厳密な説明
ここからは e^{i\omega x} や複素共役の見方を使うので、複素数の極形式やオイラーの公式がまだ曖昧なら先にこちらを見るとつながりやすいです。
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e^{i\omega x} は周波数 \omega を持つ基本的な波です。ここで大事なのは、違う周波数どうしは積分すると打ち消し合いやすい、ということです。たとえば有限区間のフーリエ級数では
\int_{-\pi}^{\pi} e^{imx}e^{-inx}\,dx
=
\int_{-\pi}^{\pi} e^{i(m-n)x}\,dx
を考えると、m\neq n のときは 0 になり、m=n のときだけ値が残ります。つまり e^{-i\omega x} を掛けて積分するのは、「周波数 \omega の成分だけを抜き出したい」という操作です。ここでは内積に似た重なり具合を測っている、と見ると自然です。
その連続版として
\hat f(\omega)=\int_{-\infty}^{\infty} f(x)e^{-i\omega x}\,dx
を定義します。したがって f(x) に e^{-i\omega x} を掛けて全体で積分すると、f の中に周波数 \omega の成分がどれだけ含まれているかを取り出せます。
さらに微分は周波数領域で掛け算に変わるので、微分方程式の処理が見通しよくなります。これを実際に確かめると、
\widehat{f'}(\omega)=\int_{-\infty}^{\infty} f'(x)e^{-i\omega x}\,dx
です。部分積分を使うと
\widehat{f'}(\omega)
=
\Bigl[f(x)e^{-i\omega x}\Bigr]_{-\infty}^{\infty}
+
i\omega \int_{-\infty}^{\infty} f(x)e^{-i\omega x}\,dx
です。ここで端の項が 0 になるだけ十分に f(x) が減衰するとすれば、
\widehat{f'}(\omega)=i\omega \hat f(\omega)
を得ます。つまり、微分は周波数領域では i\omega を掛ける操作に変わります。
別の見方
解析的な見方
微積分では関数を点ごとの値として見ましたが、フーリエ変換では関数を「周波数の重ね合わせ」として見ます。この見方は波動や信号に非常に強いです。
線形代数・行列による見方
有限個の点だけを扱う離散版では、フーリエ変換は行列を掛けることと同じです。したがって連続のフーリエ変換も、「基底を時間領域から周波数領域へ入れ替える変換」と見られます。
この見方の利点は、フーリエ変換を特殊な積分公式としてではなく、座標変換として理解できることです。
作用素による見方
微分という作用素は、e^{i\omega x} に対して
\frac{d}{dx}e^{i\omega x}=i\omega e^{i\omega x}
となります。つまり e^{i\omega x} は微分作用素の固有関数です。だからフーリエ変換をすると、微分方程式が周波数ごとの代数方程式へ変わります。
この見方の利点は、なぜフーリエ変換が微分方程式に強いのかを、固有値問題として整理できることです。