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内積空間の基本md c8e4cb7
lecture/math/linear-algebra/内積空間の基本-講義.n.md
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内積空間ないせきくうかんinner product space基本きほん

導入どうにゅう

この講義こうぎ最重要さいじゅうようなのは、内積ないせきinner product導入どうにゅうすると、ただのベクトル空間くうかんながさと角度かくど概念がいねんくわわり、直交ちょっこうorthogonal最短さいたんといった幾何学的きかがくてき概念がいねんあつかえるようになることである。

ベクトル空間くうかんだけでは、「加法かほう可能かのうである」「実数じっすうreal numberばい可能かのうである」という代数的だいすうてき構造こうぞうstructureしか存在そんざいしない。しかし内積ないせきinner productがあると、「この 2 つはどれだけおなきをいているか」「このながさはどれくらいか」を数値すうち表現ひょうげんできる。ここから直交基底ちょっこうきてい最小二乗法さいしょうにじょうほうleast squares method接続せつぞくする。

用語ようご定義ていぎ

内積空間ないせきくうかんInner product space とは、ベクトル空間くうかん内積ないせきinner product定義ていぎされたものである。

実内積じつないせきReal inner product とは、2 つのベクトル u,v実数じっすうreal number u,v対応たいおうさせ、双線型性そうせんけいせい対称性たいしょうせい正定値性せいていちせいたす写像しゃぞうmapである。

複素内積ふくそないせきComplex inner product とは、複素ふくそcomplexベクトル空間くうかん共役対称性きょうやくたいしょうせい半線型性はんせんけいせいsemilinearityふく内積ないせきinner productである。このノートではだい 1 変数へんすう線型せんけいだい 2 変数へんすう共役線型きょうやくせんけいconjugate-linearとする。

エルミート内積ないせきHermitian inner product は、複素内積ふくそないせきComplex inner productとほぼおな意味いみ使つかわれる用語ようごである。以後いご共役転置きょうやくてんちconjugate transpose随伴ずいはんadjointユニタリ行列ぎょうれつunitary matrixでは、この規約きやく前提ぜんていになる。

ノルムNorm とは、内積ないせきinner productから

v=v,v

定義ていぎされるながさである。

方針ほうしん

まず高校こうこう内積ないせきinner product u·v で、どの性質せいしつながさや直交ちょっこうorthogonalささえていたかを抽出ちゅうしゅつする。そのあと、実数じっすうreal number場合ばあい複素数ふくそすうcomplex number場合ばあい公理こうりがどう変化へんかするかを確認かくにんする。

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直感的ちょっかんてき説明せつめい

高校こうこうまな内積ないせきinner product u·v は、「ながさのせきに、きの類似度るいじどけたもの」と解釈かいしゃくできる。おなきならおおきく、直角ちょっかくなら 0、逆向ぎゃくむきならになる。この性質せいしつだけを抽象化ちゅうしょうかしたものが内積空間ないせきくうかんinner product spaceである。

厳密げんみつ説明せつめい

1. 内積ないせきinner product公理こうり

内積ないせきinner product定義ていぎ重要じゅうようなのは、「平面へいめん点積てんせき成立せいりつしていた、ながさと角度かくどあつかうのに必要ひつよう性質せいしつだけを抽出ちゅうしゅつする」ことである。

線型性せんけいせいlinearityがあると、実数じっすうreal numberばいたいする計算けいさん容易よういになる。対称性たいしょうせいがあると、「uv関係かんけい」をきを交換こうかんしてもおなりょうとして測定そくていできる。正定値性せいていちせいがあると、v,vながさの 2 じょうとして解釈かいしゃくしても矛盾むじゅんしない。

じつreal内積空間ないせきくうかんinner product spaceでは、任意にんいのベクトル u,v,w実数じっすうreal number aたいして

u+v,w=u,w+v,w
au,v=au,v
u,v=v,u
v,v[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"ge\")")]0,v,v=0v=0

成立せいりつする。

2. 複素ふくそcomplex内積空間ないせきくうかんinner product space

複素ふくそcomplexベクトル空間くうかんでは、対称性たいしょうせいをそのままもちいない。単純たんじゅん対称性たいしょうせいでは iv,iv正定値性せいていちせい整合せいごうしないため、共役きょうやくふく定義ていぎ採用さいようする。

このノートの規約きやくでは、

au+bv,w=au,w+bv,w
u,av+bw=a_u,v+b_u,w
u,v=v,u_
v,v[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"ge\")")]0,v,v=0v=0

成立せいりつする。実内積じつないせきは、この複素ふくそcomplex内積ないせきinner productから共役きょうやく不要ふようになった場合ばあいとして理解りかいできる。

3. ながさと直交ちょっこうorthogonal

内積ないせきinner productがあれば

v=v,v

ながさを定義ていぎできる。ここで正定値性せいていちせいがあるため、根号こんごうなかは 0 以上いじょうで、しかも v0 ならせいになる。したがってこの定義ていぎながさとして自然しぜんである。

また

u,v=0

のとき、uv直交ちょっこうorthogonalするという。これは高校こうこうu·v=|u||v|cosθ だったことを想起そうきすると自然しぜんである。cosθ=0状況じょうきょう抽象化ちゅうしょうかすると、「内積ないせきinner productが 0 なら直交ちょっこうorthogonal」という定義ていぎになる。

