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多項式の因数分解md 0d22006
lecture/math/algebra/polynomial-factorization.lecture.n.md
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多項式の因数分解
mathalgebrapolynomialfactorizationlecture
1導入
この講義では、因数分解を「公式を当てる作業」ではなく、多項式がどんな積として作られているかを見えるようにする操作として理解する。
たとえば
x^2-5x+6
を
(x-2)(x-3)
と書ければ、x=2,3 で値が 0 になることがすぐ分かる。因数分解は、展開の逆向きであると同時に、根や符号を読みやすくする道具である。
2定義:多項式の因数分解
P(x) を多項式とする。P(x) が
P(x)=Q(x)R(x)
と書けるとき、Q(x),R(x) を P(x) の因数という。特に Q,R がどちらも定数でないなら、これは非自明な因数分解である。
ここで大切なのは、どの係数を許すかである。整数係数、有理数係数、実数係数、複素数係数では、分解できる範囲が変わる。
この講義では、まだ複素数を使わなくてよい範囲を中心に扱う。複素数係数まで広げた完全な分解は、代数学の基本定理で扱う。
data/lecture/math/algebra/fundamental-theorem-of-algebra.lecture.n.md
3なぜ因数定理を使うのか
因数分解でまず試すべきことは、「0 にする値があるか」である。なぜなら、P(a)=0 が分かれば、x-a が因数になるからである。
これは公式ではなく、剰余の定理から出る。
4定理 1:根があれば一次因数がある
4.1仮定
P(x) を多項式とし、P(a)=0 とする。
4.2結論
ある多項式 Q(x) が存在して、
P(x)=(x-a)Q(x)
と書ける。
5系 1:異なる根が複数あれば、その分だけ一次因数が並ぶ
5.1仮定
P(x) を多項式とし、a_1,\ldots,a_k が互いに異なる数で、
P(a_1)=\cdots=P(a_k)=0
とする。
5.2結論
(x-a_1)(x-a_2)\cdots(x-a_k) は P(x) の因数である。
5.3証明
定理 1 より、
P(x)=(x-a_1)Q_1(x)
と書ける。a_2\ne a_1 なので、
0=P(a_2)=(a_2-a_1)Q_1(a_2)
である。a_2-a_1\ne0 だから、Q_1(a_2)=0 である。よって定理 1 を Q_1 に使うと、Q_1(x)=(x-a_2)Q_2(x) と書ける。
この操作を繰り返すと、
P(x)=(x-a_1)(x-a_2)\cdots(x-a_k)Q_k(x)
を得る。□
6既約多項式
考えている係数の範囲で、それ以上非自明に因数分解できない多項式を既約多項式という。
たとえば、ある範囲では分解できない多項式が、より広い範囲では分解できることがある。だから因数分解では、「どこで分解しているか」を最初に確認する。
7定石
- 共通因数があれば、まず括り出す。
- 二次式なら、積と和から一次因数を探す。
- 根の候補が見えるなら、代入して因数定理を使う。
- 係数の範囲を確認する。
8一言でいうと
多項式の因数分解は、展開の逆ではあるが、それだけではない。根・符号・既約性を見えるようにするための構造分析である。