいである。□

5.3具体例ぐたいれい

Jf=Fかいつには、F(a)=0必要ひつようである。これは Jf(a)=0 だからである。このように、ぞうると可解性かかいせいかる。

data/lecture/math/calculus/fundamental-theorem-of-calculus.lecture.n.md

6命題めいだい 5:核関数かくかんすうkernel function積分作用素せきぶんさようそ線型せんけいである

6.1設定せってい

K(x,t)[a,b]×[a,b] うえ連続れんぞく関数かんすうとする。

Tf(x)=abK(x,t)f(t)dt

T:C[a,b]C[a,b]定義ていぎする。

6.2証明しょうめい

f,gC[a,b]α,βK とする。任意にんいx[a,b] について

\begin{aligned} T(\alpha f+\beta g)(x) &=\int_a^b K(x,t)(\alpha f(t)+\beta g(t))\,dt\\ &=\alpha\int_a^b K(x,t)f(t)\,dt +\beta\int_a^b K(x,t)g(t)\,dt\\ &=(\alpha Tf+\beta Tg)(x). \end{aligned}

したがって T線型せんけいである。□

6.3注意ちゅうい

ここでの K(x,t)核関数かくかんすうkernel functionである。kerTかくkernelとはべつ用語ようごである。おなても、前者ぜんしゃ積分せきぶんおもみ、後者こうしゃTf=0 となる入力にゅうりょく集合しゅうごうである。

7命題めいだい 6:シフト作用素さようそshift operator遅延作用素ちえんさようそdelay operator線型せんけいである

7.1設定せってい

V=KZ両側りょうがわ数列すうれつ a=(an)nZ のベクトル空間くうかんとする。

(Ea)n=an+1,(Ra)n=an-1

前進ぜんしんシフト E遅延ちえん R定義ていぎする。

7.2証明しょうめい

a,bVα,βK とする。任意にんいnZ について

\begin{aligned} (E(\alpha a+\beta b))_n &=(\alpha a+\beta b)_{n+1}\\ &=\alpha a_{n+1}+\beta b_{n+1}\\ &=(\alpha Ea+\beta Eb)_n. \end{aligned}

したがって E線型せんけいである。おなじように

\begin{aligned} (R(\alpha a+\beta b))_n &=(\alpha a+\beta b)_{n-1}\\ &=\alpha a_{n-1}+\beta b_{n-1}\\ &=(\alpha Ra+\beta Rb)_n \end{aligned}

なので、R線型せんけいである。□

7.3片側かたがわれつでの注意ちゅうい

片側かたがわれつ a=(a0,a1,) では、Ea=(a1,a2,)自然しぜん定義ていぎできる。一方いっぽうRa定義ていぎするには a-1 をどうあつかうかをめる必要ひつようがある。たとえば

(Ra)0=0,(Ra)n=an-1(n[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"ge\")")]1)

けば、R片側かたがわれつ空間くうかんでも線型せんけいになる。

data/lecture/math/sequence/shift-operators-and-recurrences.lecture.n.md

8命題めいだい 7:差分作用素さぶんさようそdifference operator線型せんけいである

8.1設定せってい

数列すうれつ空間くうかん

Δ=E-I

定義ていぎする。つまり

(Δa)n=an+1-an

である。

8.2証明しょうめい

EI線型せんけいである。線型作用素せんけいさようそ定数倍ていすうばい線型せんけいなので、

Δ=E-I

線型せんけいである。

直接ちょくせつたしかめるなら、任意にんいn について

\begin{aligned} (\Delta(\alpha a+\beta b))_n &=(\alpha a+\beta b)_{n+1}-(\alpha a+\beta b)_n\\ &=\alpha(a_{n+1}-a_n)+\beta(b_{n+1}-b_n)\\ &=(\alpha\Delta a+\beta\Delta b)_n \end{aligned}

である。□

8.3具体例ぐたいれい

Δa=c

an+1-an=cn

である。これはあたえられた数列すうれつ復元ふくげんする問題もんだいで、るとける。

9命題めいだい 8:たた作用素さようそconvolution operator線型せんけいである

9.1設定せってい

まず解析的かいせきてき収束しゅうそく問題もんだいけるため、有限台ゆうげんだい両側りょうがわ数列すうれつ空間くうかん c00(Z)かんがえる。固定こていした hc00(Z)たいして

