用語と定義
階数 とは、行列の独立な行または列の最大個数である。
列空間 とは、列ベクトルの線型結合で得られる部分空間である。
行空間 とは、行ベクトルの線型結合で得られる部分空間である。
核 とは、線型写像 A:K^n\to K^m について Ax=0 を満たす x の集合である。
像 とは、Ax として到達できる出力全体である。
厳密な説明
1. 掃き出しで確認する
行列を行基本変形して、主成分のある行の本数を数えると、それが階数である。
2. 列の意味
列ベクトルの張る空間の次元としても階数を定義できる。A の列を a_1,\dots,a_n とすると、
\operatorname{Col}(A)=\operatorname{span}(a_1,\dots,a_n)
であり、
\operatorname{rank}(A)=\dim\operatorname{Col}(A)
である。行空間の次元も同じ値になり、これを行階数と列階数の一致という。
この一致は、掃き出し法から確認できる。行基本変形は左から可逆行列を掛ける操作であり、列どうしの一次関係を保存する。簡約化した行列に r 個の主成分があれば、非零行は r 本で行空間の基底を与える。また、元の行列の主成分列は列空間の基底を与える。よって行空間と列空間の次元はいずれも r である。
3. 像と核
A:K^n\to K^m を線型写像として解釈すると、像は到達可能な右辺 b の全体であり、核は Ax=0 に消える入力の全体である。
\operatorname{Im}(A)=\{Ax\mid x\in K^n\},\qquad
\ker(A)=\{x\in K^n\mid Ax=0\}
階数は
\operatorname{rank}(A)=\dim\operatorname{Im}(A)
であり、核の次元を退化次数と呼ぶ。
4. 階数・退化次数定理
A:K^n\to K^m について、
\operatorname{rank}(A)+\operatorname{nullity}(A)=n
が成立する。これは入力空間の次元が、「出力として残る次元」と「0 に潰れる次元」に分解されることを意味する。
5. 解との関係
連立一次方程式 Ax=b は、b が \operatorname{Im}(A) に属する場合に解を持つ。解が 1 つ存在すると、他の解はその解に \ker(A) の元を加えたものとして得られる。したがって核の次元が、解空間の自由度を表す。
最終形
\boxed{\text{rank}=\text{主成分の本数}}
\boxed{\text{rank}=\text{独立な列の最大本数}}
\boxed{\text{row rank}=\text{column rank}}
\boxed{\operatorname{rank}(A)+\operatorname{nullity}(A)=n}