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固有値と固有ベクトルmd b94a1c3
lecture/math/linear-algebra/固有値と固有ベクトル-講義.n.md
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固有値こゆうちeigenvalue固有こゆうベクトルeigenvector

導入どうにゅう

この講義こうぎ核心かくしんは、固有値こゆうちeigenvalue固有こゆうベクトルeigenvectorとは「線型変換せんけいへんかんlinear transformationなかきがわらない方向ほうこう固有こゆうベクトルeigenvector)とその伸縮率しんしゅくりつ固有値こゆうちeigenvalue)」であり、変換へんかん本質的ほんしつてき構造こうぞうstructureをもっとも単純たんじゅん基底きていbasisあらわという観点かんてんである。

特性方程式とくせいほうていしき技術ぎじゅつ」としてあつかうと、「なぜ det(A-λI)=0 なのか」「代数的重複度だいすうてきちょうふくど幾何的重複度きかてきちょうふくどちがいとはなにか」が不明瞭ふめいりょうになる。変換へんかんが「きをえない方向ほうこう」を条件じょうけんから出発しゅっぱつすると、すべてが自然しぜんみちびかれる。

用語ようご定義ていぎ

固有値こゆうちEigenvalue固有こゆうベクトルEigenvector

An 正方行列せいほうぎょうれつsquare matrixとするとき、v0 かつ

Av=λv

たすスカラー λ固有値こゆうちEigenvaluev対応たいおうする固有こゆうベクトルEigenvectorという。

特性多項式とくせいたこうしきCharacteristic polynomial

p(λ)=det(A-λI)

A特性多項式とくせいたこうしきCharacteristic polynomialという。n 多項式たこうしきであり、固有値こゆうちeigenvaluep(λ)=0かいである。

方針ほうしん

  1. Av=λvdet(A-λI)=0翻訳ほんやくする論理ろんり確認かくにんする
  2. 代数的重複度だいすうてきちょうふくど幾何的重複度きかてきちょうふくど対角化可能性たいかくかかのうせいめる
  3. Cayley-Hamilton の定理ていり微分方程式びぶんほうていしきへの接続せつぞく確認かくにんする
data/lecture/math/linear-algebra/線型写像と行列-講義.n.md

直感的ちょっかんてき説明せつめい

一般いっぱん線型変換せんけいへんかんlinear transformationは、ベクトルのきをえる。たとえば平面へいめんななめにつぶしたり、回転かいてんさせたりすると、ほとんどの矢印やじるしべつ方向ほうこうく。

そのなかで、変換後へんかんごおな直線上ちょくせんじょうのこ方向ほうこうがあるなら、その方向ほうこう固有こゆうベクトルeigenvector方向ほうこうである。変換へんかんはその方向ほうこうでは、回転かいてんやせんだんではなく、ただの伸縮しんしゅくとしてえる。その伸縮率しんしゅくりつ固有値こゆうちeigenvalueである。

つまり固有値こゆうちeigenvalue固有こゆうベクトルeigenvectorは、複雑ふくざつ線型変換せんけいへんかんlinear transformationを「方向ほうこうごとの倍率ばいりつ」としてめる場所ばしょさが道具どうぐである。この見方みかた対角化たいかくかdiagonalization接続せつぞくする。

data/lecture/math/linear-algebra/対角化の基本-講義.n.md

厳密げんみつ説明せつめい

1. 方程式ほうていしきへの翻訳ほんやく

固有こゆうベクトルeigenvector定義ていぎは、非零ひれいベクトル v0ふくめて

Av=λv(v0)

である。これは

(A-λI)v=0(v0)

同値どうちequivalentである。ここまでは固有値こゆうちeigenvalue定義ていぎ移項いこうしただけであり、まだ行列式ぎょうれつしきdeterminant登場とうじょうしていない。

つぎに、同次方程式どうじほうていしき (A-λI)x=0非自明解ひじめいかい条件じょうけんもちいる。A-λI可逆かぎゃくinvertibleならかいx=0 のみであるため、非自明解ひじめいかい存在そんざいすることは

det(A-λI)=0

同値どうちequivalentである。つまり、定義ていぎ特性方程式とくせいほうていしきつぎの 2 段階だんかい接続せつぞくされる。

Av=λv(v0)(A-λI)v=0(v0)
(A-λI)x=0が非自明解を持つdet(A-λI)=0

2. 特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomial性質せいしつ

n×n 行列ぎょうれつmatrix A特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialn であり:

det(A-λI)=(-1)nλn+(-1)n-1(trA)λn-1++detA

重要じゅうよう関係かんけい

trA=i=1nλi,detA=i=1nλi

λ1,,λn重複ちょうふくみにした固有値こゆうちeigenvalue全体ぜんたい

ここでいう固有値こゆうちeigenvalue全体ぜんたいとは、特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialかんがえているたいうえ一次式いちじしき分解ぶんかいする場合ばあいを、代数的重複度だいすうてきちょうふくどめてかぞえたものである。実行列じつぎょうれつでも実数じっすうreal number範囲はんい固有値こゆうちeigenvalueりないことがあるため、必要ひつようおうじて複素数体ふくそすうたいまで拡張かくちょうしてむ。

