markdown
直交補空間と射影md a4ee77e
lecture/math/linear-algebra/直交補空間と射影-講義.n.md
Download as PDF

直交補空間ちょっこうほくうかんorthogonal complement射影しゃえいprojection

mathlinear-algebraundergraduatelecture

導入どうにゅう

この講義こうぎ重要じゅうようなのは、部分空間ぶぶんくうかんsubspace沿成分せいぶんcomponentと、それに直交ちょっこうorthogonalする成分せいぶんcomponentへベクトルを一意いちい分解ぶんかいするという発想はっそうである。

射影しゃえいprojection最小二乗法さいしょうにじょうほうleast squares methodでは、「列空間れつくうかんcolumn spaceもっとちかいベクトル」をもとめる。ちかさを記述きじゅつするには、誤差ごさ列空間れつくうかんcolumn space直交ちょっこうorthogonalする、という条件じょうけん中心ちゅうしんになる。この条件じょうけん整理せいりする道具どうぐ直交補空間ちょっこうほくうかんorthogonal complementである。

用語ようご定義ていぎ

直交補空間ちょっこうほくうかんOrthogonal complement とは、内積空間ないせきくうかんinner product space V部分空間ぶぶんくうかんsubspace Uたいして

U={vVv,u=0foralluU}

定義ていぎされる部分空間ぶぶんくうかんsubspaceである。

直交射影ちょっこうしゃえいOrthogonal projection とは、ベクトル vU 方向ほうこう成分せいぶんcomponent pU 方向ほうこう成分せいぶんcomponent r

v=p+r,pU,rU

分解ぶんかいしたときの p である。

方針ほうしん

まず U部分空間ぶぶんくうかんsubspaceであることを確認かくにんする。つぎに、有限次元ゆうげんじげん内積空間ないせきくうかんinner product spaceでは V=UU成立せいりつすることを説明せつめいし、直交射影ちょっこうしゃえいorthogonal projection公式こうしき移行いこうする。

data/lecture/math/linear-algebra/内積空間の基本-講義.n.md data/lecture/math/linear-algebra/複素内積とユニタリ行列-講義.n.md

直感的ちょっかんてき説明せつめい

平面へいめんなかに 1 ぽん直線ちょくせん U があるとする。あるベクトル v は、その直線ちょくせん沿かげ p と、直線ちょくせん垂直すいちょくのこr分解ぶんかいできる。この rぞくする方向ほうこう全体ぜんたいU である。

この分解ぶんかい重要じゅうようなのは、pUなかvもっとちかいベクトルになるためである。誤差ごさ v-pU直交ちょっこうorthogonalしていると、Uなかでさらにちかづく方向ほうこうのこっていない。

厳密げんみつ説明せつめい

1. U部分空間ぶぶんくうかんsubspaceである

v,wU、スカラー a,b任意にんい固定こていする。任意にんいuU について

av+bw,u=av,u+bw,u=0

である。したがって av+bwU であり、U部分空間ぶぶんくうかんsubspaceである。

2. 直交分解ちょっこうぶんかい

有限次元ゆうげんじげん内積空間ないせきくうかんinner product spaceU部分空間ぶぶんくうかんsubspaceなら、任意にんいvV

v=p+r,pU,rU

一意いちい分解ぶんかいできる。この事実じじつ直交分解ちょっこうぶんかいという。

存在そんざいは、U正規直交基底せいきちょっこうきていorthonormal basisから構成こうせいできる。U正規直交基底せいきちょっこうきていorthonormal basise1,[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"dots\")")],ek とし、

p=i=1kv,eiei

く。この pU のベクトルである。さらにかく j について

v-p,ej=v,ej-i=1kv,eiei,ej=0

である。正規直交基底せいきちょっこうきていorthonormal basisでは ei,ej=0ij)かつ ej,ej=1 だからである。v-pU基底きていbasisすべてに直交ちょっこうorthogonalするので、v-pU である。したがって v=p+(v-p) という分解ぶんかい存在そんざいする。

一意性いちいせい直交性ちょっこうせいからしたがう。もし

v=p1+r1=p2+r2

であれば、p1-p2=r2-r1 である。左辺さへんleft-hand sideUぞくし、右辺うへんright-hand sideUぞくする。したがってこのベクトルは UUぞくする。ところが xUU なら x,x=0 なので x=0 である。よって p1=p2r1=r2 となる。