(Cha)n=jZhn-jaj

Ch:c00(Z)c00(Z)定義ていぎする。これは h とのたたみである。有限台ゆうげんだいなので、有限個ゆうげんここうだけである。

9.2証明しょうめい

a,bc00(Z)α,βK とする。任意にんいn について

\begin{aligned} (C_h(\alpha a+\beta b))_n &=\sum_j h_{n-j}(\alpha a_j+\beta b_j)\\ &=\alpha\sum_j h_{n-j}a_j+\beta\sum_j h_{n-j}b_j\\ &=(\alpha C_ha+\beta C_hb)_n. \end{aligned}

したがって Ch線型せんけいである。□

9.3変換へんかんとの関係かんけい

たた作用素さようそは、Fourier 変換へんかん、Laplace 変換へんかん、Z 変換へんかんざんうつる。このため、線型時不変系せんけいじふへんけい入力にゅうりょく出力しゅつりょく調しらべる道具どうぐになる。

10命題めいだい 9:射影作用素しゃえいさようそprojection operator線型せんけいである

10.1設定せってい

ベクトル空間くうかん V が 2 つの部分空間ぶぶんくうかん U,N直和ちょくわとして

V=UN

けるとする。これは、任意にんいxV がただ 1 つのかたち

x=u+n,uU,nN

けるという意味いみである。このとき

P(u+n)=u

P:VV定義ていぎする。これは N 方向ほうこうとして U 成分せいぶん射影しゃえいである。

10.2証明しょうめい

x,zV とする。直和分解ちょくわぶんかいにより

x=u+n,z=v+m

とただ 1 つにける。ただし u,vUn,mN である。

U,N部分空間ぶぶんくうかんなので、αu+βvUαn+βmN である。したがって

αx+βz=(αu+βv)+(αn+βm)

直和分解ちょくわぶんかいである。P定義ていぎより

\begin{aligned} P(\alpha x+\beta z) &=\alpha u+\beta v\\ &=\alpha P x+\beta P z. \end{aligned}

したがって P線型せんけいである。□

10.3かくぞう

この射影しゃえいについて

ImP=U,kerP=N

である。また

P2=P

成立せいりつする。

10.4注意ちゅうい

P2=P だから線型せんけい」ではない。射影作用素しゃえいさようそというときは、線型せんけい写像しゃぞうであり、さらに P2=Pたすものをす。この順序じゅんじょぎゃくにしない。

11補足ほそく:Jacobian 行列ぎょうれつてんでの線型化せんけいかである

Jacobian 行列ぎょうれつは、非線型写像ひせんけいしゃぞうをそのまま線型作用素せんけいさようそにする道具どうぐではない。

F:RnRmてん a微分可能びぶんかのうなとき、

hJF(a)h

増分ぞうぶん h作用さようする線型写像せんけいしゃぞうである。線型せんけいなのはこのてん a固定こていした一次近似いちじきんじであり、xF(x) 全体ぜんたいではない。

この区別くべつれておくと、微分方程式びぶんほうていしき平衡点へいこうてん近傍きんぼう線型化せんけいかするときに、なぜ Jacobian 行列ぎょうれつ固有値こゆうちるのかが自然しぜんめる。

data/lecture/math/multivariable-calculus/tangent-planes-chain-rule-and-jacobian.lecture.n.md

12つぎむページ

線型性せんけいせい確認かくにんしたあとは、微分方程式びぶんほうていしき差分方程式さぶんほうていしき漸化式ぜんかしきLx=y枠組わくぐみがどう使つかわれるかをる。

data/lecture/math/linear-operator/linear-operator-equation-applications.lecture.n.md

13一言ひとことでいうと

作用素さようそ線型せんけいかどうかは、名前なまえではなく定義ていぎから証明しょうめいする。関数かんすうなら各点かくてん確認かくにんし、数列すうれつなら各成分かくせいぶん確認かくにんし、射影しゃえいなら直和分解ちょくわぶんかい一意性いちいせいから確認かくにんする。

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