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行列式md 3c07dc8
lecture/math/linear-algebra/行列式-講義.n.md
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行列式
mathlinear-algebraundergraduatelecture
導入
この講義で最重要なのは、行列式を単なる計算規則ではなく、「面積や体積をどれだけ伸ばすか」と「逆行列があるか」を同時に判定する量として理解することである。
用語と定義
行列式 は、n\times n 行列に対して定まる数で、2 次では
\det\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}=ad-bc
である。
方針
2 次では平行四辺形の面積から導入し、つぎに連立一次方程式や逆行列との接続を確認する。さらに高次元では、多重線型性・交代性・正規化という定義原理で特徴づける。
直感的な説明
列ベクトルを 2 本並べると、平行四辺形が定まる。行列式の絶対値は、その面積である。符号は向きの反転を表す。
したがって \det A=0 とは、面積が 0、つまり 2 本の列が一直線上に潰れているということである。このとき逆には復元できない。
厳密な説明
1. 2 次の公式
A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}
に対して
\det A=ad-bc
である。
2. なぜ 0 が特別か
\det A\neq 0 なら、A^{-1} が存在し、
A^{-1}=\frac{1}{ad-bc}\begin{pmatrix}d&-b\\-c&a\end{pmatrix}
と表示できる。したがって \det A=0 では分母が 0 になり、逆行列を構成できない。
3. 具体例
A=\begin{pmatrix}2&1\\1&1\end{pmatrix}
なら
\det A=2\cdot 1-1\cdot 1=1
である。これは面積を 1 倍のまま保ちつつ、形だけを変えていると解釈できる。
一方
B=\begin{pmatrix}1&2\\2&4\end{pmatrix}
では
\det B=1\cdot 4-2\cdot 2=0
である。列が比例していて、平面を直線へ潰す。
4. 高次元での定義原理
一般の n\times n 行列の行列式は、2 次の公式 ad-bc を形式的に延長したものではない。本質は、列ベクトルが構成する向き付けられた体積を測定する関数として、次の 3 条件で特徴づけられることにある。
- 各列について線型である。
- 2 本の列が等しいと 0 になる。列を交換すると符号が反転する。
- \det I=1 である。
この 3 条件を満たす関数が一意に存在し、それを行列式と呼ぶ。置換を用いると
\det A=\sum_{\sigma\in S_n}\operatorname{sgn}(\sigma)
a_{1\sigma(1)}a_{2\sigma(2)}\cdots a_{n\sigma(n)}
とも表示できる。この式は計算のためだけでなく、交代性と多重線型性が同時に組み込まれていることを示す。
別の観点
幾何的には面積・体積の伸縮率である。代数的には逆行列の存在条件である。連立一次方程式の立場では、「解が 1 つに決定されるか」を判定する量である。
判定基準
- 逆行列の存在、連立一次方程式の一意解、面積や体積の伸縮が問われたら行列式を検討する。
- 列ベクトルどうしが独立かどうかを数値で判定したいときにも、行列式が有効である。
どこまで成り立つか
2 次や 3 次では公式を直接記述できるが、高次元では置換や余因子展開などの定義が必要になる。この場合においても「体積の伸縮と可逆性を判定する」という本質は変わらない。
最終形
\boxed{\det\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}=ad-bc}
\boxed{\det A\neq 0 \iff A\text{ は可逆}}
\boxed{\det\text{ は多重線型性・交代性・}\det I=1\text{ で特徴づけられる}}
一言でいうと
- 行列式は、空間をどれだけ潰すか、どれだけ伸長するかを表す数である。
- 0 になると逆には復元できない。