外積の基本
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導入
この講義で重要なのは、外積を、2 本のベクトルが張る平行四辺形の面積と、その面に垂直な向きを同時に表すベクトルとして理解することである。
内積は同方向成分を測定する。外積は、それと対照的に、2 本のベクトルがどれだけ面を形成するかを測定する。力学のトルクや角運動量、電磁気のローレンツ力においても、この面積と向きの情報が利用される。
用語と定義
外積 とは、3 次元ベクトル a,b に対して、a と b の両方に垂直で、大きさが
|a\times b|=|a|\,|b|\sin\theta
となるベクトルである。向きは右手系で定める。
成分表示では、
a\times b=
\begin{pmatrix}
a_2b_3-a_3b_2\\
a_3b_1-a_1b_3\\
a_1b_2-a_2b_1
\end{pmatrix}
である。
直感的な説明
2 本のベクトルが平行なら、平行四辺形の面積は 0 である。直交するほど面積は大きくなる。そのため外積の大きさには \sin\theta が現れる。
さらに、面積だけでは向きの情報が不足する。そこで 3 次元では、面に垂直な向きを採用し、右手系で符号を固定する。
厳密な説明
1. 面積としての大きさ
平行四辺形の底辺を |a|、高さを |b|\sin\theta とすると、
\text{面積}=|a|\,|b|\sin\theta
である。外積はこの面積を大きさとして持つ。
2. 成分公式
a=(a_1,a_2,a_3)^T、b=(b_1,b_2,b_3)^T とする。a\times b は a と b に垂直であるため、
(a\times b)\cdot a=0,\qquad (a\times b)\cdot b=0
を満たす。成分公式
a\times b=
\begin{pmatrix}
a_2b_3-a_3b_2\\
a_3b_1-a_1b_3\\
a_1b_2-a_2b_1
\end{pmatrix}
を代入すると、確かに両方の内積が 0 になる。
3. 行列式との関係
a\times b の第一成分は、yz 平面への射影が作る符号付面積
\begin{vmatrix}
a_2&a_3\\
b_2&b_3
\end{vmatrix}
=a_2b_3-a_3b_2
である。他の成分も同様に、座標平面への射影の符号付面積として理解できる。
具体例
e_1=\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix},
\qquad
e_2=\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}
なら、
e_1\times e_2=
\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}
=e_3
である。これは xy 平面の単位正方形の面積が 1 で、向きが正の z 方向であることに対応する。
別の観点
幾何的には、外積は面積と法線方向である。代数的には、成分が 2 次の行列式で構成されるベクトルである。物理的には、回転の向きや面を貫く方向を表現する道具である。
見分け方
- 面積、法線、回転、トルク、ローレンツ力が出現したら、外積を検討する。
- 同方向成分を測定するなら内積、面と垂直方向を測定するなら外積である。
どこまで成り立つか
ここで扱う外積は 3 次元ユークリッド空間に固有の道具である。2 次元では符号付面積として数で扱う場合が多い。高次元では外積代数や微分形式で一般化する。
最終形
\boxed{|a\times b|=|a|\,|b|\sin\theta}
\boxed{a\times b\perp a,\qquad a\times b\perp b}
\boxed{
a\times b=
\begin{pmatrix}
a_2b_3-a_3b_2\\
a_3b_1-a_1b_3\\
a_1b_2-a_2b_1
\end{pmatrix}
}
一言でいうと
- 外積は、2 本のベクトルが形成する面積と法線方向を 1 本のベクトルで表現する道具である。