図形ベクトルと内積
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導入
この講義で重要なのは、内積を、2 本のベクトルの向きの一致度を数値化し、角度や垂直を成分計算へ翻訳する道具として理解することである。
図形では角度や垂直が自然に出現する。しかし計算では、角度をそのまま扱うより、成分の積の和へ変換したほうが判定しやすい。内積はこの変換を担当する。
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用語と定義
内積 とは、2 つのベクトル a,b と、そのなす角 \theta に対して
a\cdot b=|a|\,|b|\cos\theta
で定義される量である。
平面の成分表示で a=(a_1,a_2)、b=(b_1,b_2) なら、
a\cdot b=a_1b_1+a_2b_2
である。
方針
図形的には、内積を「射影した長さを掛ける量」として確認する。計算では、成分どうしの積の和として処理する。最後に、垂直条件、長さ、角度の式へ接続する。
直感的な説明
内積は、2 本のベクトルがどれだけ同じ方向を向くかを測定する。同じ向きなら正で大きく、垂直なら 0、反対向きなら負になる。
射影で解釈すると、a\cdot b は「a の長さ」と「b の a 方向への影の長さ」の積である。影の長さが |b|\cos\theta であるため、|a|\,|b|\cos\theta が現れる。
厳密な説明
a=(a_1,a_2)、b=(b_1,b_2) とする。成分による内積は
a\cdot b=a_1b_1+a_2b_2
である。長さは
|a|=\sqrt{a\cdot a}
で得られる。なぜなら、
a\cdot a=a_1^2+a_2^2=|a|^2
ためである。
垂直なら \theta=90^\circ であり、\cos\theta=0 となる。したがって
a\perp b\quad\Longleftrightarrow\quad a\cdot b=0
である。角度を求める場合は、a,b\ne0 のとき
\cos\theta=\frac{a\cdot b}{|a|\,|b|}
を用いる。
具体例
a=(1,2),\qquad b=(2,-1)
なら
a\cdot b=1\cdot2+2\cdot(-1)=0
である。したがって a と b は垂直である。図示しなくても、成分計算だけで直角を判定できる。
別の観点
幾何的には、内積は射影と角度を測定する量である。代数的には、対応する成分どうしを掛けて加算する演算である。この 2 つの観点を接続すると、図形条件を方程式へ変換できる。
見分け方
- 角度、垂直、長さが問われる場合、内積を検討する。
- 平行そのものを判定する場合は、定数倍の関係のほうが直接的である。
- 複素の内積では共役が関与するため、この図形的な角度公式をそのまま一般化しない。
最終形
\boxed{a\cdot b=|a|\,|b|\cos\theta}
\boxed{a\perp b\Longleftrightarrow a\cdot b=0}
\boxed{|a|=\sqrt{a\cdot a}}
一言でいうと
- 内積は、角度・垂直・長さを成分計算へ翻訳する道具である。