直交分解ちょっこうぶんかいから、有限次元ゆうげんじげんでは

dimU+dimU=dimV

したがう。また U(U) であり、両辺りょうへん次元じげんdimension一致いっちするため

(U)=U

である。これらは直交補空間ちょっこうほくうかんorthogonal complementたんなる垂直方向すいちょくほうこう集合しゅうごうsetではなく、部分空間ぶぶんくうかんsubspace次元じげんdimension補完ほかんする構造こうぞうstructureであることをしめす。

3. 正規直交基底せいきちょっこうきていorthonormal basisによる射影公式しゃえいこうしき

U正規直交基底せいきちょっこうきていorthonormal basise1,[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"dots\")")],ek とする。このとき vU への直交射影ちょっこうしゃえいorthogonal projection

projU(v)=i=1kv,eiei

である。理由りゆうは、p=iv,eieiくと、かく j について

v-p,ej=0

成立せいりつし、v-pU となるためである。

複素ふくそcomplex内積空間ないせきくうかんinner product spaceでもおな公式こうしき使つかう。ただし、この系列けいれつではだい 1 変数へんすう線型せんけいとするため、係数けいすうcoefficientv,ei である。べつ規約きやくでは共役きょうやく位置いちわる。

射影行列しゃえいぎょうれつprojection matrixとしてると、直交射影ちょっこうしゃえいorthogonal projection

P2=P,P*=P

たす。P2=P は「一度いちど射影しゃえいprojectionしたら再度さいど射影しゃえいprojectionしてもわらない」こと、P*=P内積ないせきinner product両立りょうりつした直交ちょっこうorthogonal射影しゃえいprojectionであることをあらわす。

具体例ぐたいれい

R2U=span{(1,1)} とする。単位たんいベクトル e=12(1,1)もちいると、v=(2,0)射影しゃえいprojection

projU(v)=v,ee=2·12(1,1)=(1,1)

である。残差ざんさ

v-projU(v)=(1,-1)

であり、これは (1,1)直交ちょっこうorthogonalする。

べつ観点かんてん

幾何的きかてきには、直交補空間ちょっこうほくうかんorthogonal complementは「部分空間ぶぶんくうかんsubspace垂直すいちょく方向ほうこうあつまり」である。代数的だいすうてきには、U内積ないせきinner productによる条件式じょうけんしき v,u=0解空間かいくうかんsolution spaceである。

判定基準はんていきじゅん

  • 射影しゃえいprojection最短距離さいたんきょり残差ざんさ登場とうじょうしたら、直交補空間ちょっこうほくうかんorthogonal complement確認かくにんする。
  • 部分空間ぶぶんくうかんsubspaceそとにあるベクトルを、内部ないぶ成分せいぶんcomponent垂直すいちょく誤差ごさ分解ぶんかいしたいとき、直交分解ちょっこうぶんかいもちいる。
  • 最小二乗法さいしょうにじょうほうleast squares methodでは、残差ざんさ列空間れつくうかんcolumn space直交補空間ちょっこうほくうかんorthogonal complementぞくすることを利用りようする。

どこまでつか

有限次元ゆうげんじげん内積空間ないせきくうかんinner product spaceでは、直交分解ちょっこうぶんかい安定あんていして成立せいりつする。無限次元むげんじげんでは、部分空間ぶぶんくうかんsubspaceへいじているかどうかが重要じゅうようになる。へいじていない部分空間ぶぶんくうかんsubspaceでは、最近点さいきんてん射影しゃえいprojection存在そんざいしない場合ばあいがある。

複素ふくそcomplex場合ばあいは、転置てんちではなく共役転置きょうやくてんちconjugate transpose A*射影しゃえいprojection最小二乗法さいしょうにじょうほうleast squares methodしきあらわれる。

最終形さいしゅうけい

[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]U={vVv,u=0foralluU}
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]V=UU
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]dimU+dimU=dimV,(U)=U
[PARSE ERROR: Undefined("Command(\"boxed\")")]projU(v)=i=1kv,eiei

一言ひとことでいうと

  • 直交補空間ちょっこうほくうかんorthogonal complementは、部分空間ぶぶんくうかんsubspace垂直すいちょく誤差ごさ収容しゅうようする空間くうかんである。

演習えんしゅうリンク

data/exercise/math/linear-algebra/内積・直交・射影-基本演習.n.md

関連かんれんリンク

data/lecture/math/linear-algebra/内積空間の基本-講義.n.md data/lecture/math/linear-algebra/複素内積とユニタリ行列-講義.n.md data/lecture/math/linear-algebra/直交化の基本-講義.n.md data/lecture/math/linear-algebra/最小二乗法の基本-講義.n.md
raw .n.md をコピー
loc をコピー (filepath:line ~ line)
copy share link
path をコピー
copy share link
copy share link
タブを全て閉じる