べき級数解法と Frobenius 法
mathdifferential-equationspower-serieslecture
導入
このページの核心は、変数係数の線型方程式で特性方程式が使えない場合に、解を局所級数として構成することである。
べき級数解法
通常点の近傍では
y=\sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n
と仮定する。導関数は
y'=\sum_{n=1}^{\infty}na_nx^{n-1},\qquad
y''=\sum_{n=2}^{\infty}n(n-1)a_nx^{n-2}
である。これを方程式へ代入し、同じ冪の係数を比較して a_n の漸化式を得る。
通常点とは、標準形 y''+P(x)y'+Q(x)y=0 にしたとき、P,Q がその点の近傍で解析的である点を指す。この条件があるため、解もべき級数として構成できると期待する。級数を仮定する理由は、微分と係数比較により、未知関数を無限個の係数の決定問題へ変換できるためである。
Frobenius 法
Frobenius 法 は、正則特異点の近傍で
y=x^r\sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n
を仮定する方法である。r は指数方程式から決定される。通常のべき級数では不足する冪のずれを、x^r が吸収する。
正則特異点では、係数そのものは特異でも、xP(x) や x^2Q(x) が解析的である。この場合、解は通常のべき級数ではなく、先頭に x^r を持つ級数として表現されることが自然である。Euler-Cauchy 型はこの構造の最小例である。
具体例
y''+xy=0
に y=\sum a_nx^n を代入すると、
\sum_{n=0}^{\infty}(n+2)(n+1)a_{n+2}x^n+\sum_{n=1}^{\infty}a_{n-1}x^n=0
となる。係数比較から a_2=0、および n\ge 1 で
(n+2)(n+1)a_{n+2}+a_{n-1}=0
を得る。初期係数 a_0,a_1 から解が局所的に構成される。
この漸化式は、a_0 と a_1 を自由に設定すると、その後の係数が順次に決定されることを示す。二階線型の解空間が 2 次元であることが、級数係数の自由度として現れている。
Frobenius 法の最小例
x^2y''-xy'+y=0
は x=0 に特異点を持つ。y=x^r と置くと
r(r-1)-r+1=(r-1)^2=0
であり、重根 r=1 を得る。この場合、x と x\log x が基本解になる。Frobenius 法では、指数方程式の根の差や重複により、対数項が必要になる場合がある。
どこまで成り立つか
級数解は形式的な係数決定だけでは完了しない。収束半径、特異点、初期条件との整合性を確認する必要がある。
不規則特異点では、Frobenius 法が直接適用できない場合がある。また、級数解が得られても、閉じた初等関数として表現できるとは限らない。級数解法の目的は、初等関数へ戻すことではなく、局所的に制御された解を構成することである。