数列と漸化式
mathhighschoolsequencelecture
導入
数列で最重要なのは、1 項ずつ追うだけでなく、「どんな量を作ると規則が単純になるか」を見抜くことです。
ただし、数列の講義を 1 本にまとめすぎると、差を見る話、比を見る話、平衡点を作る話が混ざってしまいます。このノートでは、まず全体像を整理し、そのあと詳細は個別の講義へつなぎます。
用語と定義
数列 とは、a_1,a_2,a_3,\dots のように順番に並んだ数です。
漸化式 とは、a_{n+1} を a_n などで表す式です。
方針
漸化式では、そのまま追うより、差を取る、比を取る、定数を引く、といった変形で既知の型に落とします。
このノートでは、「どの型を選ぶか」の見取図を与えることを主目的にします。
直感的な説明
1. 等差数列と等比数列
毎回「どれだけ増えるか」が一定なら差を見るべきで、毎回「何倍か」が一定なら比を見るべきです。
2. 一次漸化式の見方
a_{n+1}=pa_n+q のような式は、そのままだと毎回 q が邪魔です。そこで「平衡点」になる定数を引くと、等比数列へ変わります。
3. 見取図
- 増え方が一定なら、差を見る
- 倍率が一定なら、比を見る
- 足し算と掛け算が混ざるなら、平衡点を探して定数を引く
厳密な説明
このノートでは厳密な導出をすべて展開するより、「どの型に落ちるか」を整理します。
等差数列は
a_{n+1}-a_n=d
という差の一定に着目する型です。
等比数列は
a_{n+1}=ra_n
という比の一定に着目する型です。
一次漸化式
a_{n+1}=pa_n+q
は、\alpha=p\alpha+q を満たす平衡点 \alpha を取ると
b_n:=a_n-\alpha
によって
b_{n+1}=pb_n
という等比型へ変形できます。
ここで大事なのは、複雑な漸化式を新しい数列に置き換えて、知っている型へ戻すことです。
別の見方
代数的な見方
高校数学では、差を取る、比を取る、平衡点を引く、という操作で型を単純にします。これは「式を知っている形に変形する」という代数的な発想です。
線形代数・行列による見方
大学数学では、漸化式を行列の反復として読むことがあります。すると一次の漸化式で平衡点を引くことは、原点を不動点へ移して変換を単純化することだと見えます。
解析的・複素関数による見方
差分方程式と見れば、漸化式は微分方程式の離散版です。また r^n を複素数まで広げると、振動する数列も複素指数関数でまとめて見られます。
この見方の利点は、高校数学の手の動かし方と、大学数学での構造の見方が別物ではなく、同じ規則を別の言葉で見ているだけだと分かることです。
詳細への案内
等差数列と等比数列の導出と使い分けは、等差数列と等比数列-講義で詳しく扱います。
一次漸化式の平衡点を使う変形は、一次漸化式-講義で詳しく扱います。
どこまで成り立つか
この方法は、一次の漸化式には非常に有効です。非線形の漸化式では、別の量を作る工夫が必要です。
最終形
\boxed{\text{差が一定なら等差、比が一定なら等比}}
\boxed{a_{n+1}=pa_n+q \text{ では平衡点を引いて等比に直す}}
一言でいうと
- 差を見るか、比を見るか、平衡点を作るかを選ぶのが本質です。