フィードバック制御の基本
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1導入
この講義では、測定した出力を目標値と比較し、その誤差から入力を決定する負帰還制御を説明する。線形時不変な一入力一出力システムを対象とし、閉ループ伝達関数、極、安定性、定常偏差を導出する。
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2構成要素
制御対象とは、入力 u(t) によって出力 y(t) を変化させる対象である。目標値 r(t) は出力に要求する値、誤差 e(t)=r(t)-y(t) は目標値と測定出力の差である。したがって r と y は同じ物理次元を持ち、e も同じ次元を持つ。
制御器は誤差から入力を生成する。制御対象の伝達関数を G(s)、制御器を C(s) とする。伝達関数は、初期値を 0 とした LTI システムにおける出力と入力のラプラス変換の比である。
外乱とは、制御対象へ作用するが制御器が直接決定しない入力である。外乱や測定雑音への応答は重要であるが、まず目標値から出力までの関係を導出する。
3閉ループ伝達関数
単位負帰還を仮定すると、
E(s)=R(s)-Y(s),\qquad U(s)=C(s)E(s),\qquad Y(s)=G(s)U(s)
である。これらを消去すると、
Y(s)=G(s)C(s)\{R(s)-Y(s)\}
であるから、
\boxed{T(s)=\frac{Y(s)}{R(s)}=\frac{G(s)C(s)}{1+G(s)C(s)}}
を得る。L(s)=G(s)C(s) をループ伝達関数という。この式は、ブロックの接続が適切に定義され、1+L(s) が恒等的に 0 ではないことを前提とする。
4極と安定性
極とは、約分後の有理伝達関数を発散させる s の値である。BIBO 安定とは、すべての有界入力に対して出力が有界となる性質である。
有限次元、因果的な連続時間 LTI システムの真にプロパーな有理伝達関数では、すべての極の実部が負なら BIBO 安定である。右半平面の極は発散成分を、虚軸上の極は一般に BIBO 安定性の欠如を示す。不安定な極零相殺は内部状態を隠し得るため、入出力伝達関数の約分だけでは内部安定性を保証できない。
負帰還という符号だけで安定性が保証されるわけではない。閉ループの特性方程式 1+L(s)=0 について、根の複素平面上の位置を確認する必要がある。
5一次遅れ系の比例制御
制御対象を
G(s)=\frac{K}{\tau s+1},\qquad \tau>0
とし、比例制御器 C(s)=k_p を用いる。Kk_p は無次元のループゲインであるとする。このとき、
T(s)=\frac{Kk_p}{\tau s+1+Kk_p}
であり、閉ループの極は
s=-\frac{1+Kk_p}{\tau}
である。したがって 1+Kk_p>0 なら安定であり、Kk_p>0 の範囲ではゲインを増加させるとこの理想模型の応答は高速化する。
単位ステップ目標値に対し、閉ループが安定で最終値定理の条件を満たすなら、
e_{\mathrm{ss}}=\frac{1}{1+Kk_p}
となる。比例ゲインを有限に保つ限り、定常偏差は一般に 0 ではない。ゲインの増加はモデル誤差、雑音、飽和への感度にも影響するため、応答速度だけで決定できない。
6要点
- 負帰還では誤差 e=r-y を制御器へ入力する。
- 単位負帰還の閉ループ伝達関数は GC/(1+GC) である。
- 安定性は負帰還という名称ではなく、閉ループの極から判定する。
- 比例制御には応答速度と定常偏差、雑音や飽和に関するトレードオフがある。
7次に進む講義
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