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整域・体・有限体 基本演習md c72a411
exercise/math/abstract-algebra/integral-domains-fields-and-finite-fields.exercise.n.md
整域・体・有限体 基本演習
mathabstract-algebrafield-theoryexercise
2取り組む順序
「整域・零因子・多項式環」の後は問題1・4に取り組める。「体の基本」の後に問題2・3と証明演習へ進み、「有限体の入口」の後に問題5を行う。証明演習は本文では問題5の後に置いているが、問題5には依存しない。このページの prerequisites は全問題に取り組むための最終到達点を表す。
4問題1:零因子を見つける
\mathbb Z/8\mathbb Z で零因子を一つ見つけよ。
4.1解答
[2] は零因子である。実際、
[2][4]=[8]=[0]
であり、[2]\ne[0]、[4]\ne[0] である。
4.2解説
零因子は、0 でない元どうしの積を 0 にしてしまう元である。
5問題2:体か判定する
\mathbb Z/7\mathbb Z は体か。
5.1解答
体である。7 は素数なので、0 でない任意の [a] について \gcd(a,7)=1 である。ベズーの等式により、ある整数 u,v が存在して
au+7v=1
となる。したがって剰余類では [a][u]=[1] であり、乗法逆元が存在する。また、\mathbb Z/7\mathbb Z は剰余類の加法と乗法について可換環であり、7\nmid1 なので [0]\ne[1] である。よって体の定義の全条件を満たす。
5.2解説
\mathbb Z/n\mathbb Z が体になるのは、n が素数のときである。
6問題3:体でない例を説明する
\mathbb Z/9\mathbb Z が体でない理由を説明せよ。
6.1解答
[3]\ne[0] だが、
[3][3]=[9]=[0]
である。したがって零因子があるので体ではない。
6.2解説
体には零因子がない。一般に n=ab、1<a,b<n と分解できる合成数 n では、\mathbb Z/n\mathbb Z の中で
[a][b]=[n]=[0]
となり、しかも [a]\ne[0]、[b]\ne[0] である。したがって合成数法の剰余環では、合成数の因子から零因子が生じる。
7問題4:多項式の積と次数
f(x)=2x^2+1、g(x)=3x-4 を \mathbb Z[x] の元とする。f(x)g(x) を計算し、最高次係数と次数を求めよ。また、\deg(fg)=\deg f+\deg g を確認せよ。
7.1解答
f(x)g(x)=(2x^2+1)(3x-4)=6x^3-8x^2+3x-4
である。最高次係数は 6、次数は 3 である。また、\deg f=2、\deg g=1 なので
\deg(fg)=3=2+1=\deg f+\deg g
を確認できる。
7.2解説
\mathbb Z は整域なので、0 でない最高次係数 2 と 3 の積 6 は 0 にならない。このことが積の最高次の項が消えないことを保証している。
8問題5:4 元の有限体
\mathbb F_4=\mathbb F_2[x]/(x^2+x+1) とし、\alpha=[x] と書く。\alpha^2=\alpha+1 と 1+1=0 を使って、0 でない元 1,\alpha,\alpha+1 の乗法表を完成させよ。さらに、その表から各元の乗法逆元を読み取れ。
8.1解答
単位元 1 を掛けた積は元を変えない。残る積は
\alpha^2=\alpha+1,
\qquad
\alpha(\alpha+1)=\alpha^2+\alpha=(\alpha+1)+\alpha=1
および
(\alpha+1)^2=\alpha^2+2\alpha+1=(\alpha+1)+1=\alpha
である。ここで標数 2 より 2\alpha=0、1+1=0 を使った。乗法の可換性も使うと、表は
| \cdot | 1 | \alpha | \alpha+1 |
| 1 | 1 | \alpha | \alpha+1 |
| \alpha | \alpha | \alpha+1 | 1 |
| \alpha+1 | \alpha+1 | 1 | \alpha |
となる。各行で積が 1 になる列を読めば、
1^{-1}=1,
\qquad
\alpha^{-1}=\alpha+1,
\qquad
(\alpha+1)^{-1}=\alpha
である。
8.2解説
\mathbb Z/4\mathbb Z では [2]^2=0 だが、\mathbb F_4 の 0 でない元 1,\alpha,\alpha+1 はすべて逆元を持つ。この違いが、元の個数だけでは体かどうかを決められないことを示す。
9証明演習:有限整域が体になること
9.1問題
有限な整域 R は体であることを証明せよ。
9.2解答
a\in R、a\ne0 を取る。写像 \mu_a:R\to R を \mu_a(x)=ax で定義する。\mu_a(x)=\mu_a(y) なら ax=ay である。R は整域なので消去法則より x=y である。したがって \mu_a は単射である。
R は有限集合なので、R から R への単射は全射である。よって 1\in R に対して、ある x\in R が存在して ax=1 である。つまり a は逆元を持つ。a は任意の 0 でない元であり、整域 R は 0\ne1 の可換環なので、R は体である。
9.3解説
有限性は単射から全射を導くために使う。無限の整域では、この議論はそのままでは使えない。
有限集合では、単射なら像の元数が入力の元数と同じである。入力と目標が同じ有限集合なので、像は目標全体になり、全射である。