4. 高校こうこう内積ないせきinner productとの関係かんけい

u=(u1,u2),v=(v1,v2) とすると

u,v=u1v1+u2v2

高校こうこうもちいる内積ないせきinner productそのものである。したがって内積空間ないせきくうかんinner product spaceは、高校こうこう図形的ずけいてき感覚かんかく一般化いっぱんかした概念がいねんとして理解りかいできる。

5. 内積ないせきinner productから導出どうしゅつされる重要じゅうよう不等式ふとうしき

内積ないせきinner productがあると、コーシー・シュワルツの不等式ふとうしき

|u,v|[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]uv

成立せいりつする。これは角度かくど定義ていぎしたり、射影しゃえいprojection考察こうさつしたりするときの土台どだいである。

証明しょうめい発想はっそうは、「ながさの 2 じょうにならない」という正定値性せいていちせいもちいることである。まず実内積空間じつないせきくうかんでは、任意にんい実数じっすうreal number tたいして

u-tv2=u-tv,u-tv

は 0 以上いじょうである。これを展開てんかいすると

u-tv2=u,u-2tu,v+t2v,v

となる。これは t の 2 次式じしきで、すべての t で 0 以上いじょうであるため、判別式はんべつしきは 0 以下いかである。したがって

4u,v2-4u,uv,v[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]0

すなわち

u,v2[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]u,uv,v

である。ここで u,u=u2v,v=v2もちいれば

|u,v|[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]uv

る。

複素内積空間ふくそないせきくうかんでは、判別式はんべつしきによる実数じっすうreal number t議論ぎろんだけでは不十分ふじゅうぶんである。このノートの規約きやくではだい 1 変数へんすう線型せんけいなので、v0 のとき

α=u,vv,v

く。すると

u-αv,v=0

である。分母ぶんぼv,v は、v0正定値性せいていちせいによりせい実数じっすうreal numberなので、0 除算じょさんきない。また、このノートではだい 1 変数へんすう線型せんけいにしているため、αうえかたちになる。だい 2 変数へんすう線型せんけいとする流儀りゅうぎでは共役きょうやく位置いちわる。

このえらかたにより u-αvv直交ちょっこうorthogonalする。つまり、uv 方向ほうこう成分せいぶんcomponentと、それに直交ちょっこうorthogonalする成分せいぶんcomponentけている。直交分解ちょっこうぶんかいにより

u2=|α|2v2+u-αv2[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"ge\")")]|α|2v2

る。したがって

u2[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"ge\")")]|u,v|2v2

となり、おな不等式ふとうしき成立せいりつする。v=0場合ばあい自明じめいである。

実内積空間じつないせきくうかんでは、u0,v0 なら

cosθ=u,vuv

定義ていぎしても、コーシー・シュワルツの不等式ふとうしきによって右辺うへんright-hand sideはかならず -1 から 1あいだはいる。したがって逆余弦ぎゃくよげんもちいて角度かくど θ定義ていぎできる。つまりコーシー・シュワルツの不等式ふとうしきは、外形上がいけいじょうたんなる評価式ひょうかしきであるが、内積空間ないせきくうかんinner product space角度かくど記述きじゅつするための基礎きそそのものである。

複素内積空間ふくそないせきくうかんでは u,v一般いっぱん複素数ふくそすうcomplex numberであるため、u,v/(uv) をそのまま cosθ として使用しようしない。複素数ふくそすうcomplex numberそのものは大小関係だいしょうかんけいたず、逆余弦ぎゃくよげん入力にゅうりょくとしてあつかえないためである。複素ふくそcomplex場合ばあいは、まず

|u,v|[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"le\")")]uv

直交性ちょっこうせい u,v=0基本きほんにする。角度かくど導入どうにゅうする場合ばあいは、実部じつぶもちいるか、実内積空間じつないせきくうかんとしてあつかなおすかを明示めいじする必要ひつようがある。

どこまでつか

この講義こうぎ角度かくどしき実内積空間じつないせきくうかん基本きほんにする。複素ふくそcomplex内積空間ないせきくうかんinner product spaceでは、どちらの変数へんすう線型せんけいとするかの規約きやくおうじて射影しゃえいprojection直交展開ちょっこうてんかい係数けいすうcoefficient共役きょうやくあらわれる。定義ていぎ段階だんかいじつreal複素ふくそcomplex区別くべつすることが重要じゅうようである。

判定基準はんていきじゅん

  • ながさ、角度かくど直交ちょっこうorthogonal射影しゃえいprojectionのような概念がいねん出現しゅつげんしたら、内積ないせきinner product導入どうにゅうした空間くうかんとして解釈かいしゃくする必要ひつようがある。
  • 線型代数せんけいだいすうで「基底きていbasis選択せんたくする」とき、ただ一次独立いちじどくりつlinear independenceなだけでなく直交ちょっこうorthogonalまで要求ようきゅうするなら、内積空間ないせきくうかんinner product space議論ぎろんである。
  • 最小二乗さいしょうにじょうやフーリエ級数きゅうすう入口いりぐちにおいても、背景はいけいにあるのは内積ないせきinner productである。

最終形さいしゅうけい

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]v=v,v
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]u,v=0u,vは直交
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]複素内積では共役対称性を用いる

一言ひとことでいうと

  • 内積空間ないせきくうかんinner product spaceは、ベクトル空間くうかんながさと角度かくど導入どうにゅうするための枠組わくぐみである。

演習えんしゅうリンク

data/exercise/math/linear-algebra/内積・直交・射影-基本演習.n.md

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