応用おうようdetA=00固有値こゆうちeigenvalueA特異行列とくいぎょうれつ)。

3. 重複度ちょうふくど二種類にしゅるい

代数的重複度だいすうてきちょうふくど(AM)固有値こゆうちeigenvalue λ0特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialとしてあらわれる回数かいすう

幾何的重複度きかてきちょうふくど(GM)固有空間こゆうくうかんeigenspace

Eλ0=ker(A-λ0I)

次元じげんdimensionである。An×n 行列ぎょうれつmatrixなら、階数かいすうrank退化次数たいかじすうnullity定理ていりにより

GM(λ0)=dimker(A-λ0I)=n-rank(A-λ0I)

である。

固有値こゆうちeigenvalue λ0 について、つね

1[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]GM(λ0)[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]AM(λ0)

である。また、特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomial対象たいしょうたいうえ一次式いちじしき分解ぶんかいしている場合ばあい、すべての固有値こゆうちeigenvalueについて幾何的重複度きかてきちょうふくど代数的重複度だいすうてきちょうふくど一致いっちすることは、対角化可能性たいかくかかのうせい同値どうちequivalentである。

λSpec(A),GM(λ)=AM(λ)Aisdiagonalizable

れい対角化不可能たいかくかふかのう場合ばあいA=(1101)λ=1(AM = 2)だが GM = 1。

4. 具体例ぐたいれい

A=(3102)

特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialdet(A-λI)=(3-λ)(2-λ)=0 より λ=2,3

λ=3たいして (A-3I)v=0v(10)

λ=2たいして (A-2I)v=0v(1-1)

5. Cayley-Hamilton の定理ていり

行列ぎょうれつmatrix A自分自身じぶんじしん特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialたす:

特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialq(t)=det(tI-A)くと、

q(A)=0

である。ここで 0零行列れいぎょうれつzero matrixあらわす。記号きごうとして p(λ)=det(A-λI)もちいる流儀りゅうぎでは最高次係数さいこうじけいすう符号ふごうわるが、Cayley-Hamilton の内容ないようは「行列ぎょうれつmatrix自分自身じぶんじしん特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialたす」という命題めいだいである。

れいA=(abcd)特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialλ2-(a+d)λ+(ad-bc)。Cayley-Hamilton より A2-(a+d)A+(ad-bc)I=0

応用おうようA-1特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomial表現ひょうげんする(detA0 のとき)。

6. 連立れんりつ微分方程式びぶんほうていしきへの応用おうよう

x=Axかいx(t)=eAtx(0)A対角化可能たいかくかかのうA=PDP-1 なら:

eAt=PeDtP-1,eDt=(eλ1teλnt)

固有値こゆうちeigenvalue実部じつぶ安定性あんていせいめる(安定あんていせい不安定ふあんてい)。

判定基準はんていきじゅん

  • Av=λv特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomial det(A-λI)=0
  • 対角化可能たいかくかかのうか → 固有値こゆうちeigenvalueがすべてことなる → 十分条件じゅうぶんじょうけん
  • trAdetA素早すばやく → 固有値こゆうちeigenvalueせき検算けんざん
  • 微分方程式びぶんほうていしき x=Ax安定性あんていせい固有値こゆうちeigenvalue実部じつぶ符号ふごう

どこまでつか

実数じっすうreal number行列ぎょうれつmatrixにおいても固有値こゆうちeigenvalue複素数ふくそすうcomplex numberになりうる(回転かいてん行列ぎょうれつmatrixλ=e±iθ)。対角化たいかくかdiagonalization問題もんだいはスペクトル定理ていり対称行列たいしょうぎょうれつsymmetric matrix直交対角化可能ちょっこうたいかくかかのう)やジョルダン標準形ひょうじゅんけい一般いっぱん場合ばあい)へ拡張かくちょうされる。スペクトル定理ていり対称行列たいしょうぎょうれつsymmetric matrixかぎらず正規行列せいきぎょうれつまで拡張かくちょうでき、作用素さようそ理論りろんでは微分作用素びぶんさようそ固有関数こゆうかんすうeλx)がおな発想はっそう無限むげん次元じげんdimensionへの拡張かくちょうである。

最終形さいしゅうけい

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]Av=λv(v0)(A-λI)v=0(v0)
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")](A-λI)x=0が非自明解を持つdet(A-λI)=0
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]trA=λi,detA=λi
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]p(A)=0(CayleyHamilton[PARSE ERROR: Undefined("RBrace")]
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]GM(λ)=dimker(A-λI),1[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]GM(λ)[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]AM(λ)

一言ひとことでいうと

固有値こゆうちeigenvalue変換へんかんの「きをえない方向ほうこうでの倍率ばいりつ」であり、特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialはその情報じょうほうn 多項式たこうしき圧縮あっしゅくする。Cayley-Hamilton の定理ていり行列ぎょうれつmatrix自分自身じぶんじしん特性多項式とくせいたこうしきcharacteristic polynomialたすという対称性たいしょうせいしめし、対角化たいかくかdiagonalization固有こゆうベクトルeigenvectorの「きがわらないじく」を基底きていbasisにした変換へんかんのもっとも単純たんじゅん記述きじゅつである。

演習えんしゅうリンク

data/exercise/math/linear-algebra/固有値・対角化・発展-基本演習.n.md

関連かんれんリンク

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