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イデアルと商環しょうかんquotient ring

date2026-06-06document_iddoc_41e9aea9fc92bdb7c8cb11ee60ed4e94descriptionイデアルを、商環を作るために必要な部分集合として説明し、整数の nZ と Z/nZ の関係を中心に扱う。prerequisites環の基[本/ほん] / [[同/どう]値[関係/かんけい]/どうちかんけい]と[[剰余/じょうよ][類/るい]/じょうよるい]の基[本/ほん]type講義content_typelecturestatusactiverelateddata/lecture/math/abstract-algebra/ring-basics.lecture.n.md / data/lecture/math/abstract-algebra/equivalence-relations-and-cosets.lecture.n.md / data/lecture/math/abstract-algebra/normal-subgroups-and-quotient-groups.lecture.n.md / data/exercise/math/abstract-algebra/rings-ideals-and-quotient-rings.exercise.n.md
mathabstract-algebraring-theorylecture

ぐん商群しょうぐんつくるには正規部分群せいきぶぶんぐん必要ひつようだった。かん商環しょうかんつくるには、正規部分群せいきぶぶんぐん対応たいおうする役割やくわり部分集合ぶぶんしゅうごう必要ひつようである。それがイデアルidealである。

1イデアルの定義ていぎ

かん R部分集合ぶぶんしゅうごう I がイデアルであるとは、0I であり、さらにつぎたすことである。

a,bIa-bI
rR,aIraIandarI

0I により Iからではない。第一だいいち条件じょうけんは、I加法かほうについて部分群ぶぶんぐんであることをあらわす。第二だいに条件じょうけんは、かん任意にんいげんけても Iなかのこることをあらわす。

可換環かかんかんでは raarおなじなので、片側かたがわだけ確認かくにんすればよい。

2何故なぜイデアルが必要ひつよう

商環しょうかんでは、Iげんを 0 とみなす。つまり、abIぞくするとき、おなげんとしてあつかう。

aba-bI

I加法部分群かほうぶぶんぐんなので、これは同値関係どうちかんけいである。反射性はんしゃせいa-a=0I からしたがう。a-bI なら b-a=-(a-b)I なので対称性たいしょうせいたす。また、a-bIb-cI なら

a-c=(a-b)+(b-c)I

なので推移性すいいせいたす。

この同値関係どうちかんけいつくった同値類どうちるい使つかい、

[a]+[b]=[a+b]
[a][b]=[ab]

定義ていぎしたい。I加法部分群かほうぶぶんぐんであるもとで、この乗法じょうほう代表元だいひょうげんによらずさだまるためには、さらに左右さゆう吸収性きゅうしゅうせい、すなわちイデアル条件じょうけん必要ひつようである。

ここでの同値類どうちるいa+I={a+iiI}ける。商環しょうかんでは、これらのるい全体ぜんたいげんとしてあつかう。

3整数せいすうれい

nZ={nkkZ}Z のイデアルである。

商環しょうかん

Z/nZ

は、整数せいすうn倍数ばいすう無視むししてまとめたものである。これは合同式ごうどうしき世界せかいそのものである。

data/lecture/math/abstract-algebra/congruences-and-modular-arithmetic.lecture.n.md

4商群しょうぐんとの対応たいおう

群論ぐんろん環論かんろん
正規部分群せいきぶぶんぐんイデアル
商群しょうぐん商環しょうかん
群準同型ぐんじゅんどうけいかく環準同型かんじゅんどうけいかく
第一同型定理だいいちどうけいていり第一同型定理だいいちどうけいていり

どちらも、かくとしてつぶれる部分ぶぶん構造こうぞう単位元たんいげん同一視どういつししてしょうつくるというてんおなじである。ぐんでは乗法記法じょうほうきほう単位元たんいげん eかんでは加法単位元かほうたんいげん 0 につぶす。

環準同型かんじゅんどうけい第一同型定理だいいちどうけいていりあとあつかう。このひょうは、イデアルがあとかくとしてあらわれるという見通みとおしをしめすためのものである。

5なにえてなに保存ほぞんするか

商環しょうかんでは、イデアルのなかちがいを 0 としてつぶす。わるのはげん粒度りゅうどである。一方いっぽうで、加法かほう乗法じょうほう分配法則ぶんぱいほうそくしょううえでも well-definedwell-defined保存ほぞんされる。

6証明しょうめい補足ほそく商環しょうかん演算えんざん代表元だいひょうげんによらない理由りゆう

Iかん Rイデアルideal とする。剰余類じょうよるいせき

(a+I)+(b+I)=(a+b)+I,(a+I)(b+I)=ab+I

定義ていぎする。この定義ていぎ代表元だいひょうげん依存いぞんしないことを証明しょうめいする。

a+I=a+Ib+I=b+I とする。これは a-aIb-bI という意味いみである。については

(a+b)-(a+b)=(a-a)+(b-b)I

なので (a+b)+I=(a+b)+I である。

せきについては

ab-ab=ab-ab+ab-ab=a(b-b)+(a-a)b

である。b-bI であり、Iかん要素ようそけても Iなかのこるので a(b-b)I である。おなじく (a-a)bI である。したがって ab-abI であり、ab+I=ab+I である。

この証明しょうめいから、イデアルの条件じょうけんは「あまりのるいどうしをけてもこわれない」ための条件じょうけんだとかる。

ぎゃくに、I加法かほうについて部分群ぶぶんぐんであり、(a+I)(b+I)=ab+I代表元だいひょうげんによらずさだまると仮定かていする。iI なら i+I=0+I なので、任意にんいrR について

(r+I)(i+I)=(r+I)(0+I),(i+I)(r+I)=(0+I)(r+I)

である。したがって ri+I=0+Iir+I=0+I、すなわち ri,irI である。よってせきの well-definedness は左右さゆう吸収性きゅうしゅうせい強制きょうせいする。加法部分群かほうぶぶんぐんという条件じょうけんわせると、イデアル条件じょうけん十分じゅうぶんであるだけでなく必要ひつようでもある。

演算えんざんが well-defined だとかったので、かん公理こうり確認かくにんできる。加法単位元かほうたんいげん0+Ia+I加法逆元かほうぎゃくげん(-a)+I乗法単位元じょうほうたんいげん1+I である。たとえば分配法則ぶんぱいほうそく

(a+I)((b+I)+(c+I))=a(b+c)+I=(ab+ac)+I=(a+I)(b+I)+(a+I)(c+I)

となる。加法かほう結合けつごう交換法則こうかんほうそく乗法じょうほう結合法則けつごうほうそく、もう一方いっぽう分配法則ぶんぱいほうそくも、R対応たいおうする公理こうり代表元だいひょうげん適用てきようすればしたがう。したがって、これらの演算えんざんをもつ剰余類じょうよるい全体ぜんたい R/Iかんである。I=R のときは 0+I=1+I となり、この教材きょうざいかんふくめている零環れいかんる。

8まとめ

イデアルは、商環しょうかんつくるための部分集合ぶぶんしゅうごうである。商環しょうかんでは、イデアルのげんを 0 とみなし、のこった剰余類じょうよるい加法かほう乗法じょうほうれる。整数せいすうZ/nZもっと基本きほんてき商環しょうかんである。

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