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環・イデアル・商環 基本演習md 81a15ed
exercise/math/abstract-algebra/rings-ideals-and-quotient-rings.exercise.n.md
環・イデアル・商環 基本演習
mathabstract-algebraring-theoryexercise
2取り組む順序
「環の基本」の後は問題1・2に取り組める。「イデアルと商環」の後に問題3・4と証明演習へ進む。このページの prerequisites は全問題に取り組むための最終到達点を表す。
4問題1:環の例を挙げる
\mathbb Z は通常の足し算と掛け算で環か。
4.1解答
環である。加法について可換群であり、乗法は結合法則を満たし、分配法則も成立する。乗法単位元は 1 である。
4.2解説
\mathbb Z では一般に割り算は閉じないが、環では乗法逆元を全てに要求しない。
5問題2:環の基本恒等式
環 R の任意の a,b\in R について、a0=0a=0 と (-a)b=-(ab) を環の公理から証明せよ。
5.1解答
分配法則より
a0=a(0+0)=a0+a0
である。加法について両辺に -(a0) を加えると a0=0 を得る。同様に 0b=(0+0)b=0b+0b から 0b=0 を得る。また、
(-a)b+ab=(-a+a)b=0b=0
である。したがって (-a)b は ab の加法逆元なので、(-a)b=-(ab) である。
5.2解説
a0=0 や負号の計算規則は、整数だけの性質ではない。環の分配法則と加法群の性質から必然的に従う。
6問題3:イデアルを確認する
3\mathbb Z は \mathbb Z のイデアルか。
6.1解答
イデアルである。まず 0=3\cdot0\in3\mathbb Z なので、3\mathbb Z は空ではない。任意の 3a,3b\in3\mathbb Z について
3a-3b=3(a-b)\in3\mathbb Z
である。また、任意の r\in\mathbb Z について
r(3a)=3(ra)\in3\mathbb Z
である。さらに \mathbb Z は可換環なので、(3a)r=r(3a)\in3\mathbb Z でもある。したがって 3\mathbb Z は左右どちらから掛けても吸収し、\mathbb Z のイデアルである。
6.2解説
イデアルでは、引き算で閉じていることと、環の任意の元を掛けても中に残ることを確認する。
7問題4:商環を読む
\mathbb Z/3\mathbb Z では、[2]+[2] と [2][2] は何か。
7.1解答
[2]+[2]=[4]=[1]
[2][2]=[4]=[1]
である。
7.2解説
商環では、計算結果を同じ剰余類で代表し直す。代表元は一つに固定されていない。
8証明演習:商環の演算が well-defined であること
8.1問題
I を環 R のイデアルとする。a+I=a'+I、b+I=b'+I なら、(a+b)+I=(a'+b')+I、ab+I=a'b'+I であることを証明せよ。
8.2解答
a'-a\in I、b'-b\in I である。和については
(a'+b')-(a+b)=(a'-a)+(b'-b)\in I
である。よって (a+b)+I=(a'+b')+I である。
積については
a'b'-ab=a'(b'-b)+(a'-a)b
である。I はイデアルなので a'(b'-b)\in I、(a'-a)b\in I である。したがって a'b'-ab\in I であり、ab+I=a'b'+I である。
8.3解説
イデアルの吸収性は、代表元を変えても積の類が変わらないことを保